ドゥー・ユー・リアリー・ウォント・トゥ・シー・ミー・アゲイン?

 排気口新作公演『アイワナシーユーアゲイン』が無事終わった。出演者・スタッフの方々、そして寒い中ご来場頂いた皆様、本当にありがとうございます。

 毎度公演が無事終わった事に安堵する。帰り道、寒さ厳しい風の中で吐く吐息に含まれる私の安堵はそのまま街の雑踏に消えて行った。

 今回も台本作業が大変だった。ネカフェの12時間パックを連発して何とか書き上げられた。肩こりも腰痛にも悩まされた。眼精疲労にも悩まされた。冬の演劇はそれ以外の季節よりも身体に毒だという事に改めて気が付いた。あとやっぱり冬はあんまり好きじゃない。

 台本作業中に書き散らかしたメモを整理して、領収書を整理して、助成金の書類を作って、まだまだ私だけこの公演に囚われている。でもそれはきっと現実的な囚われ方だ。独りで台本を書いて、みんなで稽古して、そうして出来上がった作品は1月29日で終わった。そこに在った幻は消えていった。

 観に来てくれた皆さんが少しでも楽しんでくれたら私はとても嬉しい。寒さで風邪とか引いていないか心配だ。元気でいてね。無理しないでね。全ての穏やかさを祈っています。

 また誰かに会おうという欲望は素敵な事だ。でも素敵だから誰かを傷付けてもしまう。眩しすぎる光が何もかもを奪ってしまう様に。けれども、やっぱり私たちはまた誰かと出会って、別れて、その度に喜んだり後悔したりする。それを大切にしなくてもいいんだけど、必要じゃないと否定するのだけはやめにしよう。私たちは手を握るのは簡単に出来る。でも離すのは何故だか難しくて、不器用な感じで、言葉も足りずにしてしまう。だから祈りは私たちの免罪符としても機能している。私がしてあげる事の出来ない別れ方を、いつか貴方が出来るように祈るのだ。また会えることへの想いはそんな話をするところから始まるのだろう。「あれから何度、手を握り直す事が出来た?」

 もう次の台本作業をしている。ヘロヘロ君である。今度は4月。今よりはもう少しだけ暖かい季節に、また劇場で会えることを本当に楽しみにしている。

 最後にもう一度聞きたいんだけど「do you really want to see me again?」どんな答えでも貴方が笑ってたらそれは全部正しいよ。

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