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俳句「道」

けもの・ひと・かぜの道あり山桜

 もう何年も山道を通っていない。お盆に仏様を迎えたり、送ったりするために実家のあった町の山寺に行ったり、峠の途中にある湧水を汲みに行ったりすることはあるが、どちらもアスファルトで舗装された車道を車で通るだけだから、自分の足で山道の土を踏んだのはいつだったか、もう思い出せないほどになってしまった。

 車で山間の道を通るたびに、よくこんなところまで道をつけたものだと感心する。人ってすごいなと思う。ただ、道というのは、人だけにあるのではない。獣や虫や鳥たちの通る道、水や風の通る道もある。根づいた場所を動くことのない植物たちは道をゆくものたちをどんな気持ちで眺めているのだろう。

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