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役者を目指した青年が「社会構造の変革」を志すまで。ハコベルだからこそ実現できる物流DXが拓く新世界

 ちまたでささやかれる「ノリに乗っている」SaaSチームを率いる長田 直記、HR方面にも造詣が深く、入社してすぐ「リファラル大臣」に任命され盛り上げました。今回のインタビューで知った意外すぎる長田の原体験や大切にしている軸など、情熱たっぷりにお話いただきました。

物流DXシステム部長
長田 直記 Naoki Osada
日本ユニシス株式会社(現BIPROGY)に入社。流通部門向けのセールスを担当後、東南アジア進出検討のためシンガポールに駐在事務所の立ち上げを推進。その後FiNC Technologies、マネーフォワードを経て、2023年8月、ハコベル株式会社へ入社。物流DXシステム事業部長に就任。

「新生・SaaS」チーム!業務内容や体制、ビジネス特性の最新状況を語る

—— いま「ノリに乗っている」と巷で噂のSaaS事業を率いる長田さん、現在少し体制が変わったと聞いています。

 そうですね。ハコベルにはそもそもマッチングのビジネスとSaaSのビジネスとがあり、私はSaaS事業のPL責任を負っています。特に開発とビジネス側という括りで分けた際にビジネス側のマネジメントを管掌しています。マーケティングやセールスの部分、どうやってリードを獲得して受注につなげていくのか?というところを主に見ています。

 3月に組織変更があり、これまで相対のお客様規模で部が分かれていたのが、ひとつになったのですが、体制変更によって大きく変化したことはないんですよ。注力するポイントが少し変わり、この新たな体制で一丸となって臨むという布陣になりました。まずは1人ひとりと初めて深く向き合い、私の自己紹介から始めました。

 事業部自体はひとつに集約し、下に紐づく部としてはマーケ&セールス部とカスタマーサクセス部とに分かれました。ある意味では「新生・SaaS」と言えるのかもしれません。注力するポイントを変えた結果が得られているのか、結果を得るまでのプロセス毎に現在どういう状況にあるのか。それらを見える化しました。
 どうしても受注までのリードタイムがかかるビジネスなので各プロセスを可視化し、先の数字まで見通すようにしています。

—— プロダクトの特性上、「1度売って終わり」ではなく、継続使用していく商材ですからね。直近の状況はどんな様子でしょうか。

 そのとおりで、計画や注力するポイントを立てやすくなります。そのため、現在はほぼ数ヶ月先の予算達成の確度が見えているので、それ以降、また来年度という観点でどこに注力すべきかおのずと解る状態を構築しています。
 
 ここで、トップアプローチにより規模の大きい案件を得られれば、より非連続な成長が見込めます。さらにはトップアプローチ以外でいくら積み上げればいいのか、ということを明確に言える状態です。これらによって「役割ごとになにをすべきか」が非常にシンプルにわかりやすくなっています。シンプルになるとみんな仕事に向き合いやすくなるので、より成果を出しやすくなると思います。
 なのでノリに乗ってる、というような見え方がされているのかもしれないですね。

 このようにゴールとプロセス、役割を明確にすることは、お客様先へのセールス活動においても転用できる考え方です。
 たとえば現在進めている大企業向けのプロジェクトでは、導入においてはあらかじめ上層部で合意形成ができていました。
 しかし大企業ですと、たとえば本部長、部長がいらっしゃって、さらにグループリーダーが続き現場のかたがいらっしゃる。つまり階層構造が非常に深いわけです。つまりそれぞれがそれぞれに、多様な背景のもとお仕事をなさっています。
 
 それを踏まえて、全国各地にある拠点に対して「どのように導入していくか?」、各拠点ごとに縦にも横にもプレーヤーがおられるなかで、期限までにどうやって皆さまにご納得いただいて契約に至れるか、そしてきちんとスケジュールどおり稼働させるか、ということが非常に難しい部分です。

 こうしたなかでプロジェクトを進行するにあたっては、「ここでなんとなくトラブルが起きそうだな」とか、「この人はこういうことを考えるかもしれないな」といった予測を立て、社内関係者とお客様との日々のコミュニケーションのなかで、「ここにくさびを打っておく必要があるな」と仮説を立てて事前に手を打っていきます。そうしたうえでようやく数字があがっていきます。直近はこのようなかたちでセールスやオンボーディングを進めています。

