キャラクターの表情変化だけでストーリーを演出する!漫画の描き方(レシピNo.5)
キャラクターのクローズアップだけで「今日の出来事」という漫画を描きました。アップだけですが、コマ割りの流れにストーリーがあるように感じませんか?そう見えるならば、それは、キャラクターの表情変化を、フカン(俯瞰)やアオリ(煽り)などの漫画技法、アングルの位置を使って演出したからです。どのようにこの漫画を描いたのか、描き方を説明します。とてもシンプルな例なので、コツが分かりやすいと思います。下の2ページ分の画像を見て下さい、右が描く手順とアングルの説明で、左が漫画で使ったキャラクターの表情の描き方です。
いかがでしょうか、文字が小さくなってしまって読みづらいですね(画像クリックで拡大できるそうです。また、一番下に高解像度のPDFダウンロードがあります)。ですので、下に補足を入れつつ説明していきます。まずは、どんな事が書いてあるのか目次をごらんください。
使う素材はクローズアップだけです
まず用意した素材の説明です。下の画像がそうです。
今回はキャラクターのクローズアップだけです。漫画でよく使われるような、少しオーバーな感情変化を使います。とてもシンプルです。
素材を組み立てていきます
これから、この1つだけの素材を、どうやって組み立てて漫画にするのか説明します。組み立てるのに使う漫画技法は、(移動)アングルと、固定アングルと、トリミングです。
この3つの漫画技法が出てきますので、覚えておいて下さい。
1.ストーリーを思い描いて表情変化の簡単なラフを描く
漫画の左上の文章がこの漫画のストーリーです(実際はこの文章も表情を描くのと一緒に考えましたが、説明しにくいので、文章を読んで表情などを考えるとします)。シーンごとに番号を振って色分けしてあります。まず、こういう時どんな感情で、どんな表情をするだろうと想像しながら表情のラフを描く。下の絵のようなごく簡単で大丈夫です。
2.アングルの基本を使ってコマ割りし、ネームを描く
ラフを元にさらにラフを描く。先にコマ数(12コマ)を決め、何度もストーリーを思い描いて思い通りの感情変化が入ったコマのネームを描きます。具体的には、シーンを変えたい所はアングルと表情を変えてコマ割りします。表情の変化を描きたいところは固定アングルでコマ割りします。つまり、場面転換と表情変化をつなげる、ということをやります。上手くできるとドラマチックに見えます。下の絵で説明します。(漫画と同じ色のコマの説明です。漫画もシーンごとに背景が色分けされています。)
上の絵の説明が場面転換で、下が固定カメラの説明です。漫画は絵ですので映像のようにフレームの中での繋がったアングル移動はできません。なので、こちらの2つの方法などを使うようです。つまり、どうアングルを動かして場面転換するか、どこを固定カメラにして表情をみせるか、それをどういう配分で12コマにするかです。これはストーリーを演出をするということでしょう。つまり、アングルの位置を使って、ストーリーを演出しました。
3.アップとトリミングの効果を使う
全部同じ大きさだと単調なので、アップとトリミングの効果を使います。見栄えの良い所の3箇所をアップにしてトリミングしてみて、うまく見えたらそれでよい。
このような感じです。トリミングすると場面を区切る効果もあるみたいなので、注意して入れました。
4.下書きし、ペン入れをする
これでいいと決まったら、細部がよく見えるよう下描きし、ペン入れをする。
キャラクターの表情の描き方を分解図で説明します
(移動)アングル・固定アングルなどの説明はしましたけれど、それらはコマのつながりの話です。1コマ1コマの表情をどうやって描いたのか詳しく説明します。キャラクターの表情を、AとBに分解してみました。Aは表情を真正面から見たところで、Bはキャラクターの姿勢とアングルの位置の矢印です。そのAとBを微妙に調節して組み合わせることで色々な表情とその意味を作っています。1コマずつ説明していきます。
①漫画1コマ目です。何かを見つけて驚いています。
A、下を見て驚いた表情
B、下向きの頭の傾きを下斜め右から見たアングル
頭が下向きであるのが、なにか下にあるということを示します。それで、驚いているので、下に何かあるから、リアクションしていることになります。
②漫画3コマ目です。恐る恐る覗いています。
A、下をうかがっている表情
B、斜め上向きの頭の傾きを水平線に沿って見たアングル
顔を上向きにそらしつつ前方を見ています。目当てのものが、見えているんだけど直視したくない感じです。そういう何かが目の前にあることを示します。
③漫画7コマ目です。不安げで何かに気がついています。
A、不安げに左を見てる表情
B、少し下向き少し右に傾けた頭を上斜め左から見たアングル
頭を少し傾け、アングルを斜めにし、キャラクターの目を左右どちらかを見ている表情にすると、視線を動かしている様な動きになります。視線の先に何か映るものがあるようです。
④漫画11コマ目です。良かったと喜んでいます。
A、ニッコリした表情
B、上向きで少し右に傾けた頭を少し上斜め右から見たアングル
ニッコリした表情を少し傾けるとカワイイです。ちょうどアングルがある方向に顔を向けることになります。ニッコリしたことを強調できます。
⑤漫画12コマ目です。感謝しています。
A、うれしかったことを噛み締めているような表情
B、真正面から見たアングル
動かない正面です。どっしりとした感じです。漫画では1番最後のコマに使っています。これ以上コマが続かないことを表したかったです。
まとめ、初心者でもシンプルにすればアングルでストーリーを演出できると思う
「今日の出来事」という漫画は、キャラクターのクローズアップだけで描きました。とてもシンプルです。あんまり漫画を描いたことのない私が、(移動)アングルと、固定アングルの漫画技法を使えたと思うのは、とてもシンプルな素材1個だけだったからだと思います。なので、初心者でもなるだけシンプルな素材を使えばアングルを使ってストーリーを演出できると思います。
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この記事はノートのマガジン、「サイレント漫画の作り方レシピ」の中の1つの記事です。1ページのサイレント漫画と、その漫画の描き方についての記事をまとめています。
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