(…)新規事業を立ち上げてくれ-3-

さて、どうもはげたろーです。

会社から
「(アテは何もないから何やるかは自分で考えて)新規事業を立ち上げてくれ」※既存サービスも運用してね
と言われ、とりあえず頭の整理がてらnoteを初めて3日目となります。

今日は新規事業を検討していく上で、戦術/手段とは別に「自分が大切にしたいもの」を考えたいと思います。

1.前回までのあらすじ

これまで考えたことは以下のとおり。

1日目:自分のタイプを分析、思考の戦略を決めた
・マーケター的視点とイノベーター的視点から、分析重視で検討する
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2日目:より戦術的というか手段的なものを考えた
・今の時代の流れ、空気感を言語化する
・その空気感の原因、背景を仮説立てる
・認識した現状の逆説を考える
・逆説がフィットするマーケットはどこか
・そのマーケットに逆説をグサッとさすことができるストーリは?
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2.自分が大切にしたいもの

さて、本題。

ここまでで、ある程度ロジカルに新規事業を検討しようと決めました。
もちろん自分の普段気になっていることや好きなこと、不便に思っていることなど、自分の日頃の思いをヒントに考えることにはなりますが、それとは別に「自分が大切にしたいもの」を定めておきたいと思います。
言い換えれば今回の新規事業に絶対に外したくない要素、感動ポイントとも言えるかな。

で、自分が感動した経験を振り返ると、もちろんいい映画を見て泣けた、とかはあるんですが、全身に電流が流れるような「すげー!」とか「なにこれおもしろすぎる!」とか言う体験ってそう簡単に生まれるものではないと思うんですね。

僕にもそんな体験がたくさんあるなんてことはないんですが、覚えてる限り今までで3回そういう経験がありました。


3.電流が流れた経験<高校時代>

まず最初の経験。このときが一番電流が流れたかも。

確か99年ぐらいやったと思うんですが、初めてネットに繋いだときのこと。プロバイダはAOLで、あのダイヤルアップ特有のノイズとともにワクワクしながらネットの世界に接続しました。

当時のAOLは接続ソフト経由でネットに繋がるというもので、接続ソフトにはAOLが用意するメールやチャットが用意されていて、AOL利用者はみんなそれを楽しんでいたと思います。

で、特にそのチャットがなかなか秀逸でして、リアルタイム型の自動更新、チャットとシームレスなDMなど、UIで見ても機能で見ても今のチャットシステムと全く見劣りのない完成度だったと思います。めちゃくちゃ快適でした。

とりあえず高校生の僕は高校生が集まってそうな部屋や同年代っぽい部屋を探し、夜な夜なチャットを繰り広げていました。

はじめて入室したとき、僕が入る前から続く会話がいくつか流れたあと、「はげたろーさん、こんばんわ!」とレスが。その時点でうおーー!でしたが、それに対して「はじめましてー」と返すと、その部屋には10人ほどいたと思いますが、一斉に「こんばんわー」「ばんわー」「おはつー」とかそういう返事が来まして、そのときにビリビリビリーーー!!と電気が流れたわけです。

どこの誰かも分からない人と、今、この時間にリアルタイムに繋がっている。俺の言葉にリアルタイムに返事がある。場所なんて関係ない。ただパソコンがあればいい。そんな経験、これまではあり得ようがなくて、本当にこのチャット以外で同じ経験をしようがない、唯一無二のものでした。当時はゲームの100倍面白いと思ってましたね。

チャットから順調にネットにはまり、自分でホームページを作ったり(FrontPage Express)、某芸能人のファンサイトを作って他の有名サイトの管理者さんと仲良くなったり、penpalサイトでアメリカ人とメールのやりとりをして実際に手紙を交換したり、ヤフオクで転売してお小遣い稼ぎをしたり、そのどれもこれもがむちゃくちゃ楽しいものでしたが、やはり初めてチャットでやりとりした、あのときの感動には敵いませんでした。最初の衝撃はやっぱりすごいですね。でも、ネットの凄さ、未来感はずっと感じていたと思います。


4.電流が流れた経験<大学時代>

大学に入り、ある意味作業として使うことも増えたパソコン。正直あまり感動するようなことはなくなっていましたが、2002年ぐらいですかね。3DのMMORPGが出てきたぐらいのタイミングです。大学入学時にお祝いで買ってもらったPCでもなんとか3DのMMORPGを動かせることが分かり、試しにやってみました。
※MMORPG:多数のユーザが一つの世界で同時に遊べるRPG型のゲーム

当時は、ゲームと言えば一人でやる、もしくは友達を家に呼んで横に並んでやるのが当たり前でしたが、そのMMOにログインすると、自分以外に自由に動き回っているユーザがそこらじゅうにいる。生きたキャラクターだらけの世界でした。

