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つみたてNISAは銀行窓口での口座開設がオススメ!

こんにちは、FP1級技能士のはちろうです。

今回は、「つみたてNISAはネット銀行•証券一択!!」
という風潮の中、逆張りの意見ではありますが、銀行窓口で開設手続きを行うことをオススメする
理由について書きたいと思います。

結論としては、
・つみたてNISAの手数料は銀行窓口でもネット銀行・証券でも変わらない。
・手数料が変わらないのなら、対面で銀行員と手続きするメリットを享受できる銀行窓口がオススメ。
・銀行窓口のメリットは以下の通り。
「制度内容や商品内容、申込手続きについて説明を受けることができる。」「わからないことも質問しやすい。」
「銀行員から投資知識について教えてもらえる。」
「住宅ローンやカーローンなどの他商品の金利引き下げを受けられることもある」

ということを書いています。

簡単な私のプロフィール

・地方在住の32歳男。既婚で奥さんと二人暮らし。

・金融機関にて3人のメンバーを抱える営業プレイングマネージャー。

・2021年3月に、9か月で約500時間の猛勉強をして、見事FP1級を取得しました。

・日々個人のお客様から住宅ローンや消費性ローン(車、教育、フリー等)、iDeCoやNISA・つみたてNISA、退職金運用の相談などの対応を行っています。


銀行窓口には近寄るな!が世間の認識?

本題に入ります。
世間では、お金を増やしたければ銀行窓口には近寄るな!ということがよく言われています。最近のマネー本にはだいたいそのようなことが書いてありますし、YouTubeでも中田敦彦さん両学長(リベ大)もそのような主張をしています。きっとこの記事を読んでいただいている皆さんもそのような認識ではないでしょうか。

なぜ銀行窓口で、銀行員に対してお金の相談をしてはいけないのでしょうか。それは、銀行員にカモられて、手数料の高い商品を売りつけられてしまう可能性が高いからです。

確かに、銀行員には個人や支店ごとの手数料収益のノルマがあったり本部から売ることを強制推奨される商品があったりするため、銀行員もお客様目線よりも銀行にとって都合の良い商品を売りたくなる、売らざるを得ない状況になっています。
そういった状況から、「銀行員=手数料をボッタくってくる詐欺師」として批判する自称有識者の方が最近増えているように感じます。

しかし、銀行員が手数料の高い商品を売りつけてくるという構図はすべての商品について当てはまるのでしょうか。
私の実体験をケーススタディとして考えていきたいと思います。


ケーススタディから見る誤解

「手数料が安いから、つみたてNISAはネット銀行でやります。」と言ったお客様(20代前半男性)


部下Bさんがとあるお客様(20代前半男性)からカーローンの相談を受けました。

その中で、つみたてNISAについてクロスセルを行いました。

お客様は「最近インスタなどでつみたてNISAという言葉はよく目にしていた。興味はあったからぜひやってみたい。」とのことで、次回来店時につみたてNISAの申し込み手続きを行うことになりました。

後日、部下Bさんから次のような報告を受けました。
お客様から、「つみたてNISAの手数料が安いネット銀行でやることにした。」と連絡を受けた。

部下Bさんは契約破談となり意気消沈していましたが、ここで私は違和感を覚えました。
ははーん。ネットで銀行窓口には近づくな!とか言われてるからそれを鵜呑みにしてるやん。」ってね。


つみたてNISAとは

つみたてNISAとはそもそもどんなものでしょうか。金融庁のHPを見てみましょう。

つみたてNISAとは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です(2018年1月からスタート)。
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています。

つみたてNISAの概要
金融庁HP

つみたてNSAとは、
・国が作った、「国民に投資することを推奨するための少額非課税制度」のこと。つみたてNISA自体が金融商品ではありません。
・そのつみたてNISAの制度を利用して、投資信託という金融商品で運用を行い、中長期的な資産形成を促すことが目的となっています。
・つみたてNISAで運用が可能な投資信託は、金融庁が認めた長期・積立・分散投資が可能な優良な商品のみに限られている。金融庁が顧客目線で本当に良い商品を厳選しているため、つみたてNISAで運用が可能な時点で手数料が運用成績に見合わないボッタくり商品である可能性が限りなく低いです。(2022年7月29日現在で184商品)

つみたてNISAについて詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください。

つみたてNISA(=投資信託)の手数料について

つみたてNISA自体が金融商品ではありませんので、基本的に手数料は発生しません。手数料が発生するのは、「つみたてNISAという制度の中で運用する投資信託に対して」です。

投資信託の手数料とは、どんなものでしょうか。
投資信託には主に3種類の手数料があります。

①購入時手数料
販売会社に支払う手数料です。販売手数料がない投資信託もあり、「ノーロードファンド」と呼ばれています。

②運用管理費用(信託報酬)
投資信託の保有額に応じて支払う費用で、投資信託を保有している間は継続的に支払う必要があります。その内容は、「投資信託説明書(目論見書)」で確認できます。

③信託財産留保額
投資信託を信託期間の途中で売却(換金)する場合に生じる費用で「信託財産留保金」ともいいます。

投資の基本
金融庁HP

①購入時手数料については、つみたてNISA対象商品は0円のものに限られています。(2022年7月29日時点)今後もこの購入時手数料0円は揺るぎないものであると思います。銀行窓口でもネット銀行・証券でも0円であるため差はありません。

