近代ヤクルト高身長投手の歴史と今後のドラフト戦略2023

6/21に発売された野球太郎で、

ヤクルトの橿淵スカウトデスクが高校生を評価していく

そんなヤクルトファンドラフトマニア歓喜のコーナーが作られていた。

そこで僕が一番気になったのが、

「今年は185cm前後のパワーピッチャーがそろっている」

のような表現を繰り返したところ。

確かにその通りだ。

具体名は今後の記事で紹介していくこととするが、
高校、大学、社会人と185cm前後,それ以上の有力投手が
この段階でポンポンと名前が挙がる。

ヤクルトは球団の伝統として投手が弱すぎることから、
どうしても素材型よりは完成度を求めて投手を集めているのが
これまでのイメージではないだろうか。

前線を張り続けている小川泰弘,石川雅規が
小柄な投手の代表格だからというのもあるだろうし、
ここ10数年を見てヤクルトを支えてきた
名のある生え抜き投手は170-183cmの間に収まっている。

近代ヤクルト高身長投手の歴史


村中恭兵(188cm) 05年1位 左
増渕竜義(186cm)06年1位 右
赤川克紀(184cm)08年1位 左
平井 諒(184cm)09年4位 右
田川賢吾(189cm)12年3位 右
杉浦稔大(190cm)13年1位 右
蔵本治孝(185cm) 17年3位 右
奥川 恭伸(184cm) 19年1位 右
嘉手苅 浩太(191cm) 20年6位 右
山下 輝(188cm)21年1位 左
丸山 翔大(192cm)21年育4位 右

※抜けがあるかもしれません

そもそも高身長投手は絶対数が少ないわけだから、
意識的に指名しない限り人数も増えないし
人数が少なければ当たりも増えないわけで
一概には言えないのだろうというのは前提として、

生え抜き日本人で当たりと言える投手が本当に出ない。

村中、増渕、由規、赤川の高校生4名
いわゆる「ドラ1四兄弟」のうち
由規以外の3人が高身長に分類される投手だが、

結局後世の評価で言えば
2011-12年の超投高だった「統一球時代」に
ぼちぼちの実績を積み上げただけ。

箸にも棒にも掛からなかったわけではないが、
高卒ドラ1という大きな看板を踏まえると
物足りない実績と評価せざるを得ない。

ここの大外しが
「ヤクルトの高身長は育たない」
の源泉になっているような気がする。

あとは杉浦もハムに移籍してから
NPB選手としての全盛期を迎えているのも印象が悪い。

ポテンシャルはヤクルト時代から評価されていつつ
何度も怪我に悩まされていたから
仕方がないと言えばそうなのだが・・・。

21年1位の山下輝も杉浦と同じように
入団直後から怪我、その後も怪我
と190cm近いドラ1投手のコンディションを
整えられていないところから、

ヤクルトは高身長を育てられないどころか
コンディション管理すらできない
球団として高身長を育てるノウハウが他球団より劣っている

そんな印象をどうしても抱いてしまう。

この失敗で球団としても高身長の指名をヒヨったのか、
投手が焼け野原すぎてロマンある指名が現実的にできなかったのか、
2010年代中盤は身長の高すぎない完成度を求めたドラフトを
重ねてきたのかなと想像している。

183なら結構いい投手出てるんだけどな。
と言っても183と184でそんなに変わるとも思えない。

昔の選手の成長過程が分からないので何とも言えないが、
奥川は間違いなく入団後背が伸びての184cmだし
高身長の枠に入れていいかどうかも悩ましいところだ。


一応、丸山翔大は育成成功と言っていいのではないだろうか。

192cmと明確に高い身長を持っていながら
線は非常に細かった丸山。
(今もまだ細く見えるが)

無名の大学である西日本工業大学出身と言っても
1学年下の隅田知一郎(現西武)を見に来るついでに
もっと有名になってもよかったはずの状況で
育成4位という順位まで残った評価のところから、

2023年シーズンには一軍でもハッキリ通用する球を
投げられるところまで成長した。

ストレート,変化球の質ともに
今後も成長が期待できそうであることは間違いないのだが、

少なくとも丸山を現時点まで育て上げたというのは
近代ヤクルト高身長投手育成の希望と言っていいだろう。

(と言ってもこれくらいなら
田川もポテンシャル見せてたしなあ、
カテカルとか今まっすぐ120キロ台だしなあ、
とは思いつつ。)


と言っても、近年はメカニック面,メディカル面が急速に発達して
高身長で150キロ超パワーピッチャーが大流行している昨今。

高校生でもウエイトや科学的な食トレをし出して
完成度が明らかに上がってきている昨今。

デカい投手がパワーで押す投球は大前提,
プロではそこからの完成度が求められる時代に突入した。

球団としても、失敗例を積み重ねてでも
高身長を育成していくノウハウ,伝統を作っていくべきなのだろうか。

20年代に入ってから、ヤクルト球団の発言を見ても
パワーピッチャーの必要性を説いていることが多い印象があるし、

実際のドラフト指名を見ても190前後の指名が増えたり
パワーピッチャーの権化である木澤尚文(183cm)を
ドラフト1位指名していたり
21年の高校生でも直球が評判だった竹山日向(182cm)を
ドラフト5位で指名していたりと

「大きい」「力強い」を意識した指名は
今後もしていくんだろうな、という期待感はある。

実際ファンとしても、そういったパワー溢れる投手が見たいよね。


とはいっても現実的に、
ヤクルトが露骨な高身長素材を乱獲したら
とんでもないことになりそうなのは何となく予想がつく。

高身長でゴリゴリ素材型で理論値が果てしなさそうな投手
もそりゃまあヤクルトで見てみたい気持ちはあるが、

そんな投手がヤクルトで先発として育つとは思えない。

やはり素材を重視しながらも
現実的にプロでも先発している姿が想像できる
一定の完成度は優先せねばならんのだろうなとは思う。


今後アマチュア選手を詳細に追って
ヤクルトに指名してほしい投手を紹介する記事を
ぼちぼち投稿していきたいと思っているが、
それらは以上を前提として書いていく次第だ。



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