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ロイホのコスモドリアという扉を開ける。


短い短いエッセイを書きました。
日記のようなものです。
どれかひとつだけでもどうぞ!


晩ごはんの前借り

突然、「運動がしたくなった」と1時間ほどランニングをしてきた夫が、「お腹が空いたから、晩ごはんの前借りをしようと思って」と言いながら冷蔵庫を物色している。「『晩ごはんの前借り』って、なかなか面白い表現だね」と返すと、夫はごま豆腐を見つけて「金ごま豆腐の前借りだ!」とさっきより誇らしげに言う。どうやらワードセンスを褒められたのがちょっとうれしくて、もう一度使ってみたということのようである。

出版不況は嘘なんじゃないかと思う街

会社の仕事は休みで、フリーの仕事も落ち着いていた平日、長い散歩に出ることにした。いつもの氏神様を参拝してから、本屋へ。今話題の本のコーナーを見ると、本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』の横に、続編の『成瀬は信じた道をいく』があり、これに決める。天下の方はちょうど一年ほど前に読んでいて、最近「続編もおもしろかった!」とよく耳にするので、気になっていた。よく耳にすると書いたけど、すべてnoteの街で得た情報。noteにいると、月何冊も本を買っている人がたくさんいて、熱のある読書感想記事も多くて、本が売れない時代だなんて嘘だろうと思う。借りるのもいいし、古本で買うこともあるけど、お小遣いが許す限り、新品の本を定価で買いたい。誰かの言葉や文章や物語にお金を払いたい。それは書いてくれた誰かのことを思っているようで実は、これからも細々とでもいいから言葉や文章でお金をもらっていけますように、と自分のことを考えているのかもしれない。


人の誤字脱字にはすぐ気づくくせに

毎月買っている雑誌に、毎月誤植があって、毎月気づいてしまう。結構大きいミスもある。そういうときは、そっと見つけて、そっと忘れることにしている。どうして人の誤字脱字にはすぐ気づくのに、自分のは何度読み返しても見落としてしまうことがあるのだろう。そして誤字脱字に気づいたとき、人の間違いは「まあそんなこともあるよね~ドンマイドンマイ」と思う程度なのに、自分の間違いは「わたしってほんとダメな人間」と話を大きくしてしまうのもまた不思議。やっぱりわたしってややこしい。


ロイホのコスモドリアという扉を開ける

数ヶ月ぶりのロイヤルホストの日。前回初めて「黒×黒ハンバーグ」というそり立つ壁を乗り越えて「オムライス」に手が届いた(その時の記事)わたしだが、今回はさらに未知なる領域へ挑もうとしていた。「コスモドリア」である。このドリア、なんとマロンが入っているのだとテレビで見た。ドリアに栗を入れるだなんて、わたしには到底思いつかない非凡なアイディア。お店でメニュー表を開けばどうせ目移りするとわかっていたので、朝、自宅でホームページを確認し、今日は「コスモドリア」と「ケールサラダ」を食べるのだと決め込む。お店に着いて夫がメニュー表を開くとやっぱり気になって覗き込もうとしてしまったが、夫が「今日はもう決めてるって言ってたよ?」と止めてくれて、無事に予定通りの注文。まずはケールサラダ。ケールが好きなのかピーナッツオイルのドレッシングが好きなのか判断がつかないが、むしゃむしゃと夢中で食べる。そして「コスモドリア」を一口。…なにこれおいしすぎる。想像の5倍コクのあるソースに、栗の優しい甘み。エビもチキンもちゃんといる。はあぁ…好き。早食いのわたしだけど、しばらく口にためておきたくて、じっくり味わって食べた。新たな扉を開いた感がある。そり立つ壁ハンバーグがあって、完璧なオムライスがあって、コスモドリア。ロイヤルホストがわたしを離してくれない。

今悩み切ってしまう

電車に乗ると目の前に中学生の集団がいる。彼らを見ながら、そういえば中学生の頃おでこがべたべたして小さなニキビがいくつもできて、洗顔料やクレアラシルを使っても退治できなくて、そのぼこぼこを触っては「もう一生こうなんじゃないか…」と深刻なため息を吐いていたのに、いつからかべたつくこともニキビもあまりできなくなり(今はくすみとかほかの肌悩みはあるけど)平らな肌になったなあと思う。一生同じことで悩み続けるなんてできないのだから、今の悩みは今とことん悩んでしまうのも悪くないかもしれない。などと考えていたそのとき、中学生たちが手に持っている校外学習のしおりが目に入る。『春の校外学習』。思春期の春は、大人のそれよりちょっと長いんだろうかと思う6月5日。


おわり

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