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日本の森や海の豊かさについて少し深掘ってみる③

結局、森や海の「豊かさ」とはいったい何なのかということですが、①②で語ってきましたように、「本来のあるがままの自然」であることが豊かなことであるとなります。しかし現実はなかなか難しいもので、”そうではない状態”に真っ向から抗うのではなく、一旦受け止めた上で持続可能性を考えていかなければ仕方ありません。そこで最後は日本の森や海を「豊かなエネルギーの産地」としてもっと利活用できないかという点について書きたいと思います。

再生可能エネルギーについておさらい

「再エネ」という言葉も近年は良く聞くようになりました。そしてそれは「太陽光や風力などの自然のエネルギーで、それを使う方が地球に良さそうだ」というイメージをみなさんもお持ちかと思います。

別の記事でも取り上げましたが、今世界中で問題となっている気候変動。その主たる原因であるCO2増加に伴う地球温暖化。そのCO2は石油や石炭といった化石燃料を地中から掘り出し、燃やすことで大量に空気中に排出されてしまいます。(温室効果ガスは他にもあるがCO2が全体の65%を占める)

そこで「パリ協定」などで世界各国がCO2を減らす取り組みをしましょうとやってるわけですが、昨年日本は化石賞という不名誉な賞をもらってしまいました。なぜでしょう?

日本におけるエネルギー問題

日本が排出するCO2は世界全体の3.4%です。一見少なそうに見えますが排出国ランキングで日本は5位となってます。そして国内で最も排出量の割合が大きいのは発電です。日本における発電源は約8割を火力に頼っているのです。火力発電は石炭、天然ガス、石油を燃やして発電しています。これではやはり世界、特に欧州から避難されしまうのも仕方ないかもしれません。しかし、火力は発電効率が良いというコスト要因や、効率は良いけどリスクが高い原発問題もあり、この日本の事情もわからなくはないです。

そんな状況の中、個人的に一番問題だと思うのは国民が払った電気代が最終的に海外、主に中東に流出してしまってるということです。長距離の輸送費だってバカにならないはずです。日本のエネルギー自給率はわずか11%で、いうまでもなく化石燃料はほとんどが輸入なのです。そしてなんと2018年にその輸入に払った金額が19兆円を超えるというのです。(同じ年の所得税徴収額と同等)

みなさんも同じこと思ったかもしれませんが、極端な主張をします。「その19兆円で国内の再エネ発電所を整備できませんかね!」(&ため息)

自分達が払った電気代が、温暖化を助長し、気候変動で毎年自然災害をくらって苦しむって何かバカバカしい。。

これからの「良い」エネルギー

やや重たく、暗くなりそうですが、、、いやいやそんなことありません。ここからは明るくポテンシャルの話をします。先に結論を言いますと、これからのエネルギーは「地産地消すべき」ということです。どうやって?

再エネの中に「木質バイオマス発電」というものがあります。切った木をチップ状にして燃やすことで発電する技術です。①編で話したように日本は森林大国です。(その時先進国で3位と言いましたが最新データでは2位)

また、国土の3分の1を占める人工林の手入れができてないと言いましたが、裏を返せば資源としての森はどんどん増えているのです。その蓄材量はこの50年で3倍になったとのことです。豊かではなくなりつつある森をエネルギーの視点で豊かに使う。簡単にいく話ではないことは承知してますが、日本中にあって負の遺産のようになってる木材を地域で発電の材料にし、輸送・送電コストを抑えて地域で消費することは非常にポテンシャルを秘めてると言えます。

ちなみにそれは火力発電であってCO2を排出するのでは?という疑問があるかもしれませんが「今ある」CO2を吸収するのも木です。プラマイゼロで、これをカーボン・ニュートラルと言います。

再エネ・ミックス

再エネは自然が相手ですから安定供給や災害等による断絶を考慮したときに、何かに偏るのではなく複数組み合わせるのが定石です。②編でお話した堰堤の落差による小水力発電も森林同様、全国どこでもできそうです。また再エネと言えば太陽光発電。これまで普及の足かせとなっていたコストも下がり続けています。2010年にはキロワットアワーあたり40円だったのが、2025年には7円まで下がり、今最も安価な石炭の発電コストを抜くとまで言われています。その他、日本は地熱大国でもあり地熱発電も各地で広がってるようです。海の豊かさに無理やりこじつけると、洋上風力や浮体式洋風力発電、潮流差発電、海流発電なども実験が始まっているようです。こう見ると発電資源はそこらじゅうにありますが、技術の進歩とコストダウンでより現実的になってきてるのですね

まとめ

最後はかなり再エネの話に寄ってしまいました。。しかし、SDGs14番15番に限らず日本のSDGs観点での課題解決には再エネ普及がカギとなる気がしてならないのです。飛躍した見方かもしれませんが、もし日本で再エネが高い比率で普及した場合の二つのシナリオです。

①日本で再エネが普及→成功モデルとして世界に輸出→世界のCO2が減って温暖化が弱まる→気候変動が弱まる→日本の自然災害が減る、弱まる

②日本で再エネが普及→電気代として出発したお金が地域で循環する→地域の社会福祉が充実し雇用も生まれる→人が留まる、入ってくる

そしてどちらも行き着くゴールは「持続可能な社会」。

理想はまず描くことから、と思い書いてみました。

おわり


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