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年中リトルオリンピックに込める想い ~ 遊びと運動を繋ぐ保育者の工夫~

先日の新入園児向けの園説明会で、ある参加者からこんな感想をいただきました。
「別の幼稚園の運動会の練習を見た際、保育者の目がみんなつり上がっていたのが印象的だった。幼児教育ってこんなものなのかな?とおもっていたが、向山こども園では、保育者が皆ニコニコしており、子どもたちも楽しそうに遊んでいたのでびっくりした」と驚かれたようです。
この感想に、いろいろな保育があるとは思いつつ、保育者の目が吊り上がっちゃうような保育が「幼児教育ってこんなものかな?」と感じてしまうんだよね…と残念な思いと、向山を評価していただいたうれしさと、複雑な感情になりました。

見せるための保育と自然な保育

運動会やイベントでは「見せる」ための要素がどうしても重要視されがちです。どの保育現場でも映えは求めてしまうのでと思います。
そのため、保育者が焦ったり、緊張した表情になってしまうこともあります。向山こども園では、子どもたちが自然に楽しむ姿をそのまま見てもらう「リトルオリンピック」を目指しています。そのため、映えはしなくて、見ているとちょっとわかりづらいことも多々あります。
とはいえ、向山の保育者だって、保護者に子どもの育ちを伝えたい!という思いはあるので、リトルオリンピックなどの行事は、やっぱり緊張するものです。

運動的な遊びをどう取り入れるか

リトルオリンピックの主な目的は、運動的な要素を取り入れた遊びを子どもたちと楽しみつつ、保護者に見てもらうことです。難しいのが、子どもたちが楽しんでいる遊びは、必ずしも運動的要素が強いわけではないということです。例えば、船作りや色砂作りなどは、アート的でクリエイティブな遊びに分類され、運動的要素は少ないです。

夏は熱中症の危険があるため思い切り体を動かすことを推奨できず、冬には寒くて子どもたちが外に出たがらないため、1年の中で思い切り体を動かせる時期は実は多くはありません。
そのため、保育者としては、遊びの中に自然に運動的な要素を加える工夫が必要です。例えば、秋園庭の山の上から水路を作り船を流すことで、水路づくりや上流と下流の行き来の中で運動的な要素を加えることができます。また、色砂の材料となるサラサラの砂を駐車場まで採りに行くという提案をすることで、距離を走る活動を取り入れるなどの工夫が考えられます。(駐車場には、水が集まる場所があり、ここの砂はさらさらです)

創意工夫と柔軟な発想が求められる

遊びの中に運動的要素を取り入れるには、園の特性を知り尽くした発想の転換が必要です。このような工夫には、特に若手保育者が苦労することもあります。
また、別の発想で保育者が意図的に運動的な遊びを提案し、子どもたちが楽しむ機会を増やすことも大切です。例えば、何気なく行われている丸太の上からのジャンプや走り回る行動自体を「遊び」として認識し、より楽しくなるように促進する姿勢も重要です。

継続性と刹那的な遊びのバランス

年齢が上がれば上がるほど、子どもたちの遊びが継続することが大切にされます。継続することで、子どもたちは試行錯誤を通じて成長することが多いからです。
しかし、刹那的な遊びもまた重要です。丸太の上に登って橋渡をする、少し高いところから挑戦して飛び降りるといった瞬間的な行動も、運動的要素を含む貴重な体験です。これらの遊びを積極的にとらえ、保育の一環として捉えることが必要です。

リトルオリンピックの意味を再考する

リトルオリンピックというイベント名がついていると、どうしても「見せる」ことに保育者がフォーカスしがちです。
しかし、子どもたちが心から楽しむ遊びがなければ、保育の意味が薄れてしまいます。
向山こども園でのこどもがニコニコしている背景には、保育者たちの多大な創意工夫があります。

保育を続ける中で、保育者は視野が狭くなりがちで、どのように対応すれば良いかわからなくなることも多々あります。そんなとき、保育者たちが安心して悩みを共有し、共に考え、サポートし合える環境が重要です。私もその一助になれるよう、今後も支えていきたいと考えています。


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