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便利に殺される

去年からラジオにハマり出した。ミーハーなもので、聴いているのはほとんどがオールナイトニッポンなどの芸人のラジオ。特に私は三四郎のオールナイトが好きで、岩手に引っ越してきた今もradikoに課金し毎週聴いている。

そんなある時、相田の名曲「Standby」を菅田将暉がカバーし、音源化するというのを耳にした。しかもそれはボーナストラックであるためサブスクでは解禁されず、CDを借りるしか聞く手段がないと。YouTubeにあるラジオでの生放送音源がとてもよかったので、これはどうしても聴きたいとTSUTAYAに向かい、4年ぶりくらいにCDをレンタルした。
会計した時に店員さんから、会員登録の特典で「レンタル半額券」をもらった。丁度見たい映画もあったし、またDVD借りに来ようか。そんなことを思った。

その話を地元の友達と電話した時に話した。すると、こんなことを言われた。

「今時そんな奴いるんだ。」


サブスク、ストリーミングなどのインターネットを介した便利なものがあるのに、わざわざレンタルショップに足を運ぶなんて、という意味なのだろう。私も思った。「サブスクでも解禁してくれればいいのに」と。

ただ
「映画だってNETFLIXやAmazonプライムでいくらでも見れるじゃん」
そう言われた時に思ったことがある。同じようなことを会社の先輩から言われた時も、同じことを思った。


「NETFLIXで見れない映画がどれだけあると思ってるんだ。」

NETFLIXがいかに便利で楽しいものか、私は十分に知っている。何ならいつもお世話になっている。見たい作品を、いつでも好きな時にどこでだって見れる幸せを教えてくれたのも事実。
もちろん見たい作品がない場合もあるが、そんな時はAmazonプライムやParaviなど他のサービスに移動し、視聴している。プラットフォームを掛け合わせ見たい作品を網羅する、この上ない贅沢だ。

ただ何かこの生活に違和感を覚え始めた、見たい作品に関しては特に。
それらのサービスの中にある作品の中から見たい作品を選ぶようになっている。そう感じたからだ。

言い換えれば、選ぶ作品の範囲が狭まっている、ということだ。これは映画に限った話ではない。情報を得る手段がどんどん狭まっていると日々感じる。ふと思った。私は便利に頼りすぎていると。

私たちの身近にあるこの四角い板は、あまりにも便利だ。便利すぎる。分からないことはググればいい、そんな言葉が共通認識になるくらいに。故に私は恐れている、このままでは人間は便利の家畜になってしまうと。

特に今流行りのTikTokなんかは特に恐ろしい。自分で調べもせず、検索すらせず、アルゴリズムに則り流してくるものを受動的に眺めているだけでいい。それが便利で面白いからこそ怖い。

私は大学院での研究活動を通し、インターネットで知れる情報がいかに限られているかを知った。どれほどの多くの情報がインターネットに共有されていないことを思い知った。本当に知りたい情報は能動的に、自分の足で探さない限り手に入れることなどできないのだ。

しかしこの便利な板の前では知りたかったことなど無力で、それらしい有意義そうな情報で満足してしまう。そして与えられる情報は留まることはなく流れ去り、ただ満足感ため次のそれらしい情報を求める。それを果てしなく繰り返す。


このまま便利なプラットフォームが拡大し続けると、その範囲の中でしか調べたり探したりできなくなってしまうのではないだろうか。Googleでしか調べない、NETFLIXにあるものしか見ない、AppleMusicにあるものしか聞かない。そんな姿は滑稽なまでに家畜そっくりではないだろうか。

便利の檻に入れられ、小さな入り口から情報と言う名の餌を漁るだけの存在。それはプラットフォーム側から見れば、この上ない有り難い状態だ。
そうして調教された家畜たちが迎える未来は、出荷。提供する側の人間にとって都合のいい養分の出来上がりである。井の中の蛙が立派に見える程、檻の中の家畜はとても情けなく感じる。

それが私は恐ろしくてたまらないのだ。便利の梯子を外され供給が経たれた瞬間、情報を得方をわからなずくたばる気しかしない。プラットフォームの外はこんなも自由で豊かな情報に溢れているのに、便利な檻の方が居心地が良くて楽だから、この状態を続けていくのだろうか。便利なものに限られた世界は、味気ない気がしてならない。


このままでは私たちは便利に殺される日は近い。いつか沈むかも知れない便利の船の上で漂い続けるのはもうやめにして、この情報社会での泳ぎ方を身につけたい。少なくとも私はそう思う。



結局何が言いたかったというと、私は「500日のサマー」を見たいのだ。どうして見たかったのか、理由はもう忘れた。


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#雑記

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