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愛する女と楽な女

 自分には、いま2年半付き合っている女性がいます。自分が細かいことを気にしないおおらかな性格で、彼女は生真面目な自分からしたら憧れの人でした。自分は本当に彼女を愛していました。今まで自分はチンピラをしていて、女の扱い方も荒かったのに、彼女に対してだけは、何故か家まで車で毎回送り迎えをしたり、それを苦にも思うことなく、彼女に自分の全てを捧げてきました。

 しかし、自分は茶髪でジャラジャラとした格好を、格好だけはチンピラの名残りが残って居ましたものですから、彼女を毎回送り迎えする時に、たまに彼女の父親に自分の車のボンネットをへこませられたり、罵声を浴びせられたりしました。

……ですが、それでも自分は彼女を愛していました。

……構うことなく、彼女を家に送り迎えしておりました。

……いつかは、この誠実な自分の姿をみて、彼女の父親も自分を認めてくれる、とそう思って居ました。

 しかし、この嫌がらせが半年間相変わらず続いたのです。彼女の父親は自分を、彼女に寄り付く汚いチンピラ、彼女を傷つける社会的イメージの悪い男、と相変わらず思っていたのです。自分と、話さえしてくれもしなかったのです。自分は、本当に精神的にまいってしまいました。

ーーこころの弱さ

 そんなある日、自分が街を歩いていると、自分好みの美人な女が歩いていました。弱り切っていた自分は、出来心でその美人な女に声をかけました。その女は、自分の生真面目な性格の彼女と違って、ゴーイングマイウェイで小洒落た性格で、チャラく、自分とその日に連絡交換をし、付き合うことになりました。彼女は、生真面目な彼女には無い、男女間のムードを演出させることが上手で、自分は、その新鮮さにどっぷり浸かってしまいました。悪いことだとは分かっては居ましたが、半年間、生真面目な性格の彼女の父親から認めてももらえず、嫌がらせばかりされていたので、もう、彼女との交際に限界を迎えていたのは気がついていましたし、正直自分でも、ずっと感情を抑えていた分、お洒落な性格の彼女に開放感を求めてしまったのかもしれません。

 そして、自分はお洒落な性格の彼女と結婚し、子どもが2人、幸せな4人家族として暮らしていました。ですが、どうしても、一度愛した女、生真面目な性格の彼女とも縁がきれず、彼女からしても、離婚して、自分のところに来て欲しい、と思われていたのか……、結婚後も、生真面目な彼女と丸10年付き合っていました。彼女を36歳まで引っ張ってしまいました。そして、彼女も歳なので、それを考えて別れることにしました。彼女は、さすが、自分の認めた女ですから、すぐ結婚できたようです。

 しかし、この10年、自分は家庭なんてほっぽって、その生真面目な彼女に完全に心を奪われていたものですから、家に本腰を入れようと意識をむけたのですが、正妻から金としか思われず、ふたりの子どもたちも、ひとことも自分とは口も聞いてもくれないのです。

 そして、自分は現在結婚25年目ですが、自分には一軒家がふたつあり、別居しています。

ーーあの運命の分かれ道

ーーたったひとつの判断で

ーー自分の人生って

ーー自業自得は分かっては…いるけど

 自分の、人生ってなんだったのだ……

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