—— チームの牛田さんのインタビューでも仰っていましたね。各階層のかたの思惑、個人での考え、そして所属部署の考え。とても地道な下準備が必要なのですね。

 ええ、そうです。まずトライアル拠点を限定的にしぼり、そこでバグ出しというか、進め方やシステム的にも、どのようにご使用になるのかを洗い出していきます。その後に本格展開を各拠点に進めていくのです。仮に九州地方から進める、としても、その地方のなかでも各営業所がありますから、A営業所、B営業所、といふうに拡げていきますが、A営業所とB営業所ではどうご使用になっているのかから基本パターンをつくりつつ、さらにヒアリングを重ねていくわけです。

 さすがに全拠点に赴いてということはないのですが、その代わりコミュニケーションの質と量は相当しないといけません。お客様の状況も、その多様なプレーヤーの方々がなにをお考えなのか絶えず目を配っていますし、しっかりと稼働させるところまでは提案や交渉をしながら進めていっているところです。

意外なキャリアの原体験。壁にぶつかり「社会構造の変革」への道が拓かれる

—— チーム内の役割や今後の方向性についてよく理解できました。長田さんのこれまでのキャリアの原点となる体験はあるのですか。

 少し話が長くなります。小学生のころのいじめを受けた経験ですね。いじめという問題にはいじめる人、助けてくれる人、いじめに遭う人がいますよね。いじめられるという体験は非常に孤独になるもので、自分がどちら側の人間でいたいか?と考えたとき、当然ながら「助ける側」の人間でいたい、とまず思ったのがきっかけで、演劇を始めたんです。

 世の中ではトレンディドラマがはやっていました。それを観ていると、愛だの恋だのもありますが、コメディの要素もあったりして「なんかいいな」と感じました。先ほどの「助ける側」になりたいと思ったとき、どういうかたちで「助ける側」になれるのだろう、と考えるとなんとなく影響を受けたのです。いじめられる。自分は「助ける側」になる、演劇で役者をやる、ここがスタートです。

 そこで高校も演劇の強豪校に入学し、「めちゃめちゃ巧い役者になる」と決意。アイドル的なタレント枠ではなく、しっかり演技が巧い役者として売れなくてはならない、となぜか考えていたんですよね。一生懸命に取り組み、自分で劇団も立ち上げるまでに。

 ちょうどそのころ、同時進行で大手広告代理店にインターンとして参加しました。自分はそれまで、演技さえ巧ければ上にいけて、有名になっていろいろな人に感動を与えられると思っていたのですが、インターン先で社会構造上というか商慣習上というか、なによりもコネクションがないと前に出ることができない、とわかってしまったんです。

—— キャリアの原点が「巧い役者になる」を目指したことも予想外でしたが、社会に出る前にある種の「大人の世界」に触れてしまったわけですね。

 しかも、そういう世の中を打破しないことには、私のような「夢やあこがれを持った人たちがつぶされてしまう!」とすごいことを考えていました(笑)。けれど真剣に、日本にきちんとした文化が育たないのではないかと危惧していたのです。

 そこから、社会の構造を変えることをこの人生でやり遂げるとしたら、自分ひとりが役者になっていくという道よりも、社会構造を変えるための「なにか」に携わっていくべきなのではないか?と当時思ったんですよ。大学生になるとインターネットが出てきて、「これからはITだ」と。ITが世の中の基盤になっていくのだなと考え、システムインテグレータをキャリアの出発点としたのです。

 そこで社会インフラを変えていこう、変えていくからにはリードする存在、リーダーになる必要がある。「常にトップでなければならない」と自分に課しました。エンジニアではなく、演劇の素養を活かすならセールスかなと考え、セールスでそれなりの成績を残すことを意識して取り組みました。

