呪いは「だから、今だけ」って顔してずっと隣に居座ってるから。
「そっとしておいて」という言葉を無視してかまい続ける午後。夕立でびしょ濡れになって遊ぼう。離した手を思いだす知らない人との握手。排気口新作公演『呼ぶにはとおく振り向くにはちかい』
近く不条理な世界。不甲斐ない司会者。スーパーカー。真夜中にこっそり起きて夜道へ繰り出す。酒を片手に歩きだす。ブロンの箱が落ちている。辿れば愚かな酩酊者のスーパーオーガニズム。
水で薄めたシャンプー&リンスで暑さにアゲインストするのも飽きた8月の真夏日。カマキリの交尾を見ながら溶けたアイス。青空にアクエリアスを熱転写してから計画を練る部活動終わりの子供たち。ポラロイド片手に走り出す私たちにラッキーな追い風。腐臭まみれのフレアに欲望をぶつける。
最近は氷をガンガンにコップへ突っ込んで缶ハイボールを上からドバドバ注いで夜の酩酊へと突入していく。まるで不純こそ純粋であると雄弁に語る人工甘味料によって肝臓のライフはガン尽きし、ゲロを吐きまくって、その上でスリップして、頭をしたたかに打ち、記憶を失う。CTスキャンに遠く異国の港が写り込み、私たちはとうとう、「それ」無しじゃ生きられない精神になる。
夏の豊かさが零れ落ちていく。ウルトラ化された理想の夏の淡いにはワンピースと浴衣と花火。キスとかエロとかに塗れた国道逸れた神社裏の密会。そんな全てが零れ落ちていく。酷く音を伸ばされて切り刻まれたキャロルの1stを聴く度に、管理されたロックロールは鬱と紙一重なのだと知る。
私たちは夏に死の匂いを嗅ぐ唯一の生き物だ。
夕暮れの真っ赤に染まった道の遠くに人影が見える。それは懐かしい形をしている。手招きもしている。でもこちらに近づいてこようとはしない。普段ならくるっと引き返すのだけれど、何故か近づいて行った君の時間が排気口新作公演『呼ぶにはとおく振り向くにはちかい』なのは覚えといてね。
皆さんの穏やかさを祈って。
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