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軍馬

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あおよ やすらかに

あおよ やすらかに

今から76年前、そしてそれ以前の日本では、毎日のように空襲警報のサイレンが鳴り、次々に爆弾が落とされていました。

昭和20年3月10日の東京大空襲は、たった一夜にして約10万人の人命が奪われました。その他に、当時市民の生活、市街地の物流を支えていた「ばん馬」が、この空襲で約1000頭以上が亡くなったといわれています。

私は、小さいころに見せてもらった紙芝居「あおよ かえってこい」を思い出しまし

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「戦争にいったうま」

「戦争にいったうま」

明治維新以降、日本は幾度もの戦争を経験し、馬たちもまた例外ではなく、ごく普通の農家で飼われていた馬が「軍馬」として徴用され、大陸に送られた馬もたくさんいて、その数は120万頭から150万頭ともいわれ、そのほとんどが日本に帰ってくることが出来ませんでした。

このお話は、大陸に送られた多くの「軍馬」のうち、いくつもの奇跡が重なって祖国に帰ってくることが出来た、1頭の馬の物語です。

実はこのお話、軍

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「馬よ花野に眠るべし」

「馬よ花野に眠るべし」

作家の水上勉さんが応召され、輜重隊に所属した時の体験をもとに書かれた小説です。

私が所蔵する初版本の帯には「まるで馬と夫婦になり、果てはそいつと心中までしたような、元輜重兵善六の哀しくも心温まる馬男ケッサク人生双六!」と書かれてありますが、内容はそんなコミカルなものではなく、

「馬とは何か」

「馬と生活するとはどういうことか」

「馬と人生を共にするとはどういうことが」

が書かれている、と

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