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ロックとアートの蜜月な日々【プレイバック!はじまりの美術館11】

現在、臨時休館中のはじまりの美術館。これを機に、はじまりの美術館のこれまでの展覧会をみなさんと一緒に振り返ってみたいと思います。

はじめて展覧会を見る方も、実際に展覧会を鑑賞された方も、写真やスタッフの四方山話を通して、改めて作品や作者に出会っていただければと思います。当時の裏話?や関わったスタッフの想いなども改めて振り返ってみました。残念ながら今は展覧会を開催できない時期ですが、この6年間の展覧会を改めて見つめ直して、この先の企画を作っていく足場を固める期間にしたいと思っています。


スタッフ紹介

プレイバックはじまりの美術館


ロックとアートの蜜月な日々

会期:2017年3月4日〜2017年3月20日
出展作家:相川勝、青木玲子、磯崎晃宏、岡元俊雄、尾形和記、ケンジ&カズヒサ、門秀彦、小澄源太、小林覚、田湯加那子、西岡弘治、人見紗操
主催:NPO法人ハイテンション
共催:社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館
https://hajimari-ac.com/enjoy/exhibition/rockandart/

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大政:それでは「ロックとアートの蜜月な日々」について振り返ってみましょう。通常企画展は2〜3ヶ月程度の長さで実施するのですが、この展覧会はなんと2週間しかなかったという。ある意味幻の展覧会とも言えます。

小林:主催はNPO法人ハイテンションさんでした。はじまり美術館開館のオープニングイベントでも参加していただいたロックバンド「サルサガムテープ」の母体でもある法人です。企画担当は岡部さんでしたが、代表のかしわ哲さんからどのような相談を受けてこの企画がスタートしたんでしょうか。

岡部:はい。この企画はですね、ハイテンションさんが日本財団さんの助成を得て、全国で共生社会を実現していこうという事業「IMAGINE2020」の関連企画として、相談いただいた展覧会でした。福島県内では、はじまりの美術館での展示とともに、郡山市にあるClub #9 というライブハウスでのステージイベントも開催されています。そのイベントには愛育園のラテンパーカッションチーム「HANA」も参加させて頂きました。
かしわさんからは「ロックとアートの蜜月な日々」というタイトルと、何組かの出展作家のイメージをいただいて、追加の出展作家や展示プランに関して、我々の方で検討して構成を考え、ご相談しながら形にしていったというような流れでした。

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小林:2週間しか展覧会が開催されなかったのが、すごくもったいないぐらいの豪華さでしたね。様々な方にご出展いただいて、みなさん印象深いですが、私は相川勝さんの作品《CDs》が印象的でした。
相川さんは確か十和田市現代美術館で開催されていた「JUMP!」展で拝見したのが、最初だったかなと思うんですけれども、ご自身でアルバムのジャケットから歌詞からライナーノーツから全てをコピーされているんですよね。一見すると本物のジャケットみたいですけれど、よく見ると全て手で描かれたもので。それぞれには実際にCDが入っていて、一緒に展示した試聴機に入っている音源をかけると相川さんが歌っている。演奏から歌まで、全てご自身で歌っていて、ちょっと肩の力が抜けるような面白さと、逆にそこまでやってしまう凄さがとても印象に残っています。

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大政:展示されている様子を一見すると、本当にただCDが並んでいるだけっていう感じで。「一体何が作品なの?」みたいな質問もあったような記憶あるんですけど、そのギャップというか面白さをお客さんと一緒に楽しませていただいた記憶があります。

岡部:ジャケットが絵だと気づいたときのお客さんのリアクションがとても良かったですね。さらに、CDを聞き始めたときのお客さんの2度目のリアクションもまた良くて、とても印象に残ってます。中には、癖になって何度も聞き返して笑い転げてるお子さんもいましたね。

小林:試聴機がタワーレコードにあるような機械で、あの展示コーナーだけちょっとしたレコードショップのようで、それも何か面白いなと思っていました。

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大政:音楽・ロックがテーマの展覧会なんですけど、実際の音を展示している作品って相川さんだけでしたね。あとは尾形さんも映像はありましたが、オガちゃんのイメージPVというか、表現の記録であり作品ではなかったですね。なんか、もうちょっと音とか映像とかの作品が出てくるかと思いきや、音楽を想起させるような形の作品がたくさん集まったのが面白かったなと思います。

小林:そうそう。作家さんを選ぶときに、いわゆる「音」っていうよりは、なんか「ロック」っていうところにポイントを絞っていきましたよね。「ロック」って何だろうみたいなことから話し合った記憶があります。音楽的なロックだけじゃなくて、やっぱりその姿勢みたいな部分も大事だよねだとか。そういうところから考えて、ロック的な姿勢を感じて、かつ音楽とも親和性のある方に出展を打診しようっていう。

