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虐待サバイバー・プロジェクトチーム(第3回)会議録

【実施日時】2021年8月18日 19:00~(3h)

<支援者>
内田信也・弁護士(日本弁護士連合会子どもの権利委員会/幹事・札幌弁護士会子どもの権利委員会/委員・NPO法人子どもシェルターレラピリカ/理事長・北海道子どもの虐待防止協会/副代表)
冨田正美(ハーレーサンタCLUB NAGOYA 代表/母子生活支援施設「愛知昭和荘」荘長 兼(福)愛知県母子寡婦福祉連合会 理事/自立援助ホーム「のぞみ」設立メンバー 兼(一社)あいち子ども・若者支援センター 理事/(特非)陽和(ひより)副理事長/(特非)あいち・子どもNPOセンター 理事/(特非)いのちをバトンタッチする会 理事/(特非)全国こども福祉センター 理事/(一社)こども・女性ネット東海 理事/(一社)知多娘地域活性化プロジェクト 理事)
杉江健二(一般社団法人 青少年養育支援センター陽氣会・代表理事)

和田秀樹・精神科医(国際医療福祉大学・赤坂心理学科・教授)。今回は参加となりませんでしたが、医学的見解を頂きたい時は、会議にご協力を頂くことになっております。

<当事者>

高橋のぞみ(@新潟/子ども虐待被害当事者の社会参加推進団体「しんか」代表)※今回は欠席。
カオルコ(@千葉/虐待サバイバー支援の署名活動に参加)
菊池啓(@奈良/虐待サバイバー自助グループ『ならてぃぶ』代表)
北野佳子(@京都/虐待サバイバー・市民活動センターで活動)
吉野かぁこ(@愛媛/フリーライター/虐待サバイバーにも取材)
羽馬千恵(@札幌/書籍『わたし、虐待サバイバー(ブックマン社 2019)』著者)

<大学生>

森真衣香(東京都立大学・社会福祉・児童虐待を専攻)

尾上翼(畿央大学・教育学部)      

<マスコミ>・2社傍聴

議題① 虐待サバイバーのパレード実施について
目的 虐待の後遺症は、専門家ですら理解が少なく、国の支援もない。
   当事者、専門家たちで協議の上、今後の改善策を考える。

前回の決定事項(2つ決定)
①トラウマ治療については、長期的な目標で現在の署名活動で保険対象化にしてもらう署名を続ける。短期的な目標として、トラウマ治療・カウンセリングの無料券を厚労省に求めていく(PTSD治療については、海外の事例や日本で実現可能性がある方法について、9月の会議で精神科医の和田秀樹先生に意見を伺う予定)。
②大人の虐待サバイバーの支援を求めるパレード(治療費の公的支援、貧困、保証人なし、などへの公的支援を求める)

本日の議題
■虐待サバイバーのパレードの実施について

★パレード実施時期★
Slackでも事前に協議したが、
・今年11月実施でなくてもよいのではないか?(今8月半ばなので、準備期間がない。11月は子どものオレンジリボンのパレードが忙しく、オレンジリボンを実施している冨田さんが忙しそう)。
・8月(お盆)でもいいのでは?(子持ち忙しい?)
・あわてて突貫工事でやるよりも1年くらい準備期間あってもいいのでは?
名古屋は虐待防止月間は、11月と5月の2回実施している。気候的に5月でもいいのでは?
・4月は年度替わりで忙しい時期。5月か10月ぐらいがいいのかも。
・GWはどうか?5月3日は憲法記念日で他のパレードとかぶる。それを良しとするのかどうか?
→今年の11月は準備期間の少なさからなし。少なくとも半年ぐらい準備期間を設ける。
 11月くらいにパレード実施の宣伝をし、来年5月に実施する旨を告知する方向性でいく。

 ・11月にオンラインのシンポジウムやって、そこでパレードの告知するのは?
 →賛成

【パレードのノウハウがないという課題】

・全国一斉パレードにしたいが、初回は1カ所で成功させた方が賢明。
冨田さんはパレード専門家/ハーレーサンタさんを先頭にしたらすごく目立つ/暗くやらず明るくパレードすることが〇/名古屋が、冨田さん、杉江さんが人脈もあるし、信頼もある。これまでのオレンジリボンのパレードの実績があり、人が集まりやすい。初回は、来年の5月に名古屋がベスト!

