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MobilityとStability

こんにちは。

前回に続いて膝の話をしようと思いましたが、その前に説明しておきたいことがありますので、そちらを先にお話させてください。


今回は人体の動きや関節に関する2つの大切な機能について考えてみましょう。


私たち人間の動き、そして私たちの関節にはMobility「可動性」とStability「安定性」という相反する機能が必要だとされています。

例を出します。

立ち始めたばかりの赤ちゃんや生まれたての子鹿、千鳥足の酔っ払いを想像してください。

不安定で転びそうですよね。

これはMobilityはあるけどStabilityがない状態です。


今度はカカシや木を想像してください。

地面に埋まってるので、よっぽど強い風が吹かない限りは倒れないはずです。

これがもし人間だったら、埋まって動けなくてかわいそうですね。

StabilityはあるけどMobilityが全くない状態です。


私たち人間は普段何気なく歩いたり走ったり、当たり前のように動いています。

物理学的にいえば、こんな細い物体が動きまくってたらすぐ倒れてしまうはずです。

それでも人間は倒れずにいられます。

なぜでしょうか?


それはMobilityとStabilityが両立できているからであり、そのカギは関節と脳にあります。

体が動く時、各関節は動く部分と動かずに安定する部分に分かれて活動し、体全体が目的の動きを安定し、かつ滑らかに達成できるように役割分担しているのです。
(協調性と呼んだりします)


人間が歩く、走るのような基礎的な動きから、綱渡りやバク転のような複雑な動きまで(訓練しないとできないですが)できてしまうのは、このMobilityとStabilityが両立できているからかのです。

なぜこのようなことができるかというと、これらをコントロールしている脳のおかげなのですが、その細かい話は今回は割愛します。


「Mobility」と「Stability」、この2つの観点に着目して動作分析を行うと、効果的な理学療法やスポーツパフォーマンス向上に繋がるかもしれません。

例を2ケースあげるので、考えてみましょう。


①早く歩きたいけど歩けない人 
この人は歩行中、常に両腕を体にくっつけて小さい歩幅で歩いています。

なぜこのように歩いているのか、考えられる要因として、
体幹のStabilityが低下してグラグラしちゃうか、体幹が少しでも動くと痛いけど体幹筋ではStabilityを高められないので、上肢・下肢のMobilityを下げてStabilityを高めているなどの可能性が考えられます。


このようなケースの場合、体幹のStabilityを高めるための運動療法や痛みを改善する治療、一時的に装具などでStabilityを高めてあげるなどの対応が考えられます。


②野球のピッチャーをやっているが、コントロールが悪くて速い球が投げられない
定まらない
まず、コントロールが悪い=不安定と解釈でき、Stabilityが低下してそうと伺えますね。
また、速い球を投げるには土台となる下半身のStabilityと動きをつくる上半身のMobilityが大切です。

フォームをチェックするポイントとしては、まず下半身のStability、その上で上半身のMobility(特に回旋)を確認しておけるとよいかもしれません。(めちゃくちゃざっくりですが)




今日はここまで。


次回、膝の役割の話に戻り、今日の内容と絡めて膝に対する理解を深めていきましょう。

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