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新春の景色は列車から(part1)[2022.1 北海道&東日本パス④]


まだ夜が明けきらない東京駅。
ビルの輪郭がようやくはっきりと浮かびあがってきた。

今回の旅は1泊2日の予定である。列車に揺られつつ、ただただ呆けているだけといえば良いだろうか。
「列車に乗るだけ」と聞くと、随分と楽な旅行に思うかもしれない。
しかし、現実はそうではなく、「痛み」との闘いなのである。
その「痛み」のピークは2回訪れる。
まずは、乗っている最中。身体と座席の接地面、つまりはお尻が痛む。痛み始めると、早く目的地に着かないか、とつい弱音を吐いてしまうほどだ。
つぎに、旅行から帰ってきた翌日。ふくらはぎをはじめとする身体のあちらこちらが痛む。これは普段の運動不足が影響しているかもしれず、大いに反省したいところだ。

そんな話はどうでも良いとして、東京を始発とする列車は上野東京ラインが開業してからは随分と珍しくなった。
今回、まず最初に乗車するのは、その東京始発の列車だ。
朝の下りということもあってか、空席が目立つ状態での出発となったが、それも次の上野で終わりを迎える。
上野ではドア横に人がたっている程度の混雑度だ。もちろん座席は埋まっている。
やはり北行ほっこうの列車は東京ではなく、上野が玄関口なのだろうか。私はそうだと信じたいが果たして。

大宮までは東北本線と一緒の線路を走っていく。正式な路線名称としての高崎たかさき線は、大宮から高崎の間な訳だが、便宜上、上野から先は"高崎線"と案内しているようだ。
赤羽あかばねからは流石に吊り革もいっぱいになり、その調子で各駅に停車する度に圧迫感が増す。

しかし、大宮に到着すると、通勤客がどっと下車した。
このとき、都内から大宮への通勤需要もある程度存在していることに気が付いた。

大宮で多くの通勤客がいなくなったのなら、そこから先は空気輸送と思われるかもしれない。結論から申し上げると、そうではなかった。
部活動に励む学生が多く乗ってきたのだ。一気に車内の鬱蒼な雰囲気が晴れる。

そんな様子も束の間である。学生というのは基本的には短距離での乗車だ。上尾あげお桶川おけがわといった主要駅を踏むうちに、学生もその他一般客も減るばかりで、賑わいも衰退していく。
終着籠原かごはらの一歩手前である熊谷で、とうとう私の乗っている号車には人っ子一人いなくなった。

そして、籠原に到着。引き続き折り返しの熱海あたみ行きに乗るが、エコノミークラス症候群を気にしている私は、一旦ホームに降り立ち、周囲に人がいないのを確認してから、ちょっとしたストレッチをした。

さきほど申したとおり、つぎは籠原から熱海へと向かう。
13分の折り返し時間で、なんとか買っておいた朝ごはんは詰め込めた。
覚悟を決めて車内へと戻る。

熱海は、地の果てだ。


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