見出し画像

金木犀の夜

だいたい夜はちょっと 自分でも分からなくなって

感傷的になっては 傷つけるものばかり探して

怖くて震える 何が悪いのか分からずに

いつの日にかあなたに 教えて貰った花の名前

「この時期になると 姿は見えないけれど

どこかで私の名前を 呼んでいる気がするんだ」

私にはわからなかった その花の香りすらも

あなただけが知りうる事で いつの間にか一人な気がした

それでも探していた 必死に探していた

私はあなたに なりたかったんだ

あれから歳を重ね 単純な日々を数え

ちょっとしたことが 許せないくらいに弱って

それでも探していた 忘れた事なんてなかった

あなたがいない夜に 少し慣れた気がした

悲しいよ ねえ

貴方と歩く夜は 左手が少し暖かくて

暗い空も なんだか明るく見えたんだ

悲しくなんかないよ今は 寂しくないよ貴方がいるから

あの花の呼び声も 教えてくれたね

心が忘れないから 貴方を忘れやしないから

あの笑顔もあの匂いも 全部忘れないから

いつか他の誰かを 好きになったとしても

どうかどうか 私を忘れないでいて

だいたい夜はちょっと 寂しくなりがちで

あの花の匂いを 辿る 辿る

ねえ知りたいよ ねえ不安だよ

貴方は今何処で 何をしていますか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?