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「子育てレース」に参加してたあの日

私の母は85歳になります。
母はいつも私に言います。
「あなたが何歳になっても、心配で心配でしかたがない。」
「子育ては、私の中では死ぬまで終わらない。」と。

日本人は欧米人のように親子間で愛してる、大好きなど言いませんが、日本人はこんなことを言って子供への永遠の愛を表現しているのかな、と思ったりします。実際、自分が親になり、17歳、来年18歳になる娘に対して母と全く同じ気持ちを抱くようになっています。

来年大学に行く予定の娘が巣立つ日が近づいていくにつれ、彼女が小さかったときの自分の彼女との係わり方について考えることが多くなってきました。

娘がまだ小さい頃、毎日夕方になって、日本で言う教育テレビの子供番組 In the Night Garden - CBeebies のテーマ曲が流れると、「あ~、今日も無事に娘が寝てくれる時間が来た!」とほっとしたものです。

今だから思います。
「もっと娘との一緒の時間を大切にすればよかった…。」

イギリスで一般的に赤ちゃんが社交界(遊ぶ会のような)にデビューするのは、だいたい子供が立てるぐらいになったころでしょうか。それと同時に見えない競争社会に足を踏み入れるようになるとは知りませんでした。

競争内容は以下のとおり。

「言葉を発した」
「手話で意思の疎通ができる」
「動物の鳴き声ができる」
「足が強くて立ってられる」
「ハイハイが早かった」
「つかまり歩きができる」
「一人で歩けるようになった」
「よく寝る」
「泣かない」
「パチパチ手を叩ける」
「絵本が好き」
「野菜を食べる」
「好き嫌いがない」
「甘いお菓子はたべさせない」
「決まったルーティンがあり、絶対そのルーティンを崩さない」
「習い事を始めた」
「習い事の先生はだれか」
「習い事のレベルは何か」
「数字を10まで数えられる」
「おむつがとれた」
「トイレでおしっこができた」
「トイレでうんちができた」
「アルファベットが書けた」
「他の子供とおもちゃを共有できる」
「他の子供にお菓子をわけてあげることができる」
「ありがとうをちゃんと言う」
「ほしいものがあるときは Magic wordのプリーズが言える」

これが1歳から3歳ぐらいまでの競争内容。

ほとんどどうだっていいことばっかりですよね(笑)

イギリスは学校が早い子は4歳から始まりますので、4歳ぐらいからは以下のような競争内容になります。

「フォニックス(アルファベットの認識と発音についての理解)がわかる」
「スペルを見て単語が言える」
「数字が100まで数えられる」
「絵本ではなく本が読める」
「学校の読書教材のレベルの高さ」
「足し算ができる」
「引き算ができる」
「週の優秀生徒に選ばれる」
「校長先生賞に選ばれる」
「スポーツが得意」
「バレー・ダンスが上手」
「誕生会に何人友達を呼ぶ」
「誕生会をどこでする」
「どんな誕生日プレゼントをもらう」
「どんな誕生日プレゼントをあげる」
「学芸会での役」
「運動会の徒競走」
「運動会のリレー選手に選ばれる」

ほんと、小学校上がる前よりはましですけど、それにしても今考えれば、どうでもいいことばかりですよね。

お母さんたちって毎日毎日、とにかく無我夢中で子育てしてるんですよね。特に異国の地で子育てを初めてしているお母さんたちは、色々と大変なことも多いかと思います。私も見よう見まねで子育てしてしまっていました。周りの教育熱心なママ友たちの流れに身を任せて、もがくようになんだか色々やってました。

時々、当時のことを思い出しては反省して娘に謝ったりしていますが、彼女は自分が競争の真っただ中に置かれてたなんて、これっぽっちも気が付いてなかったそうです。そっか、競争だと信じて必死に走っていたのは、実はママたちだけだったんだ… 

「ずっと心も体も健康であってほしい。」

娘が成人になるまでの18年の子育てレースをもう少しで終える私の、唯一の娘への願いです。




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