今この時代だからこそ初期エレファントカシマシを聴こう!
皆さんハマタイです。
年末年始休み、何もすることがなくPink FloydのTimeのような歌詞の日々を過ごしている悩める海牛です。
今の時代、情報がありふれ昔より色々なことに手を出しやすくなってるはずなのに無趣味人間や無気力、さらには何もすることがなくただただ今の自分みたいに惰性的な生活をしている、しかしネットで不満をぶちまけたりという人が増えてると知り「まさに初期エレカシの歌詞じゃん!」と思い立ったがためにこのお題を投稿しました。(Pink Floydの話題出したんだからそっちを書いた方が良くね?と思ったのは内緒)
世間のエレカシのイメージ
まず初めに世間的にエレファントカシマシ(以下エレカシ)のイメージと言えば、すぐ髪をかき上げたり落ち着きがない宮本浩次、エブリバディ、頑張ろうぜ、車道で叫ぶ米津玄師を叫びながら撥ねる宮本浩次、というイメージが多いかと思います。
そんなエレカシが世間的に知られている曲と言えば悲しみの果て、今宵の月のように、俺たちの明日といったメロディが綺麗なポップス、若しくは前向きな応援ソングとなります。
しかし!そんな世間的なイメージやロックフェスでのイメージと違い初期エレカシは泣く子も黙る破天荒かつ孤高、いや孤独な存在でありました。
そんな初期エレカシの作品についてこれから紹介していきたいと思います。
THE ELEPHANT KASHIMASHI
1988年、満を持してデビューを飾ったエレカシの1st作品
エレカシ、そして若き日の宮本の戦いが始まった瞬間でもあります。
他のバンド同様デビュー作における初期衝動の爆発はとてつもなくファイティングマンから花男まで緊張感が緩むことなく宮本の怒号とも呼べる歌声が響き渡っています。この時点でエレカシのことは有名な曲しか知らない人達はかなり驚くかと思います。自分も最初聴いた時は(こわ、、、)という感想しか出ませんでした。
全体的にバンドとしての演奏技術は全然ですが曲のクオリティはこの頃から非凡なものがあり、かつ歌詞の内容が令和のこの時代にも、むしろこの時代の方が刺さるんじゃないかという風刺で聴いてて新たな発見が多く最高な作品ですよ。一応ジャンルはパンクやロックンロールになるのかな?
1986年ごろからコンテストを受けたりしていた頃に作られていた曲がちらほらあり、80年代中盤から後半のあの時代にこれは凄みしかないですよ。
THE ELEPHANT KASHIMASHI II
デビュー作の勢いそのままに同じ年にリリースした2nd
もうキレてます、ブチギレてますよ宮本
ブチギレてるのに曲のテンポが遅い!パンクなのに遅すぎる!一応ブルースだったりフォークだったりと一通りロックの元になる要素もあったりするのですが、この作品の曲は勝手に歌謡ドゥームパンクと名付けてるぐらいには唯一無二すぎるんですよ曲の雰囲気が。
宮本の怒り溢れる歌詞がより内面側に、皮肉もより多く自虐も多くと聴いててここから4作品目までは刺さる人にはど真ん中剛速球なぐらい突き刺さると思います。
後公式がだしてる当時のライブ映像を見てもらったらわかると思うのですがとにかく真剣を持った侍が常に睨んでる、そんな緊張感が終始漂うあまりに異色すぎる演出で既に孤高であることがわかります。(というか誰も触れたくないだけかもしれない)
浮世の夢
個人的に初期エレカシで1番好きな3rd
この作品からデビュー時期にあった世間への怒りや不満はぶちまけることがなくなり、その分内面への精神を達観させると言いますか何もかも諦めた気持ちやそれこそ冒頭でも話したPink FloydのTimeのような歌詞が最初から最後まで綴られるようになります。20代でこの歌詞はエグイ。
それとエレカシワードの1つである浮世がこの作品から登場します。
曲は相変わらずあまり上手くもない楽器隊(グルーヴ感はかなりでてる)と宮本の全力歌声。ただとにかく全曲メロディや展開が素晴らしい。特にうつらうつらの今までにはない優しさと達観が混同するイントロからサビまでの流れ、珍奇男の自虐の歌詞をフォーク調(というか路上ライブみたいな感じ)の出だしとバンド全体の爆発的な火力での表現、上野の山やGTや浮雲男のような小気味良いイントロのロック等邦楽名曲選なんかに選ばれても良い程の良さがどの曲にもあり時代がもう少し理解あるものだったら爆売れですよ。
生活
でました本当の意味での問題作
エレカシ好きでもこの作品は好き嫌いがかなり別れるタイプ、むしろエレカシ好きというよりもグランジや60年代から70年代の邦楽アングラフォークロックが好きな人の方が気に入るかもしれない作品です。