大政:そうでしたそうでした。「ロックってなんだ!?」って、何度も話した気がします。

小林:チラシの題字は、unicoに依頼して募集しましたね。そのなかから一番企画に会う題字を選ばせていただいて、チラシ全体はロックをイメージしながら大政さんがデザインしてくれましたね。

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大政:デザインは苦手で……。難しかったですね。

岡部:でも、企画内容を捉えた、インパクトのあるデザインになったんじゃないですかね。なんか「ロック」っていうのを、一つの解釈で「ライブパフォーマンス」、言い換えれば「生の行為」っていうふうに企画趣旨にも書きましたが、作家の表現に込められた熱っていうか、表現の根幹に迫るものが、どの作品からも感じられたかなと思います。

大政:この主旨文は岡部さんが書いたんでしたっけ。

岡部:はい。趣旨文に関してはそうです。かしわさんとお話する中で発想を頂いています。ご挨拶パネルは、かしわさんの完全書き下ろしですね。

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大政:なるほど。作家の方たちは、以前からお声がけしたかった方もいれば、この企画が決まって初めてアプローチした方もいたように記憶してます。

岡部:オハラ☆ブレイクに関わり始めていたこともあって、音楽とアートというか、音楽も一つのアートですけど、ミュージックとビジュアルアーツっていうところで何かできないかっていうことも考えていた時期でしたね。そんな中で展示にもご参加いただいた門秀彦さんはオハラ☆ブレイクでお会いしたことがきっかけでしたね。

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小林 :そうですね。2016年の開催のときですかね。会場でワークショップされていて、すごく記憶に残るような絵を書かれている方でしたけれども、お誘いしたら快く参加していただきました。その時には門さんが作った立体的な楽器の作品と、あとはオハラ☆ブレイクで描かれた絵を町内の子供園に寄贈されていたんですが、その作品も園からお借りして展示させていただきましたね。

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岡部 :それとこの企画展のときにかしわ哲さんからご紹介いただいた小澄源太さんは、その後オハラ☆ブレイクにもお誘いして継続してご参加いただいてますね。ライブパフォーマンスがとてもエネルギッシュな作家さんですよね。

小林 :小澄さんとtatalaYAVZの3名の方々ですけど、私ちょうどこの企画のライブイベントの日は出張で不在だったんです。後から写真や映像を拝見したらすごいパフォーマンスだったので見れなかったのが悔しかったんです。その悔しさもあって、改めてお誘いしたような気持ちもあります(笑)

大政:小澄さんには大阪から作品を持ってきていただいて、一緒に設営いただいたんでしたね。その後、会期中にライブイベントがあったんでしたね。

岡部 :そうでしたね。ツインドラムのtatalaYAVZさんの演奏に合わせて、小澄さんの、もう、全身を使ってのライブドローイングでしたが、そのスペシャルゲストで元ブルーハーツドラマーの梶原徹也さんがいらっしゃって、近所のお子さんと気さくに交流されていたのも思い出深いですね。梶さんは、サルサガムテープのドラマーでもあります。

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小林:あと小澄さんで思い出すのは、さっきも少し出ましたけれども、浜松のクリエイティブサポートレッツの尾形和記さんこと「おがちゃん」ですね。このとき初めて来ていただきましたけれども、とても愛されキャラといいますか、楽しい方でしたね。
おがちゃんは「おが台車」と呼ばれる作品で、台車をおがちゃんが好きなオーディオやテレビなどの電化製品と組み合わせて作っています。そのときも浜松から送った台車や素材をその場で組み上げて、そして町内をその台車を押して練り歩きましたね。

岡部:そのとき、ちょうど滞在されていた小澄さんとコラボされていましたね。おがちゃんもその台車を作るっていう行為ではなくて、その台車を通して人とコミュニケーションを取るっていうところが彼のモチベーションにもなっているそうで。滞在された日も寒い日でしたが、大きな台車を一緒に押しながら、ぐるりと町内を一周した良い思い出です。

大政 :たしか雪が舞っていたような。レッツのスタッフの方がウェブで生中継をしながら、猪苗代町内を巡っていました。おがちゃんと小澄さんの絡み合いがなんだか微笑ましかったです。

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大政:小澄さんは、一番奥の部屋で展示いただいたんですけど、多分はじまりの美術館の開館以来一番大きな絵画作品だったのではないかと思います。
パネルをみんなで組み立てて起こしあげるっていう作業をしましたね。ちょうど同時期に国立新美術館でミュシャの展覧会をやっていて、大きな作品を展示する過程をSNSで拝見しました。なので、それをほんの少しだけイメージしながら、パネルを起こす写真をたくさん撮って投稿した記憶があります(笑)

