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『みんな水の中』横道 誠

『イスタンブールで青に溺れる』より、やや難解な内容。
でも、本作『みんな水の中』の方が先なんですね。
「詩のように。」「論文的な。」「小説風。」
三章に渡り、横道先生の世界観、救いを求めた小説、音楽についても綴られています。
フラッシュバックを「地獄行きタイムマシン」と命名されたセンスはさすがです。
私は、あらゆることを自分のことのように思い、想像フラッシュバックをよく起こします。
体験、未体験含め、脳内が勝手に映像を再生してしまう状況を「地獄行きタイムマシン」以外なんというのでしょう?自動再生の上、停止ボタンが存在しないのですから。
「擬態」「キマイラ現象」の後遺症、「解離性同一性障害」「発達性強調障がい」「ASD」「ADHD」について。
当事者だから考察し、気づくことが出来たのでしょう。
医師や臨床心理士の方に言ってもあまり相手にされません。

私は、幼い頃から気分の波や性格の変貌があまりに激しすぎ、解離性同一性障害ではないかと疑っています。WAIS検査の結果、発達障害だったのですが、それだけでは私の奇妙な行動に説明がつかないのです。

母は、私が当事者研究の本を読んだり、発達障害について調べることに否定的です。
本を読むことで影響を受け、過去の行動の理由を後付けをしている、と。
そもそもあらゆる検査を受けたがり、心理学の本を読み漁る私が理解不能のようです。
それでも、私の発達障害を個性と言ったり、些細なことで褒めたりします。
かと思えば、心配かけてはいけないから父には詳しいことを教えていない、と言います。
解釈不可能でバグが発生しました。

ちなみに「心配かけるといけないから~」は家族や友人同士で良く言われる常套句です。
しかし、私には、相手がどのような思考を経て「私が相手を心配する」という結論に到達したか、
が謎で仕方がありません。
その逆もまた然り、「どうして言わないの。心配するじゃない」と言われても、
「私があなたを心配しないから、あなたが私を心配すると思わなかった。そもそも行動を起こす時に、あなたの顔が浮かばなかった」

目に見えない感情のやりとりで失敗したことは数知れず・・・何とか取り繕うとしてもバグが発生し更なる悪循環を生んでしまう。

※バグ・・・吃音。声が出なかったり、同じ音が連続して発声されてしまう。

しかし、横道先生の本を読んで
「ああ、私だけじゃない。私は私を表現する言葉を見つけた」と思いました。
私は、他者に共感すること、理解することは不可能だと思っています。
何でも「分かる分かる」と共感する相手は信用しません。
でも、自分を表現する言葉を見つけた瞬間、とても安心しました。
全てのページが、私が生きていく道標になります。
特に最後の言葉に心打たれました。
「想定範囲内の多様性は多様性ではない」

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