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短歌「人のみが・・・」

人のほか老いを労る生き物を知らざるわれは人でありたし

 どんな生き物も子どもは大切にする。では、老いたものはどうだろうか。そもそも自然界の生き物には、いわゆる老年期そのものが存在しないかも知れないが、弱肉強食の世界では、老いたものを労るゆとりはないであろう。少なくとも私は、人間以外に老いを労ることのできる生き物を知らない。

 数年前にある議員が「生産性のない人たちは税金で支援する必要がない」というコラムを発表して話題となったが、生産性のなさでいえば、わが母も同じだろう。(いや、私も)

 無用の人などいないが、百歩譲って世の中に無用の人がいるとして、そうした人もまた大切にできるのが人ではないだろうか。少なくとも私は、そういう人でありたい。

※ 同作品は『喜怒哀”楽”の俳介護』と同時掲載です。

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