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コロナ禍の英国から逃げるように海を渡る旅

2020年は「あったような、なかったような」1年でしたね。住んでいる英国では7月に1度目のロックダウンが明け、在宅勤務を除けば、生活は正常に戻りつつあったのですが、11月に2度目のロックダウン。1度目のロックダウンは夏だったので、日も長く、家庭菜園をしたり自転車で出かけたりと外に出る機会も多くあったのですが、2度目の時は日も短く、天気の悪い日が続いたりで、引き篭もりがちでした。そんな引き篭もり生活で結構参ってしまったのがパートナー。12月のクリスマス休暇は故郷のスペインへ帰ることを強く希望していました。ただ、コロナ禍第二波が猛威を振るうヨーロッパ、人がごった返す公共交通機関を使うのにはリスクがあります。自分の感染だけでなく故郷の家族も感染の危険に晒してしまいます。そんなわけで今回はなるべく他人とのコンタクトを取らない車での移動を選びました。そんなわけで英国からスペインまでのちょっとしたロードトリップの記録です。

ルート
Googleマップでルートを調べてみます。英国から大陸に車で渡る方法は船と電車があります。今回はニューヘイブンからフランスのディエップへ渡るフェリーに乗船。ディエップからはルエン、レマン、トゥール、ボルドーと南下して、最終的にアンダイエで国境を越えるルートを選びました。

途中、若干の寄り道をしましたが大まかな行程は上記の通りでした。フランスを縦断するのに900km近い移動になります。予定日数は2泊。


我が家の車はフィアットのクーボという小型ワゴンです。日本車と比べるならワゴンRの普通車版でしょうか。予定の2泊は車中泊になるので車中泊用に若干の改造を加えました。と言っても後部座席を外し、荷台部分に乗せるテーブル兼ベッドの台を作っただけですけど。最近流行りのバンライフと言いたいとこですが、そこまでのクオリティではありません。でも、割と上手く出来たと自負しています。

テーブルモード

ベッドモード

1日目
朝早くに家を出て、ニューヘイブンへ車を飛ばします。予定では10:00チェックイン、11:30出港でした。チェックインに必要な書類はフェリー予約証明とパスポートのみです。チェックインを済ませると乗船待ちになりますが、乗る船の到着が遅れ、乗船が始まったのは当初の出港時刻を過ぎた頃でした。

乗船待ちの車列

乗船が終わると乗客は車から離れ、乗客デッキへ移動します。コロナ禍の影響で乗客数を制限しているのか、デッキの半分くらいのスペースは閉鎖されていました。ちなみに私たちがフェリーに乗った次の日には、変異コロナ対策の一環で、フランスがイギリスからの入国を48時間ブロックするという措置をとりました。間一髪でそれを逃れた形となりました。

英国南部の海岸線の風景。灰色の海水が特徴的です。

フェリーは4時間の航海を経て16:00頃にディエップへ到着。

夕陽に映えるディエップの海岸線

ディエップではフランスへの入国手続きを行います。下調べによると、フランスへの入国を許されている外国人は(1)EU諸国籍で自国へ移動する人とその家族(2)EU諸国以外の国籍でフランスに住所を持つ者でした。パートナーはスペイン人なので(1)に該当しますが、私はどのカテゴリーに該当しません。とりあえず「婚約者」にしておこうとかいろいろ口裏合わせをしていたのですが、結局何も問われることなく、普通にパスポートチェックのみで入国できました。

ディエップからは高速道路に乗り、ルエンを目指します。当初はルエン観光でもしようかと計画していたんですが、いざ市街に入ると、結構な混み合いで、駐車スペースもなく、結局ルエンはスルー。そのまま1日目の宿泊地を目指しました。

この日の宿泊地に選んだのはルエンの南にあるセーという街でした。

車中泊スポットはpark4night.comで探しました。この日の寝床は用水池のほとりにあるここ。

着いたのは20:00過ぎだったのでサクっと晩飯を済ませてすぐさま就寝。

2日目
朝起きて、朝食の準備をしていると、パトカーが一台近付いて来ました。ちょっとドキドキしましたが、結局、駐車場を一周して去っていきました。定期的なパトロールなのか、誰かが通報したのかわかりませんが、このご時世に、英国ナンバーの車は怪しかったのかな。朝食後、セーの街を少し散歩しました。街の規模にしては立派な教会が見事でした。

2日目はとにかく距離を稼ぐため移動を続けました。レマン、トゥールを過ぎたあたりで小休憩。高速道路から降りて、ちょっとした森を散策しました。

そのあとは一気にボルドーへ向けて一直線。コロナ禍でなければボルドーで一泊して、美味しいワインでも!なんて考えてしまうんですが、今回はストイックに車を走らせます。ボルドーを過ぎた頃からルートは海岸線近くを進みます。この日の車中泊スポットに選んだのは、海岸横のキャンプ場でした。

キャンプ場はオフシーズンで閉まってますが、駐車場は開いているので、そこで車中泊。松林の中にあり、波音が響き、居心地の良い場所でした。翌朝、朝食を摂ってから海岸を散歩しました。海岸近くには別荘や、日本でいうところの「海の家」みたいな建物が数軒ありましたが、どれも戸締りされ、生き物の気配もなく、ちょっとゴーストタウンの雰囲気でした。

人気のない静かな海岸

ここからアンダイエまではもう少しです。海岸線沿いの小さな村々を通り過ぎ、高速道路に乗り、一気にアンダイエまで車を走らせます。アンダイエが近くなると、少しずつ山が見え始めます。ピレネー山脈の始まりです。これがパートナーにとっては故郷の原風景のようで、テンションが上がります。

アンダイエに着いたのは10:00くらいでした。ここではスペインに入り、パートナーの家族と合流する前の確認として、PCR検査を受けました。SEALAB という検査機関があり、フランス人でなくとも自費でPCR検査を受けられます。費用は1人72ユーロでした。結果は24時間以内に出るので、1日待って結果が陰性なら家族と合流する算段でした。

検査を受けた後、ついに国境を超えてスペインに入ります。国境にはフランスの警察がいましたがスペイン側には特に誰もいませんでした。

とまぁ、こんな具合に英国からスペインへの旅が無事終わりました。今回はコロナ禍のせいで、ゆっくり観光を楽しむというよりも、ひたすら移動して迅速にフランスを通り過ぎるのが目的でしたが、車でないと見ることのないであろう風景が見れたと思うので、よしとします。車に運転も、最初はフランスで右ハンドルの車を運転するのは不自然かも。。。と心配でしたが、それ程違和感なく運転できました。フランスは高速道路の多くが有料なので、高速代が結構かかりました。燃料は満タンで家を出て、1度の給油でスペインまで来れました。

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