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俳句「ばいも」

見るからに貝母の花は聞き上手

 実家の裏山にこの花があった。華やかさはないが、子どもの頃から不思議と惹かれる花だった。「ばいも」という名を知ったのは、茶道を習うようになってからだったろうか。いま庭に咲いている花は、実家から移植したものだが、土が合うのか毎年数が増えていく。大寒の頃芽を出して、啓蟄を過ぎた頃から咲き始め(今年は少し早い)、立夏の頃には咲いていたのが嘘のように消えてしまう。「消える」という表現がまさにふさわしく、枯葉も何も残らない。

 花には饒舌な印象の花と寡黙な印象の花がある。貝母の花は、寡黙な印象だが、口数が少ないというよりは、相手の話に耳を傾けている、そんな風情がある。

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