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企画展「日常をととのえる」開催中!

はじまりの美術館では、2022年4月16日から7月3日までの期間、企画展「日常をととのえる」を開催しています!

日常のなかにある何かをととのえることで、そのなかの変化を促すような表現や活動をする6組の作家を紹介します。

私たちの暮らしは、進学や就職、結婚、育児などライフスタイルの変化に合わせて、住まいや暮らし方が変化していきます。また、気分を変えたいときは、部屋の模様替えをしたり、アロマなどで香りを変えてみたりします。この冬、はじまりの美術館もより良い場所にするために設備工事をしました。年間を通して、ご来館いただいた方に心地よく過ごしていただけるようになったかと思います。

また、近年菌類など目に見えない微生物の働きが注目されています。酒蔵など発酵にかかわる方の話や本を読むと、人ができるのは菌が働きやすいよう手助けすることだというお話もあります。菌類や微生物はさまざまな形で私たちが暮らす環境をととのえてくれています。実は私たちの暮らしが変わることも、環境を変化させることも、何かをととのえることにつながっていると言えるのではないでしょうか。

本展では、日常のなかにある何かをととのえることで、そのなかの変化を促すような表現や活動をする6組の作家を紹介します。自分自身やその物自体をすぐに変えることは難しいかもしれないけれど、何かをととのえることで変わっていく。この展覧会を通して、日常をととのえることを意識することが、気持ちの変化や居心地よい場所をつくるきっかけになればと願います。

日常をととのえる展コンセプト文より



出展作家

・秋田公立美術大学 粘菌研究クラブ

2020年5月に発足。自然豊かな秋田を拠点としながら、粘菌(変形菌、真正粘菌)という動物、植物、菌類どれにも所属しない不思議な生物を採集・観察し、新しい表現の方法を模索している。学年や教職員の壁を超えて、また芸術・生物学・哲学などの分野を横断しながら日々研究と制作を続けている。粘菌研究クラブでは、常に遊び心を持ちながらも真剣に、粘菌の魅力と可能性を、アートを通じて発信することを目指している。

秋田公立美術大学 粘菌研究クラブ《粘菌模触実験 ぺたぺた・もにょもにょ》2021年 撮影:草彅 裕


・鵜飼 結一朗

1995年生まれ、滋賀県在住。2014年から『やまなみ工房』に所属 。彼が描くものは、休憩時間にいつも眺めている大好きな図鑑から選ばれた昆虫や動物、恐竜である。描き方は独特で、モチーフをひとつ描くと、その絵に重ねるように同じ対象の生物を次々と描き、重ねるにつれ絵に奥行が生まれる。表情や動きはそれぞれ違い、生物がまるで群れになって行動しているかのような錯覚を覚える。

鵜飼 結一朗《妖怪》2020年 ©︎ Yuichiro Ukai / Atelier Yamanami Courtesy Yukiko Koide Presents


・THE COPY TRAVELERS

京都を拠点として活動する美術家、加納俊輔、迫鉄平、上田良によって2014年に結成されたユニット。個々の活動でも写真や映像をメインに活動している三人のエッセンスをミックスしながら、「複製」という手法の可能性について、コピー機やスキャナ、カメラなどのツールを用いて、日々、実験に勤しんでいる。アートブックの出版をはじめ、展覧会、ワークショップなどの活動を行なっている。

THE COPY TRAVELERS《あの日のコピササイズ 2019“COPYXERCISE of the day 2019”》2019年

 

・ぬか つくるとこ

「ぬか つくるとこ」は、2013年にスタートした岡山県早島町にある生活介護事業所。 築100年ほどの蔵をベースにした事業所を拠点に、利用される方を「ぬかびとさん」、訪れる人を「まぜびとさん」と呼ぶことをはじめ、従来の福祉の枠を超えたさまざまな活動を行う。正面から捉えるとひるんでしまうことも、ちょっと角度を変えてみれば、 だれも気付けなかった価値が生まれたりする。そういった価値や個々の 魅力が『ぬか漬』のように時間をかけてゆっくりと発酵し、社会へ広がっていくことを願って「ぬか」という名前に思いをのせている。

ぬか つくるとこ《なんとなティックウエイトリフティング》2022年

・久村 卓

1977 年東京都生まれ、在住。2001 年多摩美術大学美術学部彫刻学科卒業。2003 年、偶然聞くことになった藤堂塾の講義に感化され発表活動を開始。ハンドメイドからDIY クラフトまで、美術の周縁に位置すると考えられる技法や素材を積極的に選び、消極的な手つきで変化を与えながら、美術制度によってかろうじて成立するような作品を制作する。また、それらの多くは日用品としての機能を奪うことなく使用されているため、作品に関わる人や、作品をとりまく状況の変化によって、美術であったり美術でなかったりと明滅を繰り返すよう意図されている。

久村 卓《PLUS_Ralph Lauren_tattersall check shirt》2022年


・増子 博子 

1982年宮城県生まれ。宮城県出身、栃木県在住。 宮城教育大学大学院教育学研究科教科教育専攻美術教育専修修了。2006年から盆栽を人と自然の関わりの象徴として捉え、ペン画で描き直す試みを続けている。2011年からは、住む場所の移動によって出会ったものや人との関わりから生まれるものを探りつつ、様々な技法で作品制作・発表を行っている。2013年7月7日から、日々のドローイング「側の器(カワのうつわ)」を継続して制作。毎日の一枚一枚が作品というよりは、それが積み上がっていく思考の過程が重要と捉え、9年間積み重なってきたものが地続きになっている。

増子 博子《側の器 2022/01/10》2022年




 

会期中は様々なイベントやワークショップも開催します。詳細は、ホームページをご覧ください。
みなさまのご来館、おまちしております!


展覧会概要

日常をととのえる

2022年4月16日 - 2022年7月3日
※火曜休館、5月3日(火)は開館

開館時間:10:00~18:00

会場:はじまりの美術館(福島県耶麻郡猪苗代町新町4873)

料金:一般500円、65歳以上250円、高校生以下・障がい者手帳をお持ちの方および付添いの方(1名まで)無料

出展作家:秋田公立美術大学 粘菌研究クラブ、鵜飼 結一朗、THE COPY TRAVELERS、ぬか つくるとこ、久村 卓、増子 博子

主催:社会福祉法人安積愛育園 はじまりの美術館

協力:株式会社ぬか、kinologue、小出由紀子事務所、公立大学法人秋田公立美術大学、社会福祉法人やまなみ会 やまなみ工房、MINATOYA SAUNA、有限会社アップリンク

後援:福島県、福島県教育委員会、猪苗代町、猪苗代町教育委員会、あさかホスピタルグループ


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