小林 :あれは美術館で一番幅のある奥の壁でも収まりきらず、斜めにしてなんとか幅もおさまって、高さもかなりギリギリでしたけども。起こすまでちょっとドキドキしながらやりましたね。

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岡部 :他にも、出展作家の人見紗操さんも会期中いらっしゃって、ライブにも参加されていましたね。人見さんは大政さんが元々知り合いでしたっけ。

大政 :人見さんは大学院のときの同期でした。卒業のタイミングは違ったんですけど、すごく気になる作品をずっと作られていて憧れていました。今回の展覧会では、学生時代に発表されていた作品の一つで≪Future Record Collection≫という作品を出展いただきました。その作品は、おばあちゃんたちに100年後を想像して語ってもらって、その音声を石のレコードに刻んだものでしたね。

小林 :実際にレコードプレーヤーの針を落とせば、ちゃんと音が流れるってことでしたけど、磨り減ってしまうからちょっとそれは難しいということで。そのときは、レコードプレーヤーに乗せた状態の展示でしたね。今でも実際に聞いてみたいなと思ってます。

大政 :聞けないことで、また想像力が膨らむというか。いろいろなことをに思いをはせる作品だなと思いました。

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大政:人見さんのお向かいではアトリエコーナスの西岡弘治さんに展示いただきました。人見さんも素材が石っていうことでモノトーンの作品でしたが、西岡さんも墨を使って楽譜を描いた作品で、すごく楽譜とレコードが響き合う空間になっていました。

小林 :西岡さんの楽譜は実際にある曲なんでしたっけ。

岡部 :そうですね。楽譜を正確に写されていて、曲タイトルがそのまま作品のタイトルになっているそうです。西岡さんの作品は個人的にも前から好きで、アール・ブリュットの分野でも広く知られた作品ですね。いつか福島県でも紹介したいと思っていたので、この機会に紹介できてとてもよかったなと思います。
大政 :西岡さんの作品は、障がいのある方の表現活動を研究されている、鳥取大学の川井田祥子さんの著書のカバーにも使われていますね。どの作品もすごくエネルギーがあって、今回ご紹介させていただけて嬉しかったですね。

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大政:西岡さんと同じ墨を用いた作品では、やまなみ工房の岡元俊雄さんの作品も展示させていただきました。

小林 :岡元さんも、いつか展示したいと思ってました。岡元さんの作品からも、やっぱり音楽というかロックみたいな勢いを感じますね。しかも、ご本人は寝転がりながら描いているというのも含めてすごくいい作品ですね。

岡部:そうそう、この企画を伺って、真っ先に頭に浮かんだのが岡元さんの作品でした。荒々しく残った筆跡に、オーラを感じさせる人物像。もう、惚れぼれしますね。

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岡部:同じく強さを感じた作品としては田湯加那子さんでしょうか。「すごいぞこれは」展で紹介されていた北海道の作家さんですけれども、もう塗り重ねがすごくてグワっとした力強さ感じるキャラクターの作品でした。

小林:田湯さんは昨年、仙台で開催された「第5回Art to You!東北障がい者芸術全国公募展」でも大賞を受賞されました。そのときの作品はキャラクターでもなく、とても抽象的な作品でしたね。ご家族の方が、ちょっと気持ちが不安定な時期が続いていることが影響しているのではとおっしゃっていましたが、それでも制作を続けた作品が評価されたところにいろいろ考えさせられました。

大政 :田湯さんは本当に良い作品で、今回展示したのはSPEEDとか平成初期のアイドルや歌手がモチーフで、目力がはっきりしている作品群でしたね。私は田湯さんの描いた花の作品シリーズもすごく好きで、またいつか何かでご一緒できたらいいなと思ってます。

岡部 :ちなみにですけど、ご自宅が北海道ということもあってご本人には直接お会いできなかったのですが、田湯さんのお母さんがとても丁寧にやりとりしてくださって、普段の様子なんかも文面でお知らせいただいたりして、思い出に残る作家さんの1人でもありますね。

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岡部:田湯さんと同じスペースで展示していたのがunicoの青木玲子さんですね。玲子さんは普段からラテンパーカッションHANAで演奏もしていて、音楽とも関わりがあります。表現は丸を描く方ですが、その丸の色彩の組み合わせがまた音楽やロックをイメージさせるというか、このテーマと相まってとても人気でしたね。はじまりの美術館の年間パスポートのデザインの一つにも採用している作家さんです。

