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本の備忘録

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16年前くらいから、読んだ本の備忘録として、それから未読の積読本も相当溜まっていたので重複して購入しないようにと、書評というには拙い内容をとつとつとブログで綴っていました。 6…
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2021年11月の記事一覧

地球滅亡カウントダウン

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2009年7月3日に投稿したブログより。 久々の伊坂幸太郎。 文庫化してたので購入、惜しみつつも一気読み。 8年後に地球に隕石が衝突して、世界が終わるのが避けられないと判明してから、5年目。 残り3年を前に、騒乱に巻き込まれたというか、騒乱を起こした人類たちの生活にも小康状態が訪れる。 そんな日常の群像劇を伊坂風味付けにて描きます。 地球は滅びるかもしれ

昔話が残されているのはなぜ?

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2009年6月19日に投稿したブログより。 タイトルに惑わされてはいけません。 今現代にある昔話というのは、どのような経緯で残されたのでしょうか。未来への伝承のためなのか、それとも娯楽がなかったから、その代わりなのか。 現代に当てはめてみると、読むものは昔話以外にも絵本がたくさんありますし、大人であれば様々なジャンルの小説があります。視覚化すればマンガやアニメ

これぞリアルサムライ小説

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年10月27日に投稿したブログより。 日本のチャンバラ映画に勝手に感銘を受けて、「Oh、ハラキリ、サムライスピリッツ、ブシドー素晴らしいネ」と勝手な解釈をしてしまった外人作家の想いに対して、こちらは真っ向から否定する日本の巨匠による一冊。 当時だって、「何で他人の不始末なんかでオレが詰め腹をしなけりゃならねーんだよ。ふざけんな。」という武士がいたっておか

最高の作家による裏切りの展開

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年10月23日に投稿したブログより。 皆さんならどうでしょう。 物凄く好きだったシリーズが、たとえばスター・ウォーズのようなサーガもののシリーズが完結し、もう再びあの世界観には浸れないだろうと嘆いていたら、その新刊が出るという喜び。 喜び勇んでようやく手に入れたら、何と洋物なのに、今度の舞台は日本。 しかも主人公の職業は戦争の英雄でありスナイパーであ

サラリーマン必見!!

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2006年5月6日に投稿したブログより。 今回のは短編集です。 5編全て40代の課長達が主人公。 おそらく40代以上の男性は、思い当たることが多い中、ニヤニヤと読むことになるでしょう。 そして、読後は何だか爽やかな気持ちになっています。 ① 部下に密かに恋焦がれる課長。 ② 自我が形成されてきた息子に手を焼く課長。 ③ 新たに配属された課内の不正が許せ

青春小説の決定版

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2010年4月24日に投稿したブログより。 市原隼人主演で映画化もしていましたね。 何年か前に、北上次郎氏が大絶賛しておりました。 幼馴染のやんちゃな天才ボクサーに勧誘されて、ボクシング部に入部した元いじめられっこの秀才タイプの主人公。 勉強同様、持ち前の努力をコツコツと積み重ねていく主人公と、天才肌のおちゃらけボクサーの行きつく先は? 部内のライバル、部

日本人の視点から描かれた新たなる名作!!

神々の山嶺で山に挑んだ夢枕獏が、今度は海に挑みます。 白鯨に取り憑かれた狂気の男、エイハブ船長の戦いぶりを目撃するのは、漂流しているところを救い上げられた我らが日本国のジョン万次郎その人。 海にそびえ立つ白い山は神の化身かそれとも悪魔か。 船長の狂気は伝播して次第に乗組員たちを巻き込んでいきます。 運命に巻き込まれた男たち、そして偉大なる生き物の行く末はいかに。 熱い男たち、戦いに挑む男たちを描かせたらナンバーワンの夢枕獏が圧倒的な筆力で描き出す渾身の冒険譚。 読

ワンピースを彷彿させるワクワク海賊冒険譚

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2009年10月28日に投稿したブログより。 当時驚いたのを覚えているのですが、この作家、このブログを書いた2ヶ月後に失踪しているのですよね… 2009年12月19日に滞在していた京都市内のホテルを出たのを最後に消息を絶つ。多島は1989年頃に右目を失明しており、失踪前日、弟や長女に「1か月前から左目も見えにくい。この年で両目を失明し人の手を煩わせたくない。失踪

山田風太郎の生まれ変わり

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2009年3月7日に投稿したブログより。 日本史のみならず、日本ではあまり縁のない朝鮮史にも造詣が深く、確かな時代考証の元に描かれたのは、何故かハチャメチャな何でもありの超伝奇時代小説。 かつて豊臣秀吉に攻められた朝鮮は、大きな恨を日本国に抱いており、逆に征服せんと朝鮮の妖術師や祖国を裏切った柳生の剣士たちが襲いかかってきます。 朝鮮民族にとっての「恨」は、単

人間の条件

今週はずっと本の話が続いてしまっていますね。 ドイツ出身のユダヤ系哲学者であるハンナ・アレントは著書の中で、「人間」であるための3つの条件について述べています。 労働 (labor) : 生存のために必要に駆られてする行為 仕事 (work) : 何らかの目的を達成するために行われる行為のこと 活動 (action) : 自発性に基づいて、積極的に他者とのかかわりを持つような行為 条件の次元としては、「労働」が下位で、「活動」が最も重要な要素だとされています。 上

年下男子好きにオススメです

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2010年8月29日に投稿したブログより。 まだまだメジャーじゃないけれども、読んでハッピーになれる作家っている? なんて訊かれることは別にないですが、もし訊かれたらこの作家の名前は挙げるかもしれません。 他に挙げるとしたら山本幸久、平安寿子、竹内真とかでしょうか。 共通するのはホンワカとしたユーモア加減とハッピーエンド。 恋愛が上手くいこうがいくまいが、

介護業界の関係者は必読の書です

大仰なタイトルにしてしまいましたが、それくらいためになる話が満載でした。 丹野智文さんによる「認知症の私から見える社会」。 39歳の若さにして認知症を発症し、以来、仕事をしながら認知症当事者への正しい理解をしてもらうために全国を飛び回り講演をされています。 丹野さんのことを初めて知ったのは、「ガイアの夜明け」というドキュメンタリー番組で「それでも働き続けたい 認知症と仕事 両立できる新時代」というテーマの回を観た時です。 たまたまこの回に、若年性認知症を発症した奥様を

大大大好きな伝奇小説について

読書が好きで、これまでも結構な冊数を読んできました。 移動時間の多かった年などは、年に250冊くらい読んでいた時もありました。 今はペースを落としていますし、未読の本も1,800冊以上家にありますので、年100冊読んだとしてもあと18年かかってしまうのですよね。 それでも、好きで何度も何度も繰り返し読んでしまうものが中にはあります。 万人受けはしないと思いますが、今日はそんな本のひとつを紹介したいと思います。 ✅隆慶一郎「一夢庵風流記」 司馬遼太郎にもハマりました