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「伝えたいのは、普段は見過ごしてしまうような美しさや優しさのカケラたち」#8 Miho Kajioka

こんにちは!福島県南相馬市の小高というまちで、新しく酒蔵を立ち上げ、酒づくりを始めたhaccoba(はっこうば)です。
現在、私たちは4人のチームで活動をしていますが、実はたくさんの「つくり手」たちが関わってくれています。
私たちのコンセプトでもある「みんなで育てる酒蔵」を、まさに一緒に育ててくれているクリエイターの方々を、ここではご紹介したいと思います。

”酒づくりをもっと自由に・さまざまな垣根を超えた自由研究”というコンセプトで色々なコラボレーションに取り組んでいるhaccoba LAB_
4本目となるhaccobaLAB_のお酒「十 -je-(じゅう)」は、今回ご紹介する、アーティストMiho Kajiokaとの再会によって生まれたお酒といえるかもしれません。その再会は、新たな出会いや繋がりがたくさん生まれたスタートでもありました。
そんなMihoさんに、創作活動についての考え方や福島への思いなどをお伺いしました。

mizuki_2021_350dpiのコピー


Mihoさんの作品で、haccobaのお酒ラベルをつくることになった経緯と、その時の気持ちなどを教えてください。

女将みずきちゃんと初めて会ったのは10年以上前。
ブラジルのテレビ局の東京支局で働いていたとき。
震災の翌年、彼女の実家があるいわき市のビーチを歩きながら、みずきちゃん言った言葉がとても印象的でした。
「8月、このビーチに誰もいないのを見るのは初めて」
その時に撮った彼女の写真は、震災を機にアート活動を再開した私にとって象徴的な作品になりました。
去年haccobaのことを知り、作品をラベルに使ってほしいという私の願いからこの企画が始まりました。

Mihoさんが、普段写真を撮る(作品をつくる)ときに、意識してること、大事にしていることはどんなことですか?

まっさらになること。計画したり、いいもの作ってやろうなんて考えた時にはろくなものが出て来ません。
あ!っと思ったものを写真に撮って、おうちに帰ってからそれを料理する感じです。
手を動かしているとだんだんとカメラで撮ったイメージがどうなりたいのかがわかってきます。インスピレーションが自分の中を通って作品になる感じです。

Mihoさんにとって、この10年はどんな期間だったでしょうか?

北米の美大卒業後、帰国して報道の仕事をしていました。アートから10年以上離れたある日、東日本大地震が起き、それを機にアートに戻りました。その後も福島の取材は続けていました。切ない話題が多い中、普段は見過ごしてしまうような美しさや優しさやユーモアが心に染みました。私の目にはそれらは希望として映りました。私がアートを通して伝えたいと思ったのはそういうカケラたちで、この10年間はただただガムシャラに作品を作って来ました。

東日本大震災後10年がたち、あらためて東北を巡ってみていかがでしたか?

震災前は東北に行ったことがなかったので、長い間瓦礫だらけの被災地が東北のイメージでした。この10年をまとめた写真集を作ることにしたので、撮影も兼ねて岩手、宮城、福島を久しぶりに再訪。10年前を思い出しながら取材した場所を訪ねていると様々な感情が湧いて来ました。福島でhaccobaさん、仁井田本家さん、農家の根本さんなどの取り組みを見て、福島の問題は終わってないけど福島は止まってないことを実感でき、それがとても嬉しかったです。

これからの10年、Mihoさんご自身はどのような10年を描いていらっしゃいますか?

作りたい作品はまだまだあるので、これからも淡々と作品を作り続けて行きます。ヨーロッパにいる時間がこれまで以上に長くなりそうですが、だからこそ自分の中にある日本人の根っこの部分をさらに深めて行きたいと思います。そして今回haccobaさんとコラボレーションしたように、ちがう分野の人たちと何か一緒に作っていきたいと思います。

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※Miho Kajiokaの最新の写真集「and, do you still hear the peacocks?」
仁井田本家さんとhaccobaのお酒がセットになったスペシャルエディション。


軽やかな物腰で、世界中のだれとでもすぐに友達になってしまう、不思議な魅力をもつMiho Kajioka。
彼女の作品を見ていると、なにげない日常の中にこそ、かけがえの無いものがあるということに、あらためて気づかされます。
彼女のフィルターをとおして見る世界は、いつも必ず”希望”があることを教えてくれるような気がします。

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かじおかみほ(1973年、岡山生まれ)サンフランシスコとカナダ、モントリオールで絵画と写真を学ぶ。帰国後は東京で報道の仕事に就き、東日本大震災を機にアート活動を再開。京都で作品を作り、主にヨーロッパで展示、出版。2019年フランスで出版された写真集でもっとも優れた1冊に贈られるナダール賞を受賞。
https://www.mihokajioka.com/
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