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貧しさ

貧しさ

20世紀前半の話と、21世紀の出来事を、単純比較は不可能であるが、 「怒りのぶどう」に出てくるオクラホマ出身のトムとその家族の窮地は、 現在の、元工場労働者の悲しみと苦しみと、重なる部分がある。

デトロイトのように、 自動車産業が縮小し、多くの労働者が職を無くした。 

トムの家族の場合は、昔の大家族制が少し残っていて、家族の絆もあり、助け合いの気持ちも残っていた。

21世紀は核家族の時代、しかも離婚、再婚は日常茶飯事。結婚を忌み嫌う若い世代も増え、一人暮らしも急増している。

職業をなくすと、路上生活者に落ち込むまで、そんなに日数がかからなくなった。 

企業の合理化も進み、 ダウンサイズと称して首切りも後を絶たない。 

白人だからといって、必ずしも特別扱いは受け難い時代、気がつけば、一文無しになる場合もある。 

社会の不合理さに、怒りを募らせる失業者もいるだろう。  

例え、運良く仕事を見つけても、正社員時代のような良い収入は望めず、 トム達のように、 その日に食べる食物を買う、お金を手に入れる程度の場合もある。

2016年に、ポピュリストとして新大統領が誕生、米国に再び生産拠点を戻して、職を得られるかもと夢見た人々もいたに違いない。でも、現実は厳しい。

もう15年位前であるが、ウエストバージニア州に仕事で行き、ヒリービリーと呼ばれている、山間に住む貧しい人々を、この目で見た経験がある。

広いアメリカの事、技術革新に取り残されたり、グローバル化に出遅れてしまった人々も多い。  

モンタナ州のビュートという、元炭鉱の街の落ちぶれ加減も、この目で見てしまった。

ホノルルに住んでいると、 観光客が多い土地柄だけに、余裕綽々の人々が多い印象を受けがちだ。

けれども、現実には米国でも、ホームレスも多いし、観光地から一時間も離れると、 キリキリの生活をしている住民も多い。

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