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良禽択木は、「優れた鳥は止まる枝を選ぶ」という意味です。有能なナンバー2がいない、育たないと思っている社長に立ち止まって考えて頂きたいテーマです。

ナンバー2育成を考える時に、私自身悩ましいと思っていることがあります。

それはナンバー2自身が有能であったとしても、教育を施しても、ナンバー2にとってトップが人間的に魅力のある人間でなければ本気でその才能を発揮することはないし、期待に応えるべく必死に努力しようとは思わないということです。

社内に優れた人材がいないのではなく、その才能を社長のために余すことなく使いたいと思っていないのかもしれませんし、育たない原因は社長自身にあるかもしれません。

このことをよく理解して頂きたいのです。

ナンバー2が活躍する前提には、トップの考えや理念に心から共感するというベースが必要です。

このことを考えずに優れたナンバー2を得たいとだけ願っても難しいです。

自分は変わることなく、ナンバー2には望むばかり。そんな楽な話はありません。

金を積んでも、肩書を与えても、それだけが仕事をする目的とは限りませんし、有能であるのであればそれ以上の待遇を他所で求めることもできます。

特に金というのは感覚を麻痺させます。人によっては、もっともっとという欲求に繋がりやすく、また満たされるものでもありません。

あなたの考え方に共感したから、限りある自分の人生の時間を使ってもあなたに仕え、支えたい。

これがナンバー2の本質です。

中国は唐の時代、2代皇帝である太宗に仕えた魏徴が残した言葉です。

「人生意気に感ず、功名誰か復た論ぜん」
人間は時に相手の心意気に感激して、金や成功といったことに関係なく仕事をするものだ。だれでも人生に一度や二度は相手の気持ちに強く心を動かされて自分の利害を無視して仕事をしたり、人の手助けをしたりするものではないだろうか。

他人からそう慕われるというのはなかなか難しいことです。

ただ、必ずしもトップとして有能である必要はありません。同じ人間ですから得手不得手はもちろんあります。

大事なことは一点に尽きます。

なぜ自分の会社が存在しているのかをきちんと説明できること。

人の役に立ちたい、人に喜びを与えたい。そうした大義を真剣に考え、理念として持っているかどうかだけです。

三國志の劉備は有能なリーダーでしたでしょうか。違いますよね。

彼にあったのは漢室の復興と民への慈愛でした。その考えに心服して多くの有能な部下に慕われていました。

後から取って付けたような信念もどきはまともな人間が見たらすぐにメッキが剥がれます。

人の本質というのは日々のちょっとした言動に全て現れます。

ナンバー2に限りませんが、従業員というのはトップのそうした様子を冷静に観察しているものです。

口では大層なことを言ってるが、言ってることとやってることは全く違うよな。馬鹿々々しい。

こう思われるのがオチです。

どんなに仕組みを整え、教育を施しても、誰も本気で仕事をしようとは思いません。

今時は会社は仕組みで回そうが流行りなので、やることやってくれたらそれでいいのかもしれません。

故稲盛和夫さんの言葉を借りれば、能力×人格×熱意というのは昭和の価値観で古臭いのでしょう。

人間力を磨く。誰よりも磨く。

経営者に求められることとはそれに尽きるような気がしますし、ナンバー2を欲するなら、何よりも優先して自分の人間力を磨くことが必要だと私は思っています。


最後までお読みいただきありがとうございます。