乳と蜜の流れる食卓⑤直舐めするならハゼのはちみつ
夏は「凍りヨーグルトはちみつ」が最高
8月の猛暑ではちみつ&ヨーグルト研究は足踏み状態。
暑さの中でわかったことは、シャーベット手前の状態に軽く凍らせ、はちみつをたっぷりかける凍りヨーグルトはちみつにすると、おいしすぎてやめられないということ。食欲が落ちる真夏の健康食としておススメしたい。
8月のサブスクで届いたはちみつは、「北海道のはちみつ」と「和歌山県産山ハゼのはちみつ」。雅蜂園さんの説明書きはこんなふう👇。
広大な土地に咲く様々な花の蜜を美味しくブレンドしました。北海道には風味豊かで特徴のある花が多く、ミツバチも広い大地と多くの蜜源に心躍らせ蜂蜜を集めています。ハーブの様な独特の風味をお楽しみください。
たしかにすっと鼻に抜けるようなハッカの風味やふわっとクセのある香りが残るシナの木(菩提樹)の風味も感じる。全体的に酸味の少ないハーブの複雑な味わいなので、何かと合わせて食べるのがいい。そこで、凍りヨーグルトにかけて食べると抜群においしかった。シャーベット状なのではちみつをたっぷりかけて甘さとすっぱさ両方が際立つのがいい。
★凍りヨーグルトを作り方
水分の多いヨーグルトは少し水切りして、器に入れて
1時間半程度冷凍庫へ。全部凍りきっていない状態を
スプーンでガシガシかき混ぜてできあがり。
直舐めするならハゼのはちみつ
一方、和歌山県産ハゼのはちみつは芳醇な香りがいつまでも舌に残る。採れたてなのでなおさら香りが高いのだろう。香り高いはちみつは、冷たいものに合わせると香りが消えてしまうので凍りヨーグルトに合わせるには適さない。直接スプーンで口に入れ舌で転がす食べ方がおススメだ。雅蜂園さんの説明👇
今年の6月2日に和歌山県日高郡みなべ町でしぼった蜂蜜。ハゼはウルシ科の植物ですが、私の厳選はちみつの中では5本の指に入るほどのおすすめ蜂蜜です。食べた瞬間、口の中で爽やかな柑橘系の風味が広がりますが、どんどん奥深い甘さが波のように押し寄せる不思議な蜂蜜です。
「奥深い甘さの波」とは的確な表現だ。甘さの味わいが深くて喉にいつまでも香りが残る。
喉の痛みには「はちみつ」とは昔から言われているが、最近またそれを科学的に証明する論文がイギリスで出されたようだ。
「はちみつが効く」という論文は毎年何かしら出されるので、もはや驚かない。健康にいいのは確かだと思うけど、「多分そうでしょうよ」と思いながら受け止め、ぼんやりとはちみつ神話に洗脳されるがままになっている。
喉にはちみつと龍角散
私が思うに、はちみつは内服によるものより、直接その患部につけ、上皮細胞から直接吸収するほうが効果を発揮できるような気がする。知らんけど。
と、いうわけで、私は風邪気味で喉が痛くなると、はちみつをひと匙舐める。で、咳が出ると龍角散をひと匙口に入れる。どちらも上皮から直接身体に浸透し、癒してくれる。
そして、直舐めにはハゼのはちみつが美味しい。さらにキハダ、ソヨゴ、リンゴのはちみつも直舐め最高だ。もっと言えば、採れたての国産はちみつならなお香りが残っている。直舐めしてみて気づいたのは、サブスクで送られてくる際のスパウト容器の利点だ。スプーンに直接絞り出せるので垂れたりしないのですごく便利。仕事する机の上に龍角散とともに並べ、ちょくちょく舐めては楽しんでいる。
はちみつとヨーグルト、ともに健康神話の草分け
はちみつの効果については紀元前1500年頃の古代エジプト時代の医書「エーベルス・パピルス」に傷に塗布する塗り薬としてや、口の潰瘍治療やうがい薬として使われていたことなどが書かれている。その後ローマ時代のプリニウスが喉の痛みや扁桃炎に効くと書いていたり、マホメットが下痢に効くと推奨したり・・・。(『ハチミツと代替医療』2002年パメラ・マン/リチャード・ジョーンズ編より)
近代以降、「健康」や「長寿」を漠然と良しとするという風潮が定着し、これまでの民間療法を科学的に解明する流れになった。ヨーグルトもはちみつもこの頃から民族の壁、国の壁を越えて健康食として食卓に定着した。
1950年代、アメリカバーモント州の医師、ジャービスはバーモント州で長寿の老人が多いのは、りんご酢にはちみつを入れた「バーモントドリンク」を常飲しているからだとして、「バーモント療法」を全米に広げた。60年代に日本でも一大ブームが起こり、昭和CMでお馴染み、ヒデキが絶唱した「ハウスバーモントカレーだよ~」にその名残をとどめている。(たしかにカレーにりんごとはちみつ、入れたらおいしくなるけど、長寿の効果は疑問)
ヨーグルトの方はというと、ロシアの微生物学者イリア・メチニコフがコーカサス地方(黒海の西地域)の寿命が長いことに着目し、「寿命が長いのは伝統的な発酵乳を毎日摂取しているから」と考え、1907年、「不老長寿説」を発表したことが発端となった。メチニコフは「老化は腸内腐敗により加速されるが乳酸菌は腸内腐敗菌の働きを抑え免疫力を高める」という仮説を立てた。以降、ヨーロッパ全域でヨーグルトが食べられるようになった。(『乳酸菌の疑問50』2020年 日本乳酸菌学会より)
長寿の人の食生活に注目し健康に役立てようという試みは今も継続中だ。いろんな食材が健康番組で取り上げられ、スーパーマーケットの主役に躍り出ては、また消える。健康神話の草分け的存在であるはちみつとヨーグルトは安定の王者としてスーパーの棚を席巻している。
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