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オススメ映画「あまろっく」~仔細をスルーすれば傑作ホームコメディ~

 笑って泣いてのホームドラマ、松竹の黄金路線を彷彿とさせるが、大きく異なるのが舞台が関西・尼崎市であると言う事。それがどう違うと言えば。編中、優子と早希が口論になるシーン、あわやどちらかがキレて喧嘩状態の雲行きに。なのに関西弁の不思議なことに、「しゃあないなぁ~」的に何事もなかったかのように事態が収束してしまう不思議。関西の方からすればなんてことないシーンかも知れませんが(私は東海地方)。

人生で起きる事を楽しまなくては、あかん

 私的で恐縮ですが大阪の方から「そんなん、あかん、あかん」と真顔で言われ。ムッとした経験があります。そんなキツイ言い方しなくても、まるで全否定されてしまったような寂しさを覚えましたが。最後に「知らんけど」とひっくり返される事もあり、この人の本音がまるで見えなくなってしまいます。こんな具合ですから、コメディのニュアンスがズレ、そのギャップをも楽しめばいいのですいがね。

 なにより本作の核には、笑福亭鶴瓶の笑顔が全編にドスンと横たわる安定感が出色です、画面にいようといなくとも。こんな役者はちょいと見当たりませんね。落語家としてのみならずテレビでのタレント活動での印象そのままです。だからまさか、こんな展開になるとは驚くものの、ずっと彼が画面に存在する?のです。

どっちがお邪魔虫なのでしょうかね

 しかし、諸々常軌を逸した、即ち、ちょいと無理筋な設定をスルーしてしまえばシチュエーション・コメディとしては上出来かと。主役の江口のりこは鶴瓶同様に、普段のキャラそのままにクールを貫き本作を支える。けれど肝心なのは後妻役の中条あやみでしょう、彼女こそ普段のイメージをガラリと変えての大奮闘が本作成功の要因なのは間違いないでしょう。あのルックス、あのスタイルで「家族を守りたいの」なんてセリフを納得させてしまうのですから拍手喝采でしょう。

 「あまろっく」が「尼ロック」とは驚きですが、秀逸なタイトルでした。冒頭にちゃんと解説がありました。

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