「Nutrition」揺川たまき〈短歌9首連作〉
クレープのサンプルは夜にひらかれて優しいゆびさきを待っている
買いもしない葡萄の粒はつやめいて開店前の冷えた朝日に
マカダミアナッツほろほろ崩れてく口の中 これ、洗脳みたい
誕生日ケーキの上のロウソクを消すのってなんか縁起悪くない?
ピザ屋まで 3キロ歩く ピザ食うたびこの日のことを思うんだろう
ねむれない 卵焼き色のライオンのぬいぐるみは嘘だけどかわいい
天体ショーはショーではなくてぼくたちがアイスをなめるのと同じこと
グレープのかたちのグミがグレープの味だからここは現実らしい
手紙書くから待っていて 岸になるのはむりだけど栄養になる
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