NO.2の育て方㉜ナンバー2の危機意識
社長がマイクロマネジメントをしてしまう、ナンバー2が進めていることを後からひっくり返す指示を出してしまう、こうしたことは多いと思います。
現場の人からすると鬱陶しいかもしれませんし、社長とナンバー2のどちらの指示に従えばよいのか混乱してしまいますね。
では、こんなことが起きる理由はなんでしょうか?
今回はナンバー2の危機意識についてのお話です。
■社長とナンバー2の危機意識のギャップ
「悲観的に計画し、楽観的に実行する」この言葉を聞いたことがありますか?
故稲盛和夫さんがよく言われていた言葉です。
「事業はあらゆる可能性を想定して、慎重に計画、準備を行い、必ずできると信じて楽観的にやりなさい」という教えで私もよくこの言葉を思い浮かべます。
プロジェクトや新規事業などでは、人と資金と時間を割いて、さて目論見通り上手くいくだろうかと社長は悩むものです。
あまり深く考えずに取りあえずやってみようというのも時として必要かもしれませんが、毎回そうだと博打になってしまいますから、多くの社長は慎重になります。
冒頭のあれこれ口を出してくる社長の心理は、簡潔に言うと「不安」だからです。
ナンバー2ともよく議論をして、取り組む決断をしたものの、社長の本心は心配でたまらない、そんな光景を思い浮かべてみましょう。
計画の立案、現場の実務をナンバー2に任せたところ、どうも気になって仕方がないというところです。
あれは調べたのか、これは検討したのか。段取りは予定通り進むのか。いつもやきもきしています。
言い換えれば、社長は危機意識が高いのです。
失敗すれば資金、時間を無駄にし、社員の士気も下げることになりますから当たり前です。
一方で、ナンバー2が社長のそんな気持ちも知らずに、あらゆる想定もしないまま、「多分、大丈夫。まあ、何とかなるだろう」と高を括っています。
呑気なナンバー2は上手くいかないリスクや会社が被る損害を想像することもできません。失敗したところで、自分のお金が減る訳でもないですし、他人事のように受け止め、与えられたミッションを作業として取り組んでいるだけです。
つまり、このナンバー2は危機意識が低いのです。
この状態だと、ナンバー2に任せたものの、社長は逐一報告を求め、ナンバー2にダメ出しをし、矢継ぎ早に指示も出します。
不安で、心配だからマイクロマネジメントをしたり、ナンバー2の頭越しに現場に指示の出し直しをしてしまう訳です。
厳しい言い分かもしれませんが、口を挟まれるナンバー2は危機意識が低いと言われても仕方ありません。
もし、ナンバー2の能力が高くて何とかしてしまうことができたとして、社長としては安心できませんから、信頼できないのです。
逆の場合を考えてみましょう。
日頃から、勢いを重視し、イケイケドンドンの社長がいるとします。上手くいく時もありますが、失敗することの方が多いタイプです。
こういうタイプの社長は細かいことを考えるのが苦手な直感型ですから、この社長を支えるのは慎重なタイプのナンバー2が理想です。
社長に言われる前に調べ上げるべきことは調べ上げ、想定も確認も終えており、その前提で計画を練ります。
難所がある場合には事前に社長にその旨を伝え、どう対応するかまで答えてくれます。常に社長の半歩先を考えて行動しているのです。
こう振舞えるナンバー2は適切なタイミングで報連相もきっとするでしょうから、社長は報告を待つだけで済みます。
このように社長以上に危機意識が高いナンバー2であれば、社長は安心して任せられるというものです。
そのおかげで、社長はもう次の展開まで考え始めているかもしれません。構想すること、決断することが社長の仕事ですから正しい姿だと思います。
■定期的にナンバー2を試してみる
少し意地悪に聞こえるかもしれませんが、時々、ナンバー2にたらればの話で良いので、反応を見てみるといいです。
「そういう場合には〇〇しますね」と淀みなく受け答えができるのであればそのナンバー2は普段から慎重に物事を考えているものとみて間違いありません。
逆に、「その時になったら考えます」と頼りない返事だったら、出たとこ勝負のタイプで、社長より危機意識が低いと思います。
ウチの社長は細かくてネチネチしていると感じるようであれば、なぜ社長はそういう言動をするのかを考えてみることをお勧めします。
言ってみれば、社長とナンバー2のどちらの危機意識が高いかどうかの比較です。
安心して任せてもらえるのか、マイクロマネジメントでうんざりするかはナンバー2次第です。
最後までお読みいただきありがとうございます。