大政 :実はこのとき展示した玲子さんの作品のシリーズは割と初期の作品で、最近はこういう感じの作品はあまり描かなくなっているそうです。本人の心境の変化とか、やっぱり作風が変わってきていて、その時々の表現が……なんだろうな。愛おしいですね。玲子さんは最近は様々な形にくり抜けるパンチを使って、それらの形を使った作品なども作られています。

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小林 :その心境というあたりから無理やりつなげますが(苦笑)、セリフとキャラクターがとてもユニークなNPO法人かうんと5に所属するケンジ&カズヒサもいつかお誘いしたいと思っていた方だったので、グッズも含めてご紹介できてよかったなと思います。
かうんと5代表の石平さんがプロレスや音楽がとても好きで、何年か前のカレンダーはレコードジャケットサイズで作られたりとかすごくおもしろい商品でしたね。

大政:こういったジャケットのような絵は、元ネタがあって、そこにマスクマンが出演しているっていう感じの作品なんでしょうか?

小林:そうですね。元ネタのレコードジャケットがあって、オマージュっていう形ですかね。なので、元ネタを知っている人たちが見ると、あのミュージシャンのレコードだなとか、そういう楽しみ方もできる作品でもありました。

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小林:あと、今回の企画はやっぱり3.11をきっかけに動いてたプロジェクトだと思うんですけれども、その流れで言うとすごく印象的な作品がありましたね。

岡部:そう、小林覚さんの作品《Let It Be》ですね。東日本大震災でご自宅が津波の被害を受け、作品も流されてしまって、その後に発見されたという経緯を持つ作品でしたね。作風としては、一見、線の重なりと色の塗り分けで構成された抽象的な作品と思われたものが、実は文字で構成されているというものです。るんびにい美術館の建物外観装飾のタイトル文字も描かれています。普段は寡黙な印象の覚さんですが、最近では「であい事業プロジェクト」で、るんびにい美術館の板垣さんと学校や企業研修にもでかけてらっしゃるそうですね。

小林:ぱっと見はちょっと分からなかったんですが、歌詞が書かれてるって言われて見ると、ちゃんと歌詞が浮かんでくる不思議な作品でしたね。色も多彩で、明るい印象も感じるし、この企画にとても合っていた気がします。

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小林:あと、最初の方の話に戻りますけれども、今回の主催はNPO法人ハイテンションですが、その法人内のアトリエ活動は「ロウテンション」っていう名前なんですよね。

岡部:そうでした。このハイテンションに対してのロウテンションって語感だけ聞くと、低いテンションなのかなって思いますよね。実はアール・ブリュットが日本語では「生の芸術」って訳され方をしますが、ロウも「生(RAW)」の意味合いで付けられているようですね。ロウテンションで制作もし、サルサガムテープのメンバーでもある磯ちゃんこと磯崎晃宏さんの作品との出会いもありましたね。カラフルな人物と文字のバランスがなんとも言えぬいい味わいでした。

小林:一番奥の展示室は巨大な絵画があり、おが台車あり、そこに磯崎さんの板に書かれた作品があり、すごいエネルギーがみなぎったエリアでしたね。

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大政:そういえばライブイベントの日は、ドラァグ・クイーンでもあり美術家でもあるヴィヴィアン佐藤さんもお招きしてトークも開催しました。このときのお話で何か印象に残ってることはありますか。

岡部:「ロックと表現衝動」と題するトークでしたが、冒頭で伺った某有名テーマパークでは、着飾ったドラッグクイーンは入場制限があるという話は軽いショックでしたね。ロックミュージックや、アール・ブリュットと呼ばれる表現は、直接感情に働きかけ人の心を動かす力がある、という話から、社会的であれ個人的であれ、困難に直面したときこそアートが必要だ、という話が印象的でしたね。コロナ禍の今になお実感される内容でした。

小林:この土地展で千葉さんに入ってもらったときにも話に出ましたけれども、今の新型コロナの影響で外出自粛していて家にこもるっていうことが、実は制作環境というか、そういう自分の内を表現するのに適してるんじゃないかっていう話もありました。一概に「困難」という言葉で括るのは乱暴ですけど、震災であったりとか、ヴィヴィアンさんのセクシャルマイノリティーのお話とか、その辺が繋がってくるのかななんてことを思いました。短い期間の展覧会ながら、すごく濃密な企画でしたね。

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岡部:主催事業ではなかったので、記録集として残すまで出来ませんでしたが、「また開催してほしい」という声も聞く、記憶に残る企画でしたね。

大政:そうですね。展覧会自体の記録写真は、絶望でもなく展でもお願いしたhzkさんに撮影いただきました。せっかくの機会でしたので、今回のプレイバックは写真多めでお届けしました。

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