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ハゲができるまで⑦

あれは、おれが18か19歳の頃......。当然、まだこの頃は自分がここ地球への光の浸食を進めるべく来星したケナーシ星人であると気づく前の話し。


その日は日曜日、おれは地元でも有名なとある高級ホテルのロビーで、綺麗な彼女との会話を楽しんでいた。辺りにも同じように綺麗なお姉さんと歓談しているおれくらいの年頃の青年がチラホラいる。

「ハゲくんは~、いま彼女とかいるの~?」

「いや・・・いまは・・・」

「うふふ♥そっかぁ~。じゃあ、お休みの日とかは何してるの?」

「車イジりが好きだから、それやってるかな」

「へぇ~!お車なに乗ってるの?」

「チェイサー。(親父譲りの中古)」

「大きい車だよね~。すごーい🎵」

「へへっ、ホイールとかも自分で変えたんだぜ(少し自慢げ)」

「ぇえーすごーい!✨ところでさ~、こうゆうクラブがあるんだけど、興味ない?」


彼女はパンフレット冊子をおれに見せた。そこには金持ちそうな複数の男女がクルーザーで颯爽と海上を走る写真やゴルフやパーティを楽しんでいる写真、ようこそ!みたいな文字が一面に散りばめられていた。それを見せながら、彼女が流暢に話をすすめる。


「これね、選ばれた人だけが入れる特別なクラブなの!60万円払えば、入会できて、毎週いろんな楽しいイベントに参加できるんだよ♥」

「う、うん・・・・・」

「60万円ってね、一括払いでなくてもローンもできちゃうから、今すぐ払えなくても大丈夫なんだよ♥」

「ふ、ふーん。それなら払えるかも」


アホだった。おれはこの時、バイトしていた頃の月の稼ぎ5万円が、働き出してからというもの月20万ほどにUPしていたばかりであったので、完全に金銭感覚が狂っていた。加えて、イケメンではあったが、女性慣れしていなかったこともあり、その彼女が見せるまばゆいばかりの綺麗なオーラと、キャバクラのような感じだったのであろう、「何だかめっちゃ女にモテてる感」に襲われており、正常な判断ができない状態であった―――。

当然の如くそこに気づかず、ただ”浮かれて勘違いしている哀れなアホ男、弱冠18歳”である。


「すごーい!ハゲくんてお金持ちなんだね💕うふふ🎵じゃあ、ハンコをここに押してサインしてもらえる?❤」


おれはあらかじめ、持参するよう言われていた三文判を取出し、〇〇〇クラブ入会申し込み用紙の押印欄に捺印した。(してしまった.......。)


60万円!!💰




プレステ5を転売価格の50万円で買ってもおつりがくるじゃないか!
この数年後ハゲたわけだが、60万あればいいカツラが買えたかもしれない!
高級温泉宿に何回宿泊できるだろうか!
100均の店内にある商品を全て買い占めることが出来るかもしれない!
夜の店で豪遊して、おねーちゃんとワンナイトまでイケたかもしれない!
ちんこをもう少し大きくして若旦那by湘南の風に勝てていたかもしれない!
タロの助のほっぺたをピシピシやって、「お前エロの助だったっけ?名前」ってできたかもしれない!

何より、その60万円で”世界に愛を蔓延”できたじゃないか!!💕
(60万÷77億=0.0000779円ずつの愛♥)



数週間後―――。



自宅に届いたのは、〇〇〇クラブの紹介ビデオテープ×6本セットだった。
それきり楽しいイベントのお誘いも、綺麗な彼女からの電話もない。





みなさんも悪質商法には注意しよう!



地球へ還元できなかった60万円分の愛とハゲ評議会の目的である光の浸食、何よりこのような経験を与えてくれたあなたも含め、今日もおれは地球へのヒーリングを送り続ける。たとえ星の民全員に届いてなくても構わない。夜に子供を寝かしつけるのに、いいフォースとなっている。すぐにぐっすり💕

家族はおれがフォースの使い手であり、この星を癒していることはまだ知らない。愛の60万円をドブに捨てた過去があることも(泣)👍✨



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この記事を大切な”気づき”をくれた悪質商法の彼女へ捧ぐ。
”騙されない勇気”を教えていただき感謝!!

ハゲができるまで⑦ 完


愛ゆえに愛が愛に愛という光を・・。 あなたにいつも拈華微笑💖