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大きな窓
家のリビングの吹き抜けの南側と東側に、それぞれ大きな窓がある。
この2つの大きな窓から見えるのは、ただひたすらに空、空、空。下から見上げる吹き抜け空間の家っぽくなさと相まって、そこだけ異空間のようでもある。
家を建てるときに吹き抜けをつくりたいと言ったのは夫だけれど、この2つの大きな窓の恩恵を、より受けているのは私だと思う。
朝起きて、窓に付いているシェードを開けるボタンを押すたびに、寝起きのボーッとした頭が覚醒してゆくのを感じる。
ウィーンという音を立てて、ゆっくりとあらわになってゆく空のようすを見ながら、一日が始まったことを確認する。
晴れた日の空の青さは季節によって変わることも、雨が降る前に薄暗い雲が高速で移動していくときの心細さも、この大きな窓を通して知った。
土砂降りのときに窓を打ち付ける雨の雫が、家を守る壁のように見えることも。
朝から昼ごろまで、直接家の中に入り込んでくる陽の光がつくる影の動きを見て、大体の時間がわかる。
窓の影が東側の壁に移動したから、そろそろお昼だな、という具合に。
何もかもがうまくいかない気がしてひどく落ち込んでいたとき、ふと窓の外を見ると、大きな鳥が羽をいっぱいに広げて、夕空のなかを悠々と飛んでいた。
その様子をしばらく見ていると、だんだん心が落ち着いてきて、気持ちを切り替えることができた。
次女を産んでからしばらく外に出られなかったときも、この四角く切り取られた大きな窓から見える空の様子で、外の世界を想像することができた。
この2つの大きな窓は、家の中で私が孤独を感じているときは、いつでも外との繋がりを思い出させてくれた。
家の中に大きな窓があって本当によかった。
春になり、だんだん透明になってゆく空を見上げながら、今日も穏やかに時が過ぎてゆくことに、ただ感謝している。
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