見出し画像

社会的養護への保護からもれた虐待の被害者が求める支援

Googleアンケ―トを用いて、2021年5月に未発見サバイバーが求める支援の調査を実施しました。未発見サバイバーとは、子ども時代に児童虐待が酷く、本来であれば児童相談所が介入し、児童養護施設など社会的養護に保護されるレベルの虐待があったのに、虐待が発見されなかったか、あるいは、児相が介入しても、何らかの条件から外れて、社会的養護に保護されず「支援ゼロ」のまま大人になった被害者のことです。専門用語では、そうした被害者を潜在的児童虐待被害者といいます。

未発見サバイバー(潜在的児童虐待被害者)の共通マークも以下のとおり、作って、その存在を啓発しています。以下の記事をご参照ください。

アンケートは、年代の調査と、以下の文面で、自由記述式で調査しました。「子ども時代に施設保護レベルの重度の虐待があったのに、児相にも発見されず児童養護施設に保護されないまま大人になった方で、大人になった今、どういった支援がほしいですか?」という質問で自由に記述してもらいました。

年代は、以下のグラフのとおりの結果となりました。20代が21.7%、30代が36.7%、40代が20%、50代が21.7%となりました。

未発見サバイバ―年代

回答者数は、60名の方がアンケートに答えてくれました。

日本は、昨今、児童虐待がニュースで大きく報じられるようになってきていますが、日本で児童虐待防止法が制定されたのは2000年のことですから、今の37歳以上の年代の方は、18歳以下の子ども時代、児童虐待防止法がなく、虐待が重度であっても、児童相談所など公的支援の介入がほぼなかった時代でした。私は現在、38歳ですが、まさに児童虐待防止法ができた当時17歳でしたので、公的支援の恩恵からは外れた世代です。

また、児童虐待防止法など法律が制定されても、行政の支援体制が整うまでに何年もかかりますから、およそ今の30代以上の世代は、子ども時代に虐待や貧困、機能不全家庭で育っても、何も支援がなかった時代だったのです。今回のアンケート調査にご協力を頂いた方で30代以上の割合は、78.4%とおよそ8割の方が、児童虐待への理解や支援がない子ども時代を過ごした方となります。

さて、そうした虐待がひどくても未発見だった被害者が、今、大人になりどのような支援を求めているのか、自由記述式で回答してもらったので、その内容を紹介します(記述のまま掲載しています)。

■カウンセリングとコーチング。親の言葉は絶対って思ってたので、そういう呪いを解く事と、心が不安になった時に話せるところが欲しいです。

■2次トラウマを引き起こさない子供時代のトラウマに特化したもしくは、知識があるカウンセラー、セラピストと繋がれるプラットホームが欲しい。あと、再発防止の為の加害者支援も必要だと思う。そして、シェルター的な場所もあったら非常に助かる。

■経済的支援

■圧倒的金銭的援助、アパート借りるのに苦労したから保証人援助、当たり前の普通が分からないから不動産にも職場にも騙されやすいから付き添い援助

■無料で専門家のカウンセリングを受けたい

■無償のカウンセリングサービス。フラッシュバックに苦しむ今の環境から一時的に離れ、クールダウンするするための、無償のシェルター的な場所の利用権。

■虐待サバイバー専門のカウンセリングを気軽に受けたい。抵抗できない時間社会的養護を受けられなかった人はその権利があってもいいと思います。

■時々その光景がフラッシュバックするからなくならないものかなあ。と思ったり。距離をとったいる親が何事もなかったように会いたがってくる。実家に帰らないと旦那の義母にちゃんと帰りなさいと言われる。うちの恥を話したくないのでなぜ帰らないかも言えないのでツライ。実家に帰りたがらない人や親に会うのを嫌がるのを悪としないでほしい。年配の人向けに虐待や親からキツい言葉を浴びせられている人達が大人になっても苦しんでいることを回覧板とかで伝えて欲しい。

■私は、緊張が強く就労移行でさえ週、2~3回行くのがやっとでした。なかなか週5日行くことができません。一睡もできず眠れないで行くことが多かったです。日常生活でさえも緊張が強い場面になると眠れないで外出することがたびたびあります。就労継続B、地域活動支援センター等に重度の虐待を勉強している職員がいてほしいなと思いました。 話はそれますが、40代になっても優しいお母さん、お父さんがほしかったです。里親制度の大人版みたいのがあってもいいのではないかと思いました。温かい家庭を1年から2年ぐらい体験する。そういうシステムがあってもいいのではないかと思いました。文章力がなくてすみません。