当時の3Dって荒いもんですけど、それでも2Dに比べると遥かに冒険感があるんですよね。見知らぬ感がすごい。また、この頃のMMOは活気がすごくて、あらゆるチャットがそこらじゅうで繰り広げられていて、空気感としては初めてネットに繋いだときのAOLチャットに似てたかもしれません。

しかも今回は、わざわざゲームを買ったユーザが集まっており(当時はMMOでもゲームソフトを買う+月額料も払うというのが多かった)、基本的にみんなゲーム好きが集まってるということで、どこかベースが同じなんですよね。そんな人たちとゲームをしてて楽しくないわけがない。

当時僕は大学生でしたが、ユーザは基本的に大学生~社会人30代ぐらいまでが多かったかな。大学生と言っても一般的な大学生は誰もやってなくて、それこそネットにどっぶり層とかゲーム好き層とかがメイン。なので治安が良いというか、独特の温かい空気感が出来上がっていました。しかもMMOが普及してきて間もないし、特に3Dのゲームはまだ数えるほどしかなくて、このゲームが初めてです!というユーザも多くて、いい意味でガチガチにルールに縛られてなくて、それがまた盛り上がった要因かもしれません。

一人でパソコンに向かっていても、その先にはたくさんの仲間がいて、まだ見ぬ3Dの冒険世界をリアルタイムに一緒に楽しむ。パソコン一つあればできるんです。今までネットサービスを使ってそれなりに世界の広がりを感じていたはずですが、リアルタイムと冒険が合わさったこのとき、さらに世の中が広がるのを感じて、それがビリビリビリー!!となったわけです。

当時、ネトゲ廃人が若干社会問題にもなっていましたが、そうなってしまうのも未だにすごい分かります。あの当時にあのタイミングでMMOをやってないとなかなか理解し難いかもしれません。。。パソコン一つで日本中の人と冒険ができる、しかもなんというか独特の温かい空気があって、現実世界とは別にもう一つ自分の世界ができた感覚でしたね。SNSもまだ普及してない時代だったのでお互いの素性が詳しく分からないのもいい距離感を生み出して、あの空気感に貢献してたかもしれませんw

ただ、当時、3Dゲームの進化もめちゃくちゃ早くて、それに伴いゲームを動かすマシンスペックもどんどん上がり、僕のマシンではすぐに満足に動かなくなり、1年ほどでゲームを卒業することができましたw今思っても学生で金なくて良かったと思います、続けてたらヤバかった…。(バイト代つぎ込んで分割払いでパソコン買う寸前まではいきましたけど、当時バイト自体が楽しかったり大学生活もサークルやり始めたりで、他にも楽しいことがいっぱいあったおかげでなんとか踏みとどまったという…w)

MMOは卒業しましたが、学生の間も、Flash動画を楽しんだり、テキストサイトを楽しんだり、mixiを楽しんだり、ニコ動を楽しんだり、相変わらずネットにはどっぷり浸かっていましたが、まぁあのMMOを始めたときのような感動を味わうことはありませんでした。どれも面白くて毎日夜な夜なやってたんですけどね。


5.電流が流れた経験<社会人時代>

月日は経ち社会人にもなり、少しお金の余裕もできたとき、久しぶりにゲームをやりたいなと。2008年ぐらいやったと思います。

当時ちょうどW杯やってまして、大画面で観戦したい!という気持ちが強すぎて、ボーナスつぎ込んで50型のテレビ+サラウンドシステムを購入したんですよね。それを生かすのが映画orゲームかなと思って、それではじめたというのもありますw

PCでまたMMOをやるという選択肢もありましたが、↑の理由もあり、またこのときMMOには少し興味がなくなっており(理由は後述)、なんとなくコンシューマー機がやりたいなと。選択肢としてはPS3かXbox360でしたが、ネットの情報を見てるとXbox360のほうは社会人が多く雰囲気が良さそうではあったので、そのとき発売されてて評判の良かったLeft4Dead(L4D)というゲームとともに購入しました。

L4Dはゲーム自体が名作中の名作なんですが、まぁそれはいったん置いといて、この時代のコンシューマ機でオンライン対応のものはボイスチャット(ボイチャ)に対応していました。

なんとーなく、ネットでリアルな自分を出すというのは当時抵抗があり(実名でやるものなんてなかったですし)、声であっても恥ずかしさというか、うーんというものもあり、しばらくはオンラインにつないでも声は出さずに聞いているだけでやっていました。