 こういった背景で当時の日本ユニシス株式会社に入社したんですよね。

—— そして現在、ハコベルへ。「社会構造を変えたい」という想いはずっと続いておられるのですね。

 そうですね。私のなかに尾崎豊とか太宰治的な存在がいるんじゃないかと自分では思っています(笑)。大人だから仕方ないとか、間違ったことに目をつむるのが大人だとか、嫌いなんですよね。日本ユニシス以降のキャリアにしてもそこが軸となっているのですが、シンガポールに駐在していた際、インドネシアやマレーシア、ベトナム、フィリピンなど東南アジア諸国の人たちと接していると、彼らは社会課題が山積みなので、なんとかビジネスでそれらを解決しようとベンチャーを立ち上げているケースが実に多かったんです。

 私たちには想像し得ない話で、たとえば人さらいとかがまだ珍しくなかったりします。それに対してスマホアプリを立ち上げて救援を呼べるサービスなどを立ち上げています。彼らはお金とか地位や名誉ではなく、社会課題をなんとかしたいと思っている。本当に困っている人たちを、ペインを、なんとかしたいと真剣に考えているんですが、その姿にものすごく胸を打たれました。

 そして自分のまわりを見渡したとき、日本から来ているシンガポールの駐在員はちょっとかけ離れた世界にいました。シンガポールの物価に合わせた給料をもらって、メイドがいて送迎もしてくれることもある。それを見たときに「どっちが本当にお客さんのためなんだろう」と。自分が幼少期に感じた、誰かのためになにかをしたいという想いに近い姿はどっちなんだろう、と考えたときに、改めて前者の方が近い、と認識したのです。

自分らしさを大切にしてきた結果、ハコベルへ。示唆に富む組織で思うままにやり抜く

—— 長田さんらしさを追求することが、キャリアを拓くこととイコールとなったのですね。

 「自分らしく生きたい」という想いを改めて強く感じました。当時まだ30前半でしたが、上場企業で駐在までさせていただいたら、それなりの道が開けていたと思います。けれど私にとってはあんまり意味がありませんでした。自分らしく生きるという大事さに気づいた経験でした。

 以来いまに至るまで「本当にお客様が喜ぶものをご提供したい」という想いが変わることはありません。「人のペインを本当に解決しているか?」という視点で事業やサービスを見てきました。そこにデジタルを活用した基盤や経営環境、組織風土などが複雑に関係し合うのが企業であり、そういった企業で働きたいと思っています。

 そして、さまざまな環境で仕事をしてきたなかで、よりリアルに変革に立ち会うことができ、社内の人と人との問題を解決するのではなく「お客様の問題を解決する」ところで働きたいという想いを強く実感するようになりました。その結果としてハコベルに入社したのです。

—— ご自身の想いを大切に、大手やスタートアップでの就業経験がおありですがハコベルにはどのようなご感想をお持ちなのでしょう。

 実はハコベルに入社する前、最終的にハコベルと実際に入社したある会社とで悩んだ経緯があるんです。私は最終的に違う会社を選んだのですが、半年くらいしたある日、狭間さんから連絡をいただいたんですよ。「最近どうですか」と。採用活動を通して1度「この人」と思ったとしても、再び実際に連絡をくれる経営者はなかなかいません。

 そのとき自分の理想を追求するのは難しい環境にあって葛藤してもいたので、正直にそう伝えつつもまだ入社半年でしたから、「こんなに早く退職したら社会的にどう見えるか…」など気にしていた私に、「そう思っているのなら来ませんか?」と言ってくださった。これが純粋にうれしかったですね。

 実際にハコベルに入社してみて感じたのは、「変化が目まぐるしい」ということ。とにかく判断が早いですし、さまざまなバックグラウンドのいろんな人が在籍しているのて「指摘ではなく示唆」がある。これは私にとってはまさに望んでいた環境でした。アジェンダが広いので奥深さを楽しんでいますし、なにより社会課題を解決する仕事であること、そこに与えられた明確な役割に閉じずに、私のキャリアを活かすことができるというのが実に魅力です。

 たとえば入社してすぐ拝命したのが「リファラル大臣」です(笑)。会社が注力するリファラル採用で、私が陣頭を切ってリードしていく役割を担いました。物流業界は未経験ですが「なんでもやる」と決め、なんにでも首を突っ込んでいく覚悟で入社したんです。リアリティを重視するハコベルにあって、仮にわからなくても現場に体を持っていく。これはすごく大切にしていることですね。