・現地に参加できない人がネットでデモできるように、Twitterなどでのハッシュタグやバナー、画像つけるのどうか?

・ソーシャルインパクトを考えると、ある程度の人数で集まったほうがいい(➡名古屋がベスト)
・予算がある程度はいると思う。5月までにクラウドファンディングで予算集めもあり。

・パレード・デモやりっぱなしにならないようにすることが大事。
・少しでも成果が見えないと参加してくれた人も継続して参加してくれなくなる。

【パレードで社会に発信するメッセージを明確にすることが大事】
「児童虐待被害者支援法をつくりたい!」と宣言するなど。
どういうイメージの新しい制度をつくるのか/中身をどうするか
(海外の先進例を掲げて)トラウマの治療・40回(暫定)カウンセリング無料・保険対象など。
・それをすることで議員さんなども巻き込める
・パレードは、あくまで「手段」であり、「目的」を明確に実施すること。

・例えば、目的(支援法の制定)など

・フラワーデモや、Mee Too運動も、一時期、盛り上がったが、やりっぱなしで終わってしまった感じがする。

【学生の尾上さんから質問】虐待を受けた人がなにを社会に訴えたいのか?
一番これがあると助かるというのは?

【回答】ほしい支援はたくさんあるけど、トラウマ治療が保険対象じゃない。治療が受けられて病気が治らないことには、就労支援を受けてもムダになってしまう。まずは治療の保証が必要。
・虐待の被害者は、必ずしも、児童養護施設に保護されていない(社会的養護に子ども時代につながる被害者はごく一部)。保護から漏れたのは虐待が軽かったわけではなく、2000年の制度発足以前の被害者も沢山いるし、今の子どもたちも適切に社会的養護につながっていないケースもある。施設保護されたかどうかに関係なく、複雑性PTSDの治療が保険対象で受けられるように。

【パレードの実施+街灯署名も同時並行で行うのはどうか?】

電子署名・・羽馬さんが1年かけて3000人以上集めてる

・薬物療法しか保険対象が適用できないため、PTSDという特殊な治療は保険対象外。長期治療の場合、役所に申請すると収入に応じて1割自己負担になる(自立支援医療制度)。自立支援医療制度は、すべての人が使える制度だが、PTSD治療(EMDRや認知行動療法、カウンセリング、SE(ソマティック・エクスペリエンシング)は、保険対象外。これらは、精神科医ではなく、臨床心理士や公認心理師が自営業で実施しているケースが多い。

・虐待の後遺症は、精神疾患だけでなく、身体的な障害も引き起こす。自律神経失調症や月経前不快気分障害(PMDD)が重度であったり、心因性の疼痛、難病の線維筋痛症の発症など身体症状も重度。このため、自立支援医療制度の欠点は、病院が1カ所なので、それ以外の病院では適用できない。自立支援制度だけでは〈虐待の後遺症〉を治療するには、不十分。

2018年6月に、厚生労働省が、虐待など長期にわたる慢性的な被害が引き起こすトラウマを、従来の単回性PTSDを分けて〈複雑性PTSD〉という病気として認定した。WHOの診断基準ICDにも複雑性PTSDは記載されている。

・虐待に限らず、PTSD治療自体が保険対象じゃない。レイプ被害や災害トラウマなど、PTSD全般の対象者も含めて進めていったほうがいいか?

・国は出費が増えるから、できるだけPTSDと虐待被害との因果関係を認めたくないという力学の中で、PTSDの原因が児童期の虐待だったという証明が難しい(内田弁護士より)。
・裁判でもPTSDの主張はあるけど、原因の証拠ついて追及されてしまう。パレードやデモやれば世間がかわるというわけじゃない。先進国や病気が保険対象になり、国が公的支援を認めた歴史から学ぶ必要はある(内田弁護士より)。

現時点では、社会的養護の出身者に絞った保証になってしまっている。これでは、虐待が酷かったけど施設保護されなかった被害者(=虐待の被害者の大半が支援ゼロとなってしまう。虐待の連鎖も防げず、虐待問題は解決しない)。虐待後のケアは被害者みんなの権利!!

