わざと私たちはより多くの傷が付くようにわかり合おうとする。それから傷をとても誇らしく思ったりする。

  排気口新作公演『呼ぶにはとおく振り向くにはちかい』の追い込み稽古である。私の身体のポテンシャルを超えてエンペラータイムを発動しまくっている。来週は本番だ。夏も終わってしまう。早いもんだ。

 ツイートにもあったように出演者の佐藤あきらが新型コロナウイルス陽性を受けて代役に根間健太郎が出演する事になった。コロナ禍の時代、ましてやこのような状況で誰も悪くない。悪くないからこそ無念だけが残る。しかし舞台上にはそこかしこに彼の残滓がある。

 迂闊に次があるとは言えない程に厳しい状況だ。公演中止は遥かに重い。何もかも残らない。何もかもだ。だからこそ根間さんには感謝を。あきら氏には安静を。私には差し入れを。煙草。ハイライトメンソール。

誰も手を伸ばしていないのにまるで手を伸ばしているかのような優しさは余りにも虚しい。公演をやれる。劇場で皆さんと会えるって事をとりあえず信じて私はまたぺパリーゼを飲みます。

排気口新作公演『呼ぶにはとおく振り向くにはちかい』フライヤー表

排気口新作公演『呼ぶにはとおく振り向くにはちかい』フライヤー裏


どうか穏やかさを忘れずに。みんなも私も。

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