—— そういう想いがあっての活動だったのですね。一方で「物流」と「DX」、いずれも社会的に変革のカギとなる領域です。具体的にどのように課題を解決していきますか。

 けっこう抽象的な議論も多く、それに基づく対応策が下りてきている印象があります。もちろんそれはそれで解決策なのですが、長期的な視点に立つとハコベルがいまおこなっていることの方が将来絶対に役に立つと確信しています。ひとつの問題をなんとかしようというのではなく、緻密に段階的なチェックのうえで処置しているからです。

 今やっているのは「アナログ」な業務を「デジタル」に置き換えていくことです。本実行後、ようやく現在の状態が数値等でつまびらかにできます。実績を取れば「いま、なにが起きているか」は明らかです。会社のPLが見えないと、どこの手当をすべきかもわかりません。

 業務効率化と言いながら、いまあるペインを見定める。ハコベルなら物流を持続可能な形に変えることができるうえ、それがDXですよね。多様な顧客パターンの実データを集めることで、トラックに限定しない共同輸送の在り方も見えてきます。文字どおり「物流の次を発明」していってます。

 しかも。ハコベルは自分たちで配車マッチングをやっているからこそ、ここに来ることができました。

「物流」と「DX」、その両方に触れるダイナミズム。目指すのは「ハコベルがあってよかった」と言われる世界

—— 変革のレベルにおけるダイナミズムを体感できるお仕事なのですね。一方で長田さんはHR領域でのご経験もおありですが、その観点でのお考えもお聞きしたいです。

 HRの観点で言うと、「これからこういうチームにしていきたいな」という話になるのですが、サッカー元日本代表監督の岡田 武史さんが仰っていた「生物的組織」がヒントになると考えています。端的に解釈すると、変化する状況ごとに合わせて個々人がいろいろな役割を担ってはいつつも、その状況にアジャストして自分の役割をほんのちょっと変えてフォローし合ってゴールを決めていくチーム、という感じでしょうか。

 そうした有機的な組織体をつくっていく上で必要なことは、「情報がオープンであること」と「オーナーシップを持っていること」です。これはたとえば、サッカーですとフィールドで起きている事象は見ればわかりますが、会社で起きていることは知らず知らずのうちに徐々にクローズにされていってしまいます。組織が大きくなればなるほど隣で起きていることがわかりづらくなっていくもの。これは可能性を狭めてしまう要因です。

 情報がオープンになっていれば、自主性をもって見に行くという話です。仮に自分がいま、営業をやらなければならないとか、いまマーケティングをやらなくてはとか、さらには開発スキルがなかったとしても、開発で困りごとがあるならなんらかのお手伝いをしないと事業が立ち行かなくなるな、などを自分で考え動くことにつながります。数字がブレークダウンされている状況で、常に状況の変化がリアルタイムにつかめますからワンチームになって常にシュートを狙えるようになるわけです。

 そういうふうに自分からカメレオンのように役割を変えていくことができる人というのが求められるのかな、と感じていますね。

—— たしかにこれまでお話をお聞きしてきたかたも、そうしたマインドでいらっしゃると思いました。では最後に、長田さんがハコベルでこれから実現していきたいことは。

 「ハコベルがいてくれてよかった」と多くの人が口にしてくれる世界にしたいです。物流輸送領域で何かお困りごとがあったとしても「いや、ハコベルがあるじゃん」という世界です。これは、自分の子どもたちが成長していく過程で実現できていったらな、と思っていて、たとえば子どもが結婚するときに相手方の親御さんが「ハコベルに勤めている」ことが信頼や安心の材料になっているような状態。それって世の中に貢献している会社になっているということですよね。本当にその世界観が見られるのか?というのがいまで、踏ん張りどころだと思っています。

 その世界を実現していくことは難題ではありますから、この難しさを改革したらとてつもなく大きなリターンが得られます。そこに挑戦したいという人にとって、ハコベルのいまのフェーズというのは非常に楽しめるのではないでしょうか。

 会社のフェーズ、組織の考え方、そこに対応していける柔軟性は必須であり、かつお客様起点の思考とビジネスのバランス感があれば大いに活躍していけるはずです。一期一会といいますか、いろいろなスキルを持つ人が出逢ってはそれぞれの理由で退職していくのが組織。人生の短い期間であっても、「あの人に会えてよかった」と互いに思い合える会社にしていきたいと考えています。





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