【過去の判例】
原因の証拠・・・原爆の黑い雨訴訟・水俣病
公害の認定だと、逆差別も存在する(被害者認定されることで受ける差別や金ほしさによる詐病と言われたりすることもあった。また、本当に被害者で後遺症を患っているのに、国に被害者認定されず、医療が受けられなかった被害者も発生した)。
黒い雨訴訟は、申請すれは今では、認定もらえるようになった(しかし、戦後76年経って、公的支援が受けられるようになっても、寿命が尽きる前では、遅すぎる話)。福島原発 その地域に住んでいた人がもらえるようになった

イギリス・・・PTSD治療無料券が実現している。PTSDを発症した原因の証拠は提出義務とかある?わからないが、調べたら解決の糸口がつかめるかも。9月に精神科医の和田秀樹先生に聞けるかも。

★虐待サバイバーのシンボルカラーは?
オレンジは「防止」だけのオレンジリボンとかぶるから、ほかのいろ、たとえば緑は?もしくはシルバー(メンタル系のシルバ―リボン)
ロードマップが決まってから決まればいいのでは?

★今後どう動いていくか?
パレードでの主張をもっと固めていったほうがいい。
①虐待を受けたけど、2000年の児童虐待防止法以前の被害者で、成人後に長く〈虐待の後遺症〉を患ってきた自分たちの権利の主張

②大人の被害者の権利主張だけでなく、「大人の虐待サバイバーが救われれば、子どもたちも同時に救われるというメッセージ!」

★組織にしていくには
ビジョン(展望) 、バリユー
例「すべての親子が笑顔で過ごせる未来」
会のビジョンを掲げた方がいい。

<川の流れの話>
流れの途中で子どもを救う/海まで行っちゃった/子どもを流す親

この3者を救わないといけない。

【傍聴してくれたマスコミの方からの質問】

Aマスコミ 「名古屋での5月パレードですが、コロナ渦で県外への取材が難しい。映像を撮ってもらうことは可能か?」

回答 「可能です。5月までに事前打ち合わせをしましょう。編集はAマスコミの方でよろしくお願いいたします。」

Aマスコミ 「イギリスでの40回カウンセリング無料券について調べてみた。イギリスでへは、日本と根本的に医療制度が異なっている。日本が、前例として真似るなら、フランスやドイツの方が医療制度が日本と似ていると思う」

【補足】社会保障は、日本、ドイツ、アメリカ、イギリスと、それぞれ異なる制度でイギリスやフィンランドには、社会保障はなく、全て税金で賄われている。なので物価が高い。日本の社会保障は、社会保険制度があり、国民からお金を徴収して支援する制度を採用しており、社会保険は、年金、医療、介護、雇用、労災などがある。この社会保険を採用している国は、少なく、ドイツ、日本、フランスが社会保険を採用しており、国によって医療・福祉制度が異なるため、日本が参考にするなら、ドイツやフランスが近い制度となっている。

Bマスコミ 「虐待が未発見のまま大人になった被害者や、2000年の児童虐待防止法が制定される以前に、児相介入すらなかった世代(30代以上)の被害者の「数」を知りたい。とても多いことは予想できるが、報道にあたって、説得力に欠ける」

回答 「「潜在的児童虐待被害者」を研究している大学教官は少ないがいると思う。論文になっていないだけで、データは持っているケースは多い。「潜在的児童虐待被害者」を研究している大学教官を取材して「推定数」だけでも入手してもらいたい」

【11月シンポジウムについて】

・オンラインで実施(予算はかからない)

・実施の1か月前には、形が決定していないと間に合わない(今月、来月には決定していかないといけない)

・基調講演((仮)羽馬千恵)

・その後、他の虐待サバイバーが苦しいことを訴える形式

・オンラインパネリスト

・子どもの児童虐待には関心が高くても、虐待サバイバーという言葉を知らない人も多い

・アイキャッチ画像、Googleフォームで申し込み

シンポジウムの目的は、来年の5月パレードの前哨戦!


虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!