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映画「システムクラッシャー」

ローカル電車に乗って、兵庫県の豊岡劇場まで映画「システムクラッシャー」を観に行ってきました。

昭和レトロな映画館で、マニアックな映画を多く上映していました。

豊岡劇場(上映前風景)
豊岡劇場

ネタバレになってしまいますが、児童虐待を受けた子供が情緒障害になって大暴れや攻撃性が止まらないという、虐待サバイバーあるあるな話でした。

システムクラッシャーは、子供だけでなく大人の虐待の後遺症でも見られるものですが、本作では、虐待を受けた子供の情緒障害や、愛着障害、それにより既存の福祉のシステムからこぼれ落ちて、どこにも居場所がないケースが描かれており、現場で起きていることをしっかりと下調べした上で描かれた社会派の作品でした。

10年くらい前に、情緒障害児短期療養施設(児童心理治療施設)に入所している子どもを何人か見たことがあるのですが、まさしくこの映画の通りの実態がありました。

虐待サバイバーや、システム・クラッシャーの子供は、支援者も無理解で、嫌う人が多い場面も描かれていていました。でも、一人だけ理解あるまともなソーシャルワーカーが奮闘するという実態は、現実で起きていることと変わらないなと思いました。

虐待サバイバーや、システム・クラッシャーは、「愛着」の問題が1番、支援者との間で問題が生じる課題なのですが、「愛着」の問題をよく理解していない支援者が、自ら主人公に近づきすぎて、結果、愛着依存され距離が取れなくなるなどあるあるな支援の失敗場面も描かれていました。

虐待サバイバーを支援する人は、「愛着」の問題を初回から理解して、意識的に距離を取らないと、支援は失敗します。適度な転移くらいに距離を取らないと、失敗するのです。

あと、複雑性PTSDの支援者は、経験値(どれだけ、急性期の複雑性PTSDを見てきたか)と、当事者との年齢の差も支援に大きな影響を与えることにも本作を観て気が付きました。

複雑性PTSDをまったく知らない支援者は、そもそも病状すら理解不能になって、性格の問題と勘違いするし、複雑性PTSDを知っていても、「愛着障害」があるから、年齢が当事者より上か、下かでも支援の結果が大きく変わってくると思います。
一般的に、複雑性PTSDは、支援者が当事者より年下では、支援は難しいと感じます。

支援者が、同い年か、年上の方が、複雑性PTSDの場合は、支援がうまくいくと思います。発達障害などの支援と大きく違って、複雑性PTSDは、心(感情)の病気で、インナーチャイルドの傷つきを抱えているから、「育て直し」がいるわけです。だから、当事者より支援者が年下では、「育て直し」ができないし、当事者の心は満たされなさで、孤独になるのです。

あと、この映画では、主人公の大暴れを抑えるために、リスペリドン(リスパダール)の処方も出てきて、遅発性ジスキネジアの薬害の話まで出てきて、私のことじゃん。。!と思ったし、大暴れが止まらないからといって、安易に、リスペリドンという劇薬を投与しても、少し、ボーっとするだけで、問題解決には一切、至らないのです。
むしろ、薬害のデメリットの方が圧倒的に大きい。

結末も、ドイツのかつての植民地に押し付けるという、アイロニーでした。戦争が虐待の産みの親なのに・・・です。

以下、本作のエンディング曲。これも良かったです。★5の作品でした。


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