②運用管理費用(信託報酬)、③信託財産留保額については、
販売する会社によって変更できるものの、元々手数料が低いものがつみたてNISA対象ファンドとなっているため、この二つは銀行窓口でもネット銀行・証券でもほとんど差はありません。

前述の通り、つみたてNISA対象商品である時点で金融庁が厳選した手数料が低い商品です。
投資信託の購入時手数料で銀行窓口差をつけているネット銀行ですが、銀行窓口でもネット銀行・証券でも手数料で差をつけにくいのが現状です。

つみたてNISAではない一般的な投資信託では、購入時手数料が銀行窓口であれば3.3%、ネット銀行・証券なら0円ということがザラにあります。
例えば、100万円の投資信託を購入して、銀行窓口なら33,000円支払う必要があるのに対してネット銀行・証券なら0円ということです。同じ投資信託を買うのに33,000円支払うのと0円なのでは、断然ネット銀行・証券の方がお得ですね。対面で説明するための人件費がかからないネット銀行・証券だからこそできることです。

ということは、お金を増やしたければ銀行窓口には近寄るな!という言葉は、購入時手数用が発生する一般的な投資信託向けです。
ですが、つみたてNISAはそもそも手数料が安いため差のつけようがないので、銀行窓口でもネット銀行・証券でもどちらで始めても一緒ということです。

お客様にこの事実を伝えると


ケーススタディに戻ります。

「つみたてNISAの手数料が安いネット銀行でやることにした。」と連絡をして来られたお客様へ上司である私から連絡して以下を伝えました。
・つみたてNISAは手数料に差をつけられないから、手数料は私たち銀行でもネットでも変わらない。
・それであれば、対面で手続きができて話が聞ける私たち銀行で申し込みしませんか?
・カーローンの金利引き下げの要件にもなり、カーローンとして支払う金利手数料も安くなりますよ。

お客様からは、「つみたてNISAをやりたい気持ちはあるが、自分には知識がなくて投資についてよくわからないし、不安もある。対面で手続きができる御行で手続きを取りたい。」とおっしゃっていただき、無事に申し込みに至りました。

部下Bさんには、「お客様が買わない理由を分解して、それを解消する提案をするように」と伝えました。今回のケースでは「銀行窓口=手数料が高い」と思われているお客様の意向に対して、つみたてNISAで発生する手数料とは何かを分解して、手数料に差はないことを伝えました。さらに対面手続きでのメリットを伝え、納得頂き申し込みに至りました。

まとめ

今回は、お金を増やしたければ銀行窓口には近寄るな!という最近よく聞く言葉は誤解であることをケーススタディを交えて説明しました。
銀行員に相談すると、手数料の高い商品を売りつけてくるという構図はすべての商品について当てはまるわけではありません。

冒頭に書いた結論を繰り返しますが、
・つみたてNISAの手数料は銀行窓口でもネット銀行・証券でも変わらない。
・手数料が変わらないのなら、対面で銀行員と手続きするメリットを享受できる銀行窓口がオススメ。
・銀行窓口のメリットは以下の通り。
「制度内容や商品内容、申込手続きについて説明を受けることができる。」「わからないことも質問しやすい。」
「銀行員から投資知識について教えてもらえる。」
「住宅ローンやカーローンなどの金利引き下げを受けられることもある」

ということを私は主張したいです。

そもそも銀行窓口で支払う手数料は、対面サービスや情報提供に対する対価の意味合いが強いです。

銀行窓口は手数料をぶん取ってくる!ボッタくりだ!悪だ!

という風潮は疑問です。すべてのサービスには対価が発生します。対価を支払わずサービスを受けようとするようなずる賢い人が蔓延すると、そのサービス自体が受けられなくなります。漫画の違法サイト問題みたいなものですね。作家さんに継続して面白い作品を書き続けてほしいのであれば、対価として漫画を買ったり有料の漫画サイトを利用するべきです。

話はそれましたが、投資知識があり、自分ですべて調べて手続きが完結できるなら銀行ではなくネット銀行・証券を利用すればいいだけで、わからないことがあるのであれば素直に銀行窓口で話を聞くこともいい選択肢の一つです。自分で調べて理解するためにかかる時間よりも、人に聞いたほうが早くてコスパがいいこともありますからね。

そんな中、つみたてNISAの手数料は銀行窓口でもネット銀行・証券でも変わりません。手数料が変わらないのであれば、銀行窓口で銀行員と対面で話をしながら手続きするのがオススメです。わからないことはその場で質問できますし、運用中に不安なことがあっても、ネット銀行・証券よりも親身になってアドバイスをくれるはずです。

終わりに


お金を増やしたければ銀行窓口には近寄るな!という本やネットの情報、インフルエンサーの言葉を鵜呑みにせず、自分で判断するネットリテラシー、金融リテラシーを身に着けていく必要がありますね。

たまには銀行員に頼って話を聞いてみるのはいかがでしょうか。
調べてもよくわからなかった投資知識について教えてくれたり、家計全体としてのアドバイスをもらえたりすることもあります。

ただ、つみたてNISAの話を聞きに行って、保険やらほかの投資信託やらを売りつけられる可能性はありますので、銀行員とはほどよい距離感で付き合いましょう。自分に必要なものなのかどうかは、自分で判断できるようになりましょう。

それでは。


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