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使い捨てって、普通に不便じゃない?
便利なライフハックと称して、今まで普通に使っていたものを使い捨てに変える、というのを推奨している人を見ることがある。
たとえば、ふきんをやめてキッチンペーパーにするとか。ほうきやぞうきんの代わりにクイックルワイパーやスコッチブライトにするとか。お茶を作るのではなく、ペットボトルをまとめ買いするとか。
「洗う手間がなくて便利」「毎回新品で清潔」と、説明される。
資源の無駄遣いだからやめて〜!!と思うのだけど、その人たちからしたら「環境のことなど気にする余裕がない」「忙しくて自分の生活を回すのに精一杯」という気持ちなんだろう。
まあ、それはわかるけど…ただ、その「使い捨て」って、本当にそんなに便利なんだろうか?
考えてみてほしい。例えばふきんなら、洗うと言っても、洗濯機に入れるだけ。干したり元の場所にしまったりもするけど、どうせ洋服を洗濯しなきゃいけないのだから、数枚増えたところで増える手間は知れている。ほうきとちりとりなんてめったに洗わなくてもいいし。(ただ、お茶のボトルを洗うのは確かにめんどくさいね。)
でも、使い捨てシステムを導入すると、使い切ったら新しいものを出してセットし、古い方を捨てるという作業が定期的にやってくるようになる。特にティッシュはめんどくさい。ストックのところから新しい箱を出し、古い箱をつぶすの、めんどくさい。
そしてすぐにゴミ箱がいっぱいになるようになり、ゴミ捨ての頻度が上がる。ゴミ捨ての曜日が決まっていて頻繁に出せない場合、家の中にしばらくゴミが溜まることになる。(特にペットボトルをまとめ買いすると、嵩張るのもあって手に負えないスピードになる!)ついでに、使い捨てをする全ての場所にゴミ箱を置かないと不便に感じるようになり、その分ゴミ捨てはめんどくさくなる。
買いに行くのも手間だ。キッチンペーパーって結構大きいし。ネットで買っても、開いて梱包材を捨てるのも一つの手間。定期的に買わなきゃいけないものがあるというのは、在庫管理の手間でもある。
在庫管理にはスペースが必要だ。キッチンペーパーひとパックと、ふきん10枚(1週間毎日変えても余裕な枚数)に必要なスペースの差を考えてみてほしい。ペットボトルのお茶と茶葉ならもっとだ。使い捨てることにより、収納が足りなくなり、散らかりやすくなる。
そして、お金がかかる。基本的に使い捨ては高く付く。
結局、企業が使い捨てを普及させたいのは、儲かるからなのだ。同じものをずっと使われたら新しいものが売れない。顧客に使い捨ての習慣をつけさせれば、すぐに使い切ってまたお金を使ってくれる。
まとめると、
使い捨てが便利な点
・洗わなくていい
・毎回新品のキレイなのが使える
使い捨てが不便な点
・交換の手間
・ゴミ捨ての手間
・買いに行く手間
・ストックの場所が必要
・お金がかかる
…こう見ると、普通に不便じゃない?
「洗うのが不便」なことは、物を売るために企業が積極的に気づかせようとしてくるけど、交換、ゴミ捨て、買い出し、ストックの不便さって、それに比べると意識させられることが少ない。意識したとしても、それが「使い捨て」をやめれば解決するとは認識されず、収納場所が充分にあり、ゴミ捨てがいつでもできるマンションに住みたいとか、車が必要だとか、もっとお金を使う方向にばかり意識が向きがちだ。
生活の中のさまざまなタスクは、人によって不便だったり、慣れてしまったらなんでもなかったり、むしろ楽しかったりするものなんだと思う。しかしその中でビジネスになるようなものばかりが不便不便と糾弾される。便利を追いかけることでむしろ不便が増える罠も結構あるように、私には思える。
試しに何か一つ、使い捨てをやめてみよう。そうしたら、目を向けたことのなかった「便利」に気づくはずだから。
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