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エビをガスバーナでよく炙る夜に


友人が私のために誕生日会を開いてくれた。

オシャレな料理を囲み、お酒を飲んで、気づくといつものように楽しい飲み会になっていた。

貸切のレストランでは東京タワーの夜景が綺麗に見えている。

12時を過ぎ、私は26歳の誕生日を迎えた。


もう夜も遅くなり、最後、私は店を出る前にトイレに入った。

お酒に酔ったせいか、急に視界がぼやけ、そこから出られなくなりしばらくうずくまっていた。
30分くらい経ったのだろうか。

だいぶ待たせてしまったが、先に帰っていいとLINEでなおきにつたえると、
「はぁ?つまんねえーの。」と大きな声で吐き捨て、そのばにいた10人ほどの友だちが私を置いて帰っていった。
意識が朦朧としたままトイレで朝を迎え、個室を出るとすぐそこにコップに入っていたお水が置いてあった。

気を遣ってくれ誰かが水を置いておいてくれたんだと思った。

口を濯ぐと砂や砂利が混ざって入っていて、口の中がざらざらした。
飲み込もうとしていたので急いで吐き出した。
わたしは嫌われていたことにやっと気づく。

家に帰りしばらく気絶するように寝た。
起きるとお母さんから、プレゼントが届いているわよと言われ、お母さんはテーブルの上で勝手に中身を開け始めた。
箱は素敵な包装紙で覆われも、中身は当然プレゼントが入っているのかとおもっていると、

その中に入っていたのは純金で出来たトロフィーのようなものだった。
「えぇ!!こんな高価なもの!あなたこんなものお友達からもらっちゃっていいの?」

とお母さんはとても驚き、なんの疑いもなく喜んでいた。

私は静かに微笑み、母に共感して喜んだふりをした。

だがそれは、トロフィーではなく、墓石のかたちをしていることに私は気づいていた。

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