見出し画像

言動の背景とコロナ疲れ


「さわらないで!」
高齢の女性は親切に手をさしのべた男性に、そう言い放ったという。
なぜ? どうして?
その女性は「ありがとう」を言えなかったのだろう?

怒号に秘められた悲しい経験をおもんばかる


遠方に住む親しい方のSNSの投稿を見て、ハッとした。

「さわらないで!」

これはバスの中で高齢の女性に親切心から手を差し伸べた男性に対し、彼女が言い放った言葉。
車内は凍り付いた空気が流れたという。

なぜ、ハッとしたかというと、私も同じ経験をしたことがあるから。
駅の階段で荷物を両手に抱え、息を切らしていた高齢の女性に「お手伝いしましょうか?」と声をかけたところ、「うるさいね!」と怒鳴られたことがある。

その時は若かったこともあり「なんだこのくそばばあ」(注:若気の至りです)と思ったのだが、歳を重ねた今はちょっと違う。
「ありがとう」と言えないつらい経験をしてきたんだと、おもんばかってしまう。

重い荷物を持ってもらってホッとしたら、走って持ち逃げされたり、手を差し伸べてもらって安心したら、財布を盗まれていたり……。
高齢者をだまして数百万も盗る輩がいる世の中、声をかけてくる人が親切心だけで寄ってくるとは限らない。特にコロナ禍は。

「女」というだけで軽んじられることもある。
かつて賃貸していたマンションの不動産業者の対応があまりにひどく、オットに言いつけ、代わりにクレームを言ってもらったところ、それまでの態度が一変。
古びて威力を発揮しなくなったクーラーは即日、取り替えられ、「申し訳ありませんでした」とひたすら謝られたことがある。
まあ、例を挙げたらキリがない。
男女平等なんて言うけれど、まだまだ女にとって日本は住みにくい。

五十路の私でさえ、イヤな思いをしているのだから、高齢の女性ともなれば、それはもう数えきれないほどつらい思いを経験しているに違いない。
最初のうちは「悪い人ばかりじゃない」と割り切れるが、幾度となく信じる気持ちを裏切られたら……、そりゃ卑屈にもなる。

私も見事に「コロナ疲れ」してるではないか


でもこれって、決して他人事ではない。
というか、私自身、このコロナ禍でちょっと卑屈になっている。
「なんでそういうことするかなー」と思う理不尽なことや、自分のことしか考えていない人ばかりで、人と関わることがちょっとイヤになっているからだ。

いかん。
このままいくと貝のように心を閉ざし、
先に挙げた高齢の女性のようになってしまうかも。

高齢の女性の言動の背景を思い、理解しようとするように理不尽な言動をする人にも何らかの理由がある。
それをすっかり忘れていた。
また人に過度に期待してはいけないことも。

人の振り見てなんとやら。
私自身が結構なコロナ疲れをしてるんだなと、親しい方の投稿で発覚。
やれやれである。

◇◇◇◇◇
最近はウォーキングのたびに神社でお参り。願いはただ一つ、「早くコロナが終息しますように」。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?