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スイミー再発見

こんにちは。senahaです。

若草物語、おちゃめなふたごシリーズ、アンネの日記、十五少年漂流記・・・
子どものときに好きだった本はたくさんあるけれど、好きだった「絵本」はすぐには思い出せない。私、何が好きだったんだっけ…? 日本昔話…?(しぶい)

自分の頃の記憶があいまいなので、子どもと一緒に絵本を読むようになって、絵本ってなんてすばらしいんだろう・・・とわりといつも感動しています。絵本の世界、奥深し。絵本こそ、大人が読むべきとすら思う。

大人になって読み返してぶっちぎりで心が揺さぶられたのは、何を隠そう、あの不朽の名作「スイミー

あれ? そういえばスイミーって、どんな話だったっけ・・・? という方、わかりますわかります、私もなんとなくしか覚えていませんでした。

大きなマグロに赤い魚のきょうだいたちを食べられてしまった真っ黒なスイミー。さみしくて、かなしくて、でも一人で海を探検するうちに、おもしろいもの、きれいなものをたくさん見つけます。

だんだん元気を取り戻すスイミー。いっぽう岩陰には、また襲われるのを怖がって隠れる、自分のきょうだいとそっくりの赤い魚たち。

「でてこいよ、みんなであそぼう。おもしろいものがいっぱいだよ!」
「だめだよ」ちいさなあかいさなかたちはこたえた。
「おおきなさかなにたべられてしまうよ」
「だけど、いつまでもそこにじっとしてるわけにはいかないよ。なんとかかんがえなくちゃ。」
   
           「スイミー」    作/レオ・レオニ 訳/谷川俊太郎

スイミーはうんと考えて、みんなで大きな魚のふりをして泳ぐことを思いつきます。
みんなが大きな魚みたいに泳げるようになったとき、スイミーは言います。

「ぼくが、めになろう。」

いやはや。この辺りで私の琴線震え具合は毎度MAX。それを知っている子どもも、一緒になって言ってくれます。

「ぼくが、めになろう。」(ご唱和ありがと)

そしてちいさな魚たちは群れになって大きな魚を追い出すのでした。

はてさて、なんでこんなにもスイミーに心が揺さぶられるのでしょう。

まずは、絵。絵がきれい。レオ・レオニによる色彩美がすばらしい。
特にスイミーが海を探検しているところの絵はもう一枚一枚が傑作です。

そして、谷川俊太郎さんの訳
日英バイリンガルのスイミーを買いましたが、その日本語訳の妙にはただひたすら感動です。

ちなみに、私が一番驚いたのは以下の訳。

An eel whose tail was almost too far away to remember…
うなぎ。かおをみるころには、しっぽをわすれてるほどながい

ええ!そう訳すのか・・・とうなりました。

自分が親になるまで知りませんでしたが、谷川俊太郎さんは絵本の翻訳だけでなく、ご自身でもたくさん絵本を出していらっしゃるんですよね。なんだかもう、ひたすらありがたい気持ちに…。

スイミーのストーリーは、ザ・レジリエンス。
大人になって、そのむずかしさと深さがわかるからこそ胸に迫るものが。
きみはすごいよ、スイミー。

4歳の娘はスイミー読みすぎて飽きてきたのか最近つれない感じですが、1歳の息子は「スイスイ」が大好き。何度も「もっかいもっかい」と迫ってきます。

いいよいいよ、何度でも読むよ。
毎回ちょっと泣きそうだけどいいかい。

大人になってから本気で読む絵本。こんなに絵本が楽しくて学びに満ちていることを発見して、なんだか得した気分です。

みなさんのとっておきの一冊はなんですか?

(senaha)

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