美味しいパン、あり〼
台所で食器を洗っているとき、洗面所で顔を洗っているとき、ベランダで洗濯物を干しているとき、私の前にひょっこり小さな客引きが現れる。
「オイシイパン、アルヨー」
セリフはこれ一択。
にやにやした顔とくねくねした身体で客引きに来るのは、先月2歳になった次男。
最近お店屋さんごっこにハマっている彼だが、美味しいパンが売りの店をやっているらしい。
覚えたての日本語で話す外国人っぽいイントネーションで、「オイシイパンアルヨー」という呼び込みを繰り返している。
それがもう可愛過ぎて私、オキシトシン分泌過剰。
最近なんか眉毛が伸びるの早いのはソレのせいじゃない?違う?違うか。加齢か。
どれどれ美味しいパンを買おうじゃないかと、誘われるままについて行く。彼の店はいつも品揃えが豊富で、割と綺麗に商品が陳列されている。
パン全然無いけどな!
食パンまんしかいないじゃないか…
「オイシイパンアルヨー」言ってたやん…
何でパン推したん…八百屋にしたらいいやん…
なんで私関西弁なん…
心の中で大いにツッコミつつも、そこは大人なので「じゃあ、ぶどうのパンくださーい」と注文。
「ハーイ、イイヨー」
若干の上から目線でぶどうのパンを器用にトングで掴む店主。
渡された品を食べたフリをして「ごちそうさま!美味しかったありがとう!」と返却し、家事の続きに取り掛かるが、すぐにまた「オイシイパンアルヨー」と客引きが近づいてくる。
遊んであげられる時は何度も客として付き合うけれど、そうもいかないときは「あとで買いに行きまーす!」とか何とか言って誤魔化している。
忙しくても、客引きされてすぐ何度かお客になっていれば、そのあとに断ってもそんなにグズらず1人で遊んでくれるのが次男のいいところ。
いらんことばっかりするけど…。
(加熱式の加湿器の蒸気で蒸し野菜とはなかなか考えたもんだな…もしかして天才…)
今夜は加湿器で蒸し野菜を作っていたが、やっぱり「オイシイパンアルヨー」って客引きしてたよね。
だから、「コレなーに?」って一応聞いてみたら「コーンと、カベチュ!」だそうだ。
キャベツのこと、こないだまで下だけ取って「チュ!」って言ってたのに、だいぶ正解に近づいてきたな…。寂しい。
子供の言い間違いってホント可愛いんだよねぇ。
長男はまだ4歳なのに、あまり言い間違いしなくなってしまってめちゃくちゃ寂しい。
次男はまだまだ言い間違いだらけではあるが、ここ1ヶ月ぐらいでめちゃくちゃお喋りが上達してしまった。
アンパンマンに出てくる犬、チーズのこと先月まで「わんわん」って呼んでたのにさ、最近なんて言うと思う?
「めいけんちーじゅ!」
まさかの正式名称。誰から習ったんよ。
確かにあの犬、名犬チーズって名前だった気がするよ。
ああ寂しい。
嬉しくも寂しい成長。
今夜も君たちの成長に乾杯。
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