■虐待でなく長年のいじめですがハッキリした損害賠償という形の補償が欲しいです。精神疾患にもなって理不尽。虐待いじめ、どちらも補償が欲しいです。

■ネグレクトが酷く、人との関わり方が下手過ぎる。人生の節目でつまづいてばかり。でも、生活は何とか立て直してこれたから、伴走支援が欲しい。プラス、カウンセリングなどに使える金銭的な余裕がないので、せめて補助金でも良いから支援が欲しい

■トラウマ治療を保険適応にしてほしい。子供の頃に家庭で学べなかった一般常識を学び直したい。

■医療

■誰かと同じ思いを共有したい。虐待の連鎖もしくは加虐してしまった誰かと話したい。

■その親を介護しないでいいようにして欲しい。

■記憶を消す事、または薄める事。加害をした保護者との縁を切るのに大変な労苦が必要なので、少しでも簡略化したい。

■出来るなら自分自身のケアより、今後の対応の為に役立ててほしいのでそういう事例を聞いてくれる場所を各市町村に作ってほしい。

■金銭支援、治療の保険適応、雇用支援、住宅保証支援

■心のケア、特に気持ちを吐き出し、体験者同士で分かち合える場が欲しい。

■せめて精神科と整形外科の治療費。次に住居や生活費の支援若しくは大学に行き直す費用・大卒者と同等の給与になるように助成

■カウンセリングやPTSDの回復など、心の傷を癒やす支援がほしいです。

■無料の保証人(手術、入院、家、会社)後遺症や放置された病気や怪我の通院保障、親の接見禁止や親の相続の制限(子供側が病気等で死んだケースも想定)や戸籍や住民票の閲覧禁止(名前の改名含む)

■親を訴えるのを手伝う専門家やアドバイザー、縁を切る支援

■PTSDを抱えたままでも働ける施設や準備機関。現状のAだとフルタイム必須、Bだと賃金の問題があるのをなんとかして欲しい

■親も恐らく被害者であったので、親の魂を助けて下さい

■支援云々の前に、まずは、虐待の後遺症がもっと認知されて、治療等のサポートを受けられる社会になることを願います。

■安心出来る居場所や話せる人が欲しい。

■うつ病を発症してさらに人間に対して苦手意識が強く役所の手続きなど恐怖すぎてひとりでできないので、サポートしてくれる団体が身近にあればとても助かります。あとどうしても仕事がうまくいかないので支援金を毎月いくらかもらえたらとても助かります。

■メンタルケア どう受け止めれ克服する過程や普通の感覚とどう違うかなど

■金

■自分でそう思ってるだけなんじゃないの?と本人に問題があると思われるのが辛い。まずはキチンと診断されて汚名を晴らしたい。ずっと自分のせいだと苦しんで生きてきたから。

■臨床心理士のカウンセリングなど心理面での支援サポート。いのちの電話などの1回限りの支援ではなく長期的に臨床心理士などのカウンセリングを受けるための金銭的な支援が欲しいです。また相談機関としてどのような医療的、福祉的支援があるのか、一緒に考えてくれるような支援が欲しいです。また虐待した親を大人になってから拒絶する子供に対して偏見や差別的な目を向ける社会的風潮を変えて欲しい。

■短時間しか働くことができません。複雑性PTSDも障害年金の対象にしてもらいたいです。

■第3者にできることは知識を深く広く持つことと金銭的な支援のみだと思っています。金銭的な支援の具体的な内容としては認知行動療法などの保険適用化、貯金を切り崩したり他の人を巻き込む前に症状によって少額~生活保護と同レベルの金銭的支援が必要だと思います。

■今現在、充分な支援をしてもらっているという立場で話しますが、主治医がセカンドオピニオンの意見も聞いて治療計画をたててくれること、病院が行政の控除や年金の支援に対する情報がアップデートされるたびに報告してくれること、24時間どんなときでも電話・メール対応してくれることに助けられています。自分が精神障害者等級1級になっても前向きに歩めているのは、主治医と病院に恵まれているからだと信じています。

■気軽に相談できる先が欲しいです。内容がシビアなのと、愛着が不安定なもので、中々知人に聞いてもらうことが難しいので。気持ちの整理のためにも、自分の体験やそれによる影響を人に話したいので、相談先が欲しいです。