まぁ当時は外人ユーザとマッチングされることも多くて、喋っても意味ないことも多かったですがw

ただ、一回まじで助けてほしくてちょっと喋ってみたんですよね。そしたらすぐに会話がばーーっと始まって、なにより、ゲームをやりながら喋るってのは、キーボードでやるチャットとは違って完全に同時並行でできるんですよ!(当たり前)

これがゲーム体験にとってこんな大きなこととはやってみるまで分かりませんでした。つまり、これまでのチャットやと、チャットを楽しむとゲームのプレイが疎かになり、ゲームに本気になりすぎるとチャットができなくなり、という矛盾した部分がありました。まぁこれはこれでチャット死というお約束が生まれたりして、ネタとしては良かった部分もありますが、どうしてもすべてにおいてチャットがタイムラグを生んでしまい、スピード感がでにくいんですね。

またチャットの場合、タイピングの時間が、よくも悪くも考える時間を生むので、「反射」的な行動が減るのもあり、それもスピードを落としてしまう要因になったと思います。(ただ考える時間があるので、より空気は読みやすいんですが)

ボイチャは完全に同時並行ができ、考えて喋ることもありますが、ゲーム中の喋りは基本的に「反射的」に出ることが多い。これがすべてに置いてスピード感につながるんですよ。スピード感はアクシデントにも繋がりやすく、アクシデントってめちゃくちゃゲームを盛り上げるんですよ。MMOのまったりスピード感を体験してたこともあるとは思いますが、このボイチャのスピード感、アクシデント感を感じてしまったとき、またびりびりびり~~!!となってしまったわけです。

MMOのときよりも「一緒にゲームしてる」感が強くて、エンタメ性が高い。没入感がすごいんです。ネットって、こういう同時に作業をしなければいけないことですら、ここまでの体験を作れるんやって、すごい感動して。

いや、まぁ別に友達呼んでやったら一緒やんって話でもあるんですが、呼ぶ必要なくて、日本中の人といつでもこれができちゃうというのがすごいですよねー。


6.電流を流すポイントを考える

で、これまでの経験をまとめると、僕が電流を感じるポイントは

「現実にはありえない出会いを提供している」
→チャットに/ゲームに繋げば世界中の知らない人が待っている
「提供された出会いを最大化させる楽しい仕組みがある」
→ゲームという体験をチャットやボイチャで最大化している

というところかなとも思うんですが、ちょっと違うんですよね。

大学時代にドハマリしたMMOですが、社会人時代にはもうまったく興味がなくなっていました。(後述するといってたポイントです)

これには原因があって、独特の温かい空気感(治安と呼んでました)がなくなってきたんです。

実はPCスペックが追いつかなくて引退したあとも、そのPCでも動くゲームはあるにはあったのでいくつかやっていました。ただどの作品でも、しかも時間が経つにつれて治安が悪くなっていったんですよね。

このときなにが起きていたかと言うと、
・どんどんゲームやる人が増える(基本無料型ゲームが増えたのもある)
・色々なバックグラウンドの人が増える
・ゲームに求めるものが多岐に渡る、年齢が違いすぎるなどの問題で、ある程度方向性が揃ったメンバーのクローズドな集まり(ギルド/クラン)中心になる
・ギルド/クランが中心になると、身内のつながりが強くなり、他者(他のギルド/クラン)への寛容がどんどんなくなっていく
となっていったわけです。MMOの面白さがなくなってしまっている…。

ある程度、MMOをやる人の粒が揃っていたときは、例えゲームに求めるものが違っても、空気の違いを感じることができて、ギルドにようにガチガチに線分けをせずとも柔軟に遊ぶことができてたんですよね。

ただ、人の粒が揃わなくなったときに、分かりやすい(目に見える)形で線引きしてあげないと、うまくコミュニティが出来上がらなくなってしまった。線引きされた中では楽しむことができるけど、本来のMMO的世界観が用意しているフルオープンな設計が無駄になってるとも言える。

つまり、あまりこういう言い方はしたくないんですが、バックグラウンドがある程度揃っていないと、オープンに楽しむことはできないと思うんです。ちょっと悲しいことではありますが…。

まとめると、

「現実にはありえない出会いを提供している」
「提供された出会いを最大化させる楽しい仕組みがある」

による感動を最適化させるためには

「使う人たちの粒をある程度揃える」
※逆に言うと、揃えない場合は線引きして使えるようにする

ということが重要だと思っています。


ということで、今回だいぶ長くなってしまいました…。

新規サービスには、

・サービスを通して人がマッチングしている要素がある
・使う人達のバックグラウンドを揃える

という要素を入れ込むとどうなるのか、というプロセスをいれて検討したいと思います。

さあ、次からは実際のサービス検討に入っていきたいと思います!まずは現状分析からですね!

進捗めっちゃ遅いな。

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