日記:2020/2/14(金)

흐림. ナボコフ『アーダ』を読み進める。「アンチテラ」の世界では、19世紀末にはすでにカラー映画を撮影できる技術が開発されている。

J'ecrirai mes journaux intimes pour apprendre les langues étrangères et juste pour rappel.

読んだ記事:

ラオール・ウォルシュ監督の初期トーキー(かつプレコード時代の)2作、『懐しのアリゾナ In Old Arizona』(1928)と(現在21世紀FOXを買収したディズニーによってお蔵入り状態となっている)『The Man Who Came Back』(1931)について紹介した、mubi notebooks の記事。

『懐かしのアリゾナ』は、FOX の Movietone News(ムービートーン(フィルム映像と録音された音を同期させるためのサウンド・システム)を使用して撮影されたニューズリール)を見て衝撃を受けたウォルシュが、少人数のスタッフ編成で、まさしくニューズリールを撮るようにして製作した西部劇。ムービートーンを用いて野外ロケを行った、初のトーキー長編映画でもある。本作撮影中、野ウサギが車のフロントグラスに衝突し、飛び散ったガラスによりウォルシュは片目を負傷、 残りの撮影をアーヴィング・カミングスが引き継ぐこととなる(現在IMDbの監督クレジットには、アーヴィング・カミングスの名前しか記載されていない。きわめて遺憾である)。のちの肖像写真に見られる有名なアイ・パッチ姿は、上記事件がきっかけだ。

撮影現場の苦労がしのばれるエピソードであるが、撮影監督のアーサー・エディソンは本作に加え、『西部戦線異状なし All Quiet on the Western Front』(1930)、『カサブランカ Casablanca』(1942)の計3回アカデミー撮影賞にノミネートされている。

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※ウォルシュの肖像写真。この男前っぷりを見よ。

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※こちらは『國民の創生 The Birth of a Nation』(1915)出演時の「俳優」ラオール・ウォルシュ。リンカーンを暗殺した役者ジョン・ウィルクス・ブースを演じている。

一方『The Man Who Came Back』(1931)は、金持ちの放蕩息子でアル中の主人公とヤク中のヒロインの2人が、どのようにしてそこから立ち直るのかが語られる、戯曲翻案のメロドラマ映画。記事によると、そのキャスティング(チャールズ・ファレル、ジャネット・ゲイナー主演)からして本来フランク・ボーゼージ(同コンビで名作『第七天国 7th Heaven』(1927)、『幸運の星 Lucky Star』(1929)を監督)が撮るべき案件だったはずで、何らかの事情により担当せざるをえなくなったウォルシュにとって、あまりにも不向きな題材だったのではないか、とのこと。このような「失敗作」や「不発に終わった映画」を見る絶好の機会として、ストリーミング配信は理想的なプラットフォームとなるのではなかろうか――と、記事はしめくくられている。

追記:『國民の創生』(1915)が、リンカーンの死後(1865)50周年に公開された作品であることにハタと気づいてしまい、改めてヤベー映画だと思いましたまる


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