■今は、もうすでに、何もかも遅い感じかする。子供の時は、学校に個人情報をもれないようにしてくれるカウンセラーなどがほしかった。児童相談所に駆け込むことがもっとハードル低かったら行けてたかも。家族以外で信頼できる大人がほしかった。

■保護されずに育った人のための相談機関がほしいです

■施設保護レベルかどうかは分かりませんが、虐待を受けてこなかった大人と比べればより社会的に孤立しやすいので、そうならない支援をしていただきたい。

■あなたは悪くないと言ってもらいたい。よくここまで来れたね、もう心配はいらないよと言ってもらいたい。人生やり直せるチャンスが欲しい。

■自己肯定感をつける支援。または、現実的な家事全般の支援。

■虐待が原因のPTSDの精神科やカウンセリング料をすこしでも減免してくれないとキツい。

■精神科、心療内科、カウンセリング費用、医療費を親に支払ってほしい。まずは市町村が立替える。その後は市町村が親から返済して貰うようにすると上手く行く。

■実家的なサードプレイス

■世間一般、 生き方をアドバイスしてくれる存在

■自分育ての補助のためのカウンセラー料を親の代わりに国に出して欲しい。かれこれ20年近く働けなくなり、やっと自分を嫌いでなくなったばかり。離婚きっかけで精神科初診、良き医師だったので通院したりしなかったりで働けてたが廃棄されてから職を転々とし失業保険もらったり。なので老齢年金では生活できない。障害者年金も医師が書こうとせず説得してくれる人も居ず、やっと貰えるまでに貯金で暮らしていたので、障害者年金が命綱。もっと良くなっても定年年齢になるため、手帳と障害者年金のため精神科から離れることが難しい。身体障害者の人は大した障害でなくても、大きな障害だけれどマッサージ開業でお金持ちになっても手帳も障害者年金も永久保証。私達も目に見えなくても能力が発揮できず普通に生活することはできない、私などは友人にも利用され40歳からは友人も居ない。遺産は可愛がられてた弟が渡そうとしない。働いたら厳しい障害者年金のあれもこれもできないし働けないが基本なので貰えなくなるのが嫌で働けない。優秀なカウンセラーと仕事しても担保される年金と手帳が欲しい。精神障害者というと偏見があり隠さざるを得ないので被虐待者手帳に変えて欲しい。

■精神が病んでいるためまともに仕事が出来ず収入が安定しないものです。親が週5フルタイム以外認めず、しかし週5フルタイムでは気力がもたないため休んでしまうため、週3〜4の事務職を探しています。大声や電話にトラウマがあり事務職だけで検索すると必ず電話取次が入るため就業がかなり難しい状態なので、電話と事務作業が独立した仕事がもっとあれば楽なのにと思います。また、体調が悪い時に虐待親がいる家で休むことができないので、いわゆる『ラブホテルで言う休憩』がある完全なカプセルホテルのようなシェルターが欲しいです。一時的に避難するためのスペースがネットカフェしかなく、またネットカフェの場合かなりの金額が必要になるので、もう少し安く済む、横になって寝るためだけのスペースがあったらありがたいのですが…。

■トラウマ治療のカウンセリング費用や治療費の負担を減らしてほしい。

■カウンセリング無償受診、金銭支給の休養期間、親子関係の断絶、親への接近禁止命令

■カウンセリングを安価で受けたい

■虐待された大人の情報を発信してもらえる機関など

■適切なトラウマ治療です。オンライン可な自助グループへの参加を支援してもらえるのもありがたいですね。

■自分の症状をゆっくり聞いて言語化して感情を確認してくれる支援

■加害者から慰謝料を強制的に徴収してほしい。それとカウンセリング等、虐待が原因で必要となった治療費の全額負担をさせてほしい。

■経済的支援、安全安心を感じられるような居場所(精神のデイケア以外)

■自力で簡単無料でこっそり第三者に相談できるシステム。あざを作る日常が普通かどうかすら区別がつかなくなっているので。

■病院と駆け込み寺の中間の様な施設

■経験豊かな、虐待児の心理学に精通した方の、行政が行う無償カウンセリング

今回の調査結果は、現在実施している署名活動「虐待を受けたすべての人が適切なトラウマ治療を受けられることを求めます!」の結果とともに、厚生労働省へ提出する予定です。署名活動は以下より。





虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!