子どもの手がかかるうちに、あえて仲間を集め、子育て情報サイトを始めたわけ
子育て情報サイト「コドモト」を仲間とともにオープンしたのは、2017年3月。
この企画書を書いた2015年12月、その時うちの子はまだ3歳と1歳の一番手のかかる時期。
「明日子どもとどうやって過ごそう」を考えることが、楽しみではなく、苦痛になり、心身ともに限界が来ていた頃だった。
10分15分の休憩すら満足に取れない毎日の中、体は自由にならなくても、頭の中は自由だと、料理をしている間、洗濯を干している間に企画書の内容を頭の中で考えていた。
朝早く起き、子どもたちが起きてくる前のほんの20分30分をちょっとずつ積み重ねて、作業時間わずか2時間程度で企画書は完成した。
ゲームプランナーとして企画書を書いていた時代、1本の企画書書くのに何週間ももらえてたのとか、なんて贅沢だったんだ。しかもその悠長に考えてる間もお金もらえてるし。
でも、このコドモトの企画は、極限に苦しいときに書くことに意味があると確信していた。
1年ちょっと経って二人の子どもたちも園に通うようになれば、書き物をする時間も取りやすくなっただろう。でも、楽になるけれど、その時ではこの赤ちゃん時代の苦労が軽減する。
今のこの苦しさ、辛さは、私の中にある燃えやすい薪だ。
子どもが大きくなって、楽になったら、きっと私は他のことに興味を持って、今のこの苦しさを忘れる。忘れてしまったらもう、薪は湿気って燃えなくなる。これにエネルギーを費やせない。
当事者だからこそ、持ち得る強さがある。
だから、私はあえてその自分が一番苦しかった時期に、力を絞り絞って企画書を書いた。
専業主婦と、子どものいる在宅ワーカーの視点を持って、企画を立て、サイトを設計し、システムを組めるのは自分しかいない。
仲間づくりは得意じゃないけど、この企画には絶対に仲間が必要だ。
苦手だとか甘ったれたこと言ってる場合じゃない。
腹をくくれ、これに共感してくれる仲間を集めるんだと、近所の思いつく友達に声をかけ続けた。
その時に作って、見せた企画書がこれだ。
近所のママ友に声をかけ始めたときには、まだサイトも完成していなくて、海のものとも山のものとも思えない状態で、この企画書だけを頼りにみんな参加してくれた。
今でも、コドモトの活動を紹介するときには、このスライドを使っている。
子どもたちも今は8歳と5歳になり、子育てはあの頃に比べて格段に楽になった。もしあの時にこの企画書を書いていなければ、今の自分ではこれは絶対に書けないなと思う。
「コドモト」の名前は、強い意図と願いをもってつけた。
これを作った私と仲間たちは母親という立場だったけれど、「コドモト」には「ママ」という言葉をあえて入れなかった。
「子ども」を主体とした名前にすることで、ママだけじゃなく、パパも、おじいちゃんもおばあちゃんも、子どもがいない人も、近所の人も、社会のあらゆる人が関わり、子どもの育ちを見守っていける社会を作ることを願った。
「こども と 〇〇」をそれぞれの人が考えられるようなプラットフォームになることを願った。
スタートに情報発信を選んだことは、自分の強みを活かせるからだったけれど、コドモトで伝えた情報のその先で、人が出会い、それぞれの人が自分の居場所を見つけられるようにと願って作った。
みんなが子どもたちを連れて街に出ることで、街が活気づき、子どもが歓迎され、社会の中でその育ちを見守る土壌が育まれるように。
今、コドモトはWebサイトだけではなく、情報の先で繋がってほしいと思っていた「場」を作ってくれている人達もいる。
小さな子のママたちだけでなく、パパも、子どもが成長した人も、子どもがいない人も仲間になった。
コドモトのサイトで紹介されている1200以上の施設情報は、全て子育て当事者のママたちが現場で取材してきたものだ。
ヨガやダンス、おはなし会、防災といったものも、全て子育て中のメンバーで企画実施している。
みんな小さい子を抱えながらやることはとても大変だけれど、当事者だから、わかること、伝えられることがある。
そして、それを支える当事者でないメンバーがいるから、活動を安定的な、持続可能なものにしていける。
ママたちだけではできないことも、たくさんある。
コドモトは、Webサイトだけ見ても、完成にはまだまだ程遠い。
仲間も、まだまだ足りない。
やることはたくさんだ。
子どもたちが小さかった、あの時に焚べた燃えやすい薪を火種にして、私は今も戦っている。
今度は、この火を絶やさないように。
子育てで困り、「こんなことが知りたい」「こんな場があれば」という思いを形にし、子育て当事者たちがバトンを渡し続けられるように。
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