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詩)チョコレート・マトリクス

金属のようなチョコレート

表面のザラメが芯まで続いている食感

軽く噛むと それは一気に砕け

口のなかは ただひたすらに甘かった

すべてがザラメではないよ

という警告馴染みた心の声を

甘味から始まった謎解きをする上で無視した

(もう遅いよ だって口の中だし)


そうか 甘いということは液体が笑うということか

きっと これだけが入口ではないだろうな

仮想空間に引き込む仕掛けは無限にあり

根源に辿り着くまえに早々とシャッフルされる

想起するということは隔壁を増やすことと同義

自ら迷宮をオーダーすることになる

この状況でスクリプトをただ唱える

求めてください 遠ざけてください

すべてを知っても そこにいてください

小人よ小人

そうやって私の承認欲求さえ引き出すのか

小賢しい君は月面の裏側にでもいて

細いレバーでも握っているのではないだろうか

お気に入りの宝石をスティックの先に取り付けて

それを必要もなく転がし 私たちを弄ぶ様を想像する

金属チョコレートは完全に溶けてしばらく

甘さは消えたのだがしかし

あれだけのことを言っておいて

想起してしまった あの甘い液体の笑みを

罠だった 笑みから派生するものは悉く

もうこのゲートはダメだ

さっさとまた別のものを探さないと

そこらの猫のCGがまだ ぎこちないうちに

マトリクスが完成すると前に

早くここから抜け出さないと

完)チョコレート・マトリクス






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