ジャケもシンプルにバンド名と作品名のみ、これまでバンドの予想を遥かに超えた売れなささ(当たり前ではある)のせいで宮本の自信喪失と世間とのズレによる苛立ち等によってさらに内向的な歌詞を書くようになっていきました。その頂点ともなる作品がこの「生活」です。
曲の長さもまさかの10分超えが2曲もあったりと確実に聴く人を選ぶ内容となっています。曲自体もいきなりLed ZeppelinかとなるほどのHRスタイルや10分超えの宮本の独唱気味の四畳半フォークロックだったりと、しかもその歌詞のほとんどが自分に対する絶望や全てにおいての諦めかつ曲名にもある通り隠遁生活をする人向けというある種極まった人でないと共感できない恐ろしい作品ですよ。しかしこの歌詞が刺さるんですよね、、、刺さらない人にも反面教師のような感覚で聴ける恐ろしい作品です。
もしかしたら今の時代、この歌詞が刺さる、そんな人が多いのかもしれません。令和となった今この時代だからこそ再度輝く作品です。
エレファントカシマシ5
タイトル通りの5作目
前作が色々とやりすぎたことを反省したのか少し前向きな歌詞、さらにはポップな曲も書こうと思い立ったがしかし、宮本自身に色々なことが起きてしまったからか結局今までのように内向的でかつ今作は曲自体のクオリティや歌詞がどこか心ここにあらずとなってしまっていたりします。
それでもデビュー時からずっとある情熱が消えたわけではなく、上記のように心ここにあらずな時期でもあったからこその歌詞であったりバンドとしてのサウンドのバランスが良くなったりと結果オーライな内容もあったりしているため好きな人も結構いるのでは?
10分超えはなくなってますが当たり前のように7分超の曲があったりするためやはりこの作品も人を選ぶことに変わりはありません。
奴隷天国
もうタイトルから売れる気ないのか?となる6作目
しかし実際は宮本はいつでも売れることに本気でこれ以上ないぐらい頑張っているのですが、、、
1曲目のタイトルソングから今までのエレカシにないぐらいのポップでノリノリロックのリフが流れてくるため「お、エレカシもとうとう変わったか」と思うのもつかの間、いきなりあくびしたまま死ねと宮本に怒られながら言われるのでやっぱり売れる気ねーなともなってしまう作品ですよ。
そしてやはり内向的な歌詞に帰結してしまう。絶交の歌なんて聴いてるこっちがしんどくなってくるぐらい諦めと未来のない絶望感で聴き終わるころには「しんどい、、、」となっているはずです。しかしどこかこの歌詞が自分に刺さる、自分の代弁なのかとなってしまう、だからこそ初期エレカシの曲は恐ろしく、軽い気持ちで触れて良いものではないのかもしれません。
東京の空
初期エレカシ最後となる作品
このままではいけないと感じた宮本の心情が歌詞から読み取れるぐらいには今までの作品と曲の雰囲気が違う作品。
今までは引きこもり、内向的、惰性、諦めなどまぁ暗く聴いてる側も精神をすり減らし、それでも宮本と共に歩いていくような内容でしたがこの作品は違う。走れ、前を向く、俺たちの明日のプロトタイプ版のような「明日があるのさ」ととにかく前向きな歌が増えてるのですよ。
更には今までの宮本の集大成ともいえる表題曲でもある東京の空、12分以上+知る人ぞ知るフリージャズ演者の近藤等則の共演と中々に濃密な内容なのですがこの歌のみ歌詞がまだ内向的なんですよね。でも今までにないどこかすっきりした雰囲気もあるという、、、つまりこの作品こそ初期エレカシと世間が知るエレカシの繋ぎともいえるものなのですよ。
世間とのズレや自分自身の環境による苦悩の日々を送ってきた宮本が走り出す前の、世間に対してくだらねぇと呟いて冷めた面して歩いていた初期エレカシが明日へ行こうぜとドビッシャー男になるためのこの軌跡をぜひ聴いてほしいです。
そんなエレカシの初期ライブをまとめた動画が公式にあるので是非こちらも視聴して見てほしいです。
最後に
新年一発目のnoteがエレカシ!いやぁ景気が良いですね。
この初期エレカシを知ってこそ宮本浩次という男がどういう人なのか、何を求めて何を伝えたくて音楽をやっているのかがわかるというものです。
多種多様となったこの現代、21世紀となり平成を超え令和となり、世界情勢も色々変わり表現方法等も変わるこの時代、新時代だからこそあえてあの時代の、誰もかれもが共感はしないが数少ない共感者に対して寄り添い同じように鬱屈した内情を吐き出す。さらには無気力となりこのまま何もせず流れゆく日々を過ごしていく俺は何者なのだと心に問いてくれるエレカシを聴いてみてはいかがでしょうか。
いつまでも独りよがりで何もできやしない哀れな男の味方宮本浩次、そしてエレファントカシマシを好きでいたいなぁとこの記事を書いて改めて思いました。
長々とお付き合いいただきありがとうございました。