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<海外ミステリ 感想>咆哮 アンドレアス・フェーア

凍てつく湖の中から少女の遺体が発見された。
発見したのはクロイトナー上級巡査。手柄を立てようと張り切るが、捜査の指揮はヴァルナ―首席警部がとることに。
殺された少女ピアは金襴緞子の衣装を着せられ、口の中に数字のバッヂを入れられていた。
捜査が難航する中、また少女が殺される。
しかも、遺体はヴァルナ―の家の屋根で発見された。
ピアと同様、金襴緞子のドレスを着せられ、口の中に数字のバッヂが入っていた。
しかし、彼女とピアの間に面識はなかった。
もちろん、ヴァルナ―とも関係はない。
刑事達の必死の捜査、完璧な計画を実行する犯人。
両者の追跡劇にページを捲る手が止まらない。
犯人の真の狙いとは?そしてヴァルナ―とクロイトナーはどう動く?

ドイツで大人気の『ヴァルナ―&クロイトナーシリーズ』
ついに日本上陸。
スリリングな展開だけでなく、キャラ小説としても楽しめるシリーズ。
ヴァルナ―はとにかく真面目。殺された少女、遺族、遺体を見つけてしまった(正確には遺体が自分の家の屋根から落ちて来た)祖父に気遣いながら、冷静に捜査の指揮をとる。
一方クロイトナーは調子のいい上級巡査。手柄ほしさに単独行動をとる、大酒吞み、酔った勢いで平気で嘘を吐くとんでもない警察官。しかし、気が付いたら犯人に肉薄している不思議な運の持ち主。
その他にも、文句の多いヴァルナ―の相棒(?)ミッケ、シングルマザーで情に厚い鑑識官ティーナ、一年前に離婚した鑑識官ルツ。
みんな優秀だけど、とにかく個性的。まとめるヴァルナ―も苦労しているけど楽しそうなのが微笑ましい。
また、ヴァルナ―の祖父マンフレートも孫を心配するあまり、とんでもない行動に・・・
事件の重苦しい雰囲気を吹き飛ばしてくれる明るいキャラクターは救い。
本国ドイツでは八巻まで刊行されているとのこと。
日本版も次々翻訳されることを期待します。

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