白人女性
白人女性
ホノルルの街には、あちらこちらにベンチが設置されていて、とても便利だ。
歩き疲れたら、木陰のベンチに座り込み、のんびりと海を見ているのが好きだ。
COVID-19のため、頻度は減ったが、それでもたまに、長細いベンチに所在なさそうに座っていると、隣に座る人もいる。
物も言わず別れる場合も多いが、 たまには、2時間近くお喋りを楽しむ場合もある。
今回は、本人によると、70歳の白人女性と、夜8時から10時近くまで話し込んだ。
テキサス州出身の方で、20年以上ホノルル在住との事。
テキサス州のフォートワース市、サン アントニオ市等にも行ったことがあったので、話が弾んだ。
お喋りが好きな人らしく、 私が尋ねなくとも身の上話しをしてくれた。
一番彼女(仮の名 アリス)が繰り返したのは、幼少の頃に養女となり、育ての親の子供として育ったそうだ。
生みの親の話はしなかった。 10代の終わりに結婚、5年程で離婚したらしい。
幼児2人を抱えていたので、一時的に政府から、生活保護を受けたり、 食料品交換切符等も受給していた時期もあった。
でも、米国陸軍の事務職についてから、 自立できて、生活も安定したそうだ。
今では45歳と43歳の大人になった子どもさん達は、それぞれ結婚、ニューヨーク州で働き、お孫さんも三人いるそうだ。
私も負けじと、皆様ご存知の身の上話しを、彼女にも披露した。
なかなか退散しない疫病のためもあり、最近は孤独な人が多いのかもしれない。
お互い、米国本土には、自分の子供の家族がいるけれど、 ホノルルを老後の生活の場として選んだ点は共通している。
最近、時事問題に関する講演を聞いたり、 その種の書物を読み過ぎているせいだろうか。
かの有名なアルゴリズムで、 米政府が私の傾向を察知、私の行動を監視するために、アリスを私に近づけたのかとふっと思った。
電話番号の交換を彼女から提案した。 本当は、 彼女がどんな人か、ホノルルの何処に住んでいるのかも分からない。 判断材料は、本人の話のみ。
まあいいか。 推理小説の主人公になった気分を、瞬時楽しんだ。 本の読み過ぎで、推理が鋭敏になりすぎるきらいがある。
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