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伝説の一杯。

ドリルです。


今から 15年程前、僕が 兵庫県の須磨というところに 工事で仕事に行ったときの話です。




「ヒデさん。もう 13時前ですけど昼飯どうします?」



「そやな……実は 朝から気になってる店が あんねん。」



「やっぱり!ヒデさんもですか?

あの赤いテントの店でしょ?

僕も気になってたんですよ!

須磨飯店とか書いてるから 中華料理ですかね?」



「そやろうな。………アカン、もう ラーメンの口なってるわ!須磨飯店 行こか?」



「はい!」



そうして タケダのオッサンはお弁当を持ってきたと言うので、僕とヒデさん そして タッちゃんの3人で、須磨飯店と書かれた赤い のれん をくぐりカウンターしかない小さな店に 3人並んで腰を下ろす。


「あい!いらっしゃーぁい!」



体の丸い 店の大将が元気に挨拶してくれる。


お昼を過ぎていたせいか 客は 僕達だけみたいだ。


店内は お世辞にも綺麗とは 言えず床も油でギトギトしている。


だが、床がギトギトの中華料理店は 美味しい……と どこかの都市伝説で聞いた事もあるし これは 期待がもてる!


ヒデさんが 大将に声を掛ける。


「大将!何がオススメなん?」



「ウチは 全部 オススメやで!

自分が食べたいと思ったやつ注文しぃ!」



「なるほど!ほな、ラーメンは何ある?」



「ラーメンは 塩か醤油や!大盛りもできるで!」



「ほな、俺は の大盛りで頼むわ!ドリルとタッちゃんは?」


「じゃあ、僕は 醤油と……あと チャーハンもお願いします。」



「ワシは チャーハンと、ライス大で。」




僕とヒデさんは 顔を見合わせたが ここはスルーするようにアイコンタクトでわかった。


そして、大将が 1人で忙しそうだが 手際よくラーメンとチャーハンを作っていく。


「はい!おまちどぉう。」



僕の目の前に出来立てのラーメンとチャーハンが 置かれる。


湯気でメガネが曇るが もうお腹が空いて限界の僕には メガネを拭いてる余裕もない。


見えて いないがスープを かき分け麺を箸で捕まえる。


そして、熱い事など 気にせず一気に口の中に入れる!




うっ………




うっすぅ!!!!


何だこれ?めちゃくちゃ 味薄いんやけど!!



いや、待て!チャーハンがあるじゃないか!



見た感じ パラパラだし 美味そうだ!色がなんだか薄いのは 気になるが そういうチャーハンも勿論あるんだろう。


よし!


チャーハンの中にレンゲを沈め レンゲの中めいっぱいにチャーハンを盛り 口に運ぶ。

口に運ぶ途中、

大将の『全部オススメやで!』というセリフが僕の頭の中でこだまする。






うっ………………





うっすぅ!!!!



はいはい、分かってましたよ。

でも、やっぱり期待しちゃいますよね。

ある意味 期待通りでした。悪い意味で期待通りでした。


僕は 産まれて初めて醤油ラーメンと呼ばれる物にドバドバ 醤油を入れて食べました。


いや、もしかして醤油がハズレやったんかな?



と、思いヒデさんを 横目で見ると ドバドバ コショウを振り掛けていました。






「いや〜、ヒデさんどうでした?」


「えっ?何アレ?ドリルめっちゃ醤油 入れてたやろ?

俺らの身体のこと気ぃ使ってくれてんのか?大盛りにしたことをあれ程 後悔したことはないで。

白湯?ラーメンで白湯味とかあんの?味あらへんがな。」



「ですよね!アレ 多分 塩も醤油も一緒ですよ!自分でカスタムして食べるっていう 新しい形なんちゃいますか?」



「ほな、オッサン 始めにどっちにするか聞くなよな(笑)もう1種類で良いやんけ。

何が『全部オススメやで!食べたいと思ったもん注文しぃ!』やねん!

オーラだけ!期待した自分が恥ずかしい!!」


「チャーハンも ゲキ薄でしたよ!なぁ、タッちゃん?」



「えっ?ワシは 口に入ったら何でも一緒や。食べれたから いいよ。」



ほな、もう、ライスとライスでよかったやん。



この話の本当度 80%

一応中華料理店の名前は 仮の名前です。

この日 タケダさんは 何事もありませんでした。

因みに タッちゃんは こんな人です⤵︎

もし、時間に余裕が 有ればご覧下さい。


後にも先にも こんなに味のないラーメンは 食べた事がなく 正に僕の中では 伝説の一杯となり得るラーメンでした。


せっかく作ってくれた料理にドバドバ醤油を掛けるのは失礼です!失礼と分かっていても掛けてしまうくらい味がなかったです!!

ごめんなさい!!

サポートとは?・・・データマイニングの際の、相関分析の指標のひとつで、ある関連購買における支持率を表す。たとえば砂糖について卵の関連購買でサポートが20%の場合、砂糖と卵を一緒に購入する顧客が顧客全体の20%という意味である。 要するに心から